きんようブログ 社員エッセイを掲載。あの記事の裏話も読めるかも!?

兼題「原爆忌」__金曜俳句への投句一覧
(8月26日号掲載=7月31日締切)

原爆が投下されたのは8月6日と9日。8月6日を「広島忌」、8月9日を「長崎忌」とも呼びます。立秋が8月7日ごろなので、広島忌は夏の季語、長崎忌は秋の季語となります。

さて、どんな句が寄せられたでしょう。

選句結果と選評は『週刊金曜日』2022年8月26日号に掲載します。

どうぞ、選句をお楽しみ下さり、櫂未知子さんの選と比べてみてください。
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※差別を助長するなどの問題がある表現は、この「投句一覧」から省きます。
※上記以外で投句した句が掲載されていない場合は、編集部(伊田)までご連絡ください。

【原爆忌】
古びたる石段に声原爆忌
目がかはく原爆の日の路地なれば
原爆忌命はひとつしかなくて
パイプ椅子地面が唸り原爆忌
原爆忌キャンパスまでの煉瓦道
誰も居ない教室に鳴る原爆忌
原爆忌カーラジオから鐘の声
目に見えぬ黒い雨降る原爆忌
原爆忌いやになるほど薄き影
熟るること膿むにも似たり原爆忌
小学生平和語りし原爆忌
点滴の速度の遅き原爆忌
原爆忌槿開いていたろうか
姉妹像の影たゆたへる原爆忌
近づけば滾るものあり原爆忌
現にて宙蹴る赤子原爆忌
石段の我が影黒し原爆忌
黒い雨垂れひとつひとつの原爆忌
忘れたい忘れられない原爆忌
貼り付いて脱げぬ肌着や原爆忌
原爆忌知らぬ子ばかり生きており
短めの白きソックス原爆忌
耳に穴あけてよろこぶ原爆忌
昼前の天の炸裂長崎忌
川すこし深き色して原爆忌
石橋を数へ原爆忌の小舟
薬品でふやける指紋原爆忌
ハラールのディナー探して長崎忌
刹那とも永遠とも覚ゆ原爆忌
千年の年輪となれ原爆忌
原爆忌サイレン聴いて想いはす
園内は隈無く掃かれ原爆忌
折鶴は高く飛ぶ意思原爆忌
空港の見ゆる草原原爆忌
二度あることは三度まで原爆忌
水筒の方位磁石や原爆忌
海峡を渡りて今日も原爆忌
原爆忌川は思い出をも浮かべ
キノコ雲ピカドン画像原爆忌
小さくて青き地球や原爆忌
争いの終らぬ地球原爆忌
投了を認めぬ一手原爆忌
死にはする殺されはせぬ原爆忌
原爆忌人類の為誰の為
東京の夜空明るき原爆忌
スピーチは同時通訳原爆忌
鉄骨の影軋みたる原爆忌
墓石は命日おなじ原爆忌
白濁の鳥や原爆記念の日
ヒロシマを知るは少数原爆忌
子の声は真つ直ぐ原爆忌の空へ
原爆忌明治屋の缶錆びついて
軍靴鳴る平和式典原爆忌
本日は晴天なりや原爆忌
原爆忌散歩仲間と散歩中
原爆忌石に刻みぬ詩のことば
蚯蚓にも帰る道あり原爆忌
爪を切る一夜の明くば原爆忌
蛇口より出る水熱き原爆忌
原爆忌脳裏にエラノ・ゲイの影
密やかな痛みは永遠に原爆忌
たった今朝ドラ終はり原爆忌
あを空の尖つてをりぬ原爆忌
はるかなる西の方角原爆忌
コップへの水の重みや原爆忌
鈍いろの雲のひろがり原爆忌
朝礼のラジオ体操原爆忌
缶切りを知らぬ子といて原爆忌
原爆忌手振り身振りでする会話
フラフープ置かれし芝生原爆忌
きのこ雲決して忘れじ原爆忌
白い花平和公園原爆忌
幸いも悪も天から原爆忌
かけがえのなき星地球原爆忌
早暁のミサのゐのりや原爆忌
夏蝶と秋蝶つるむ原爆忌
水を買ふ事も日常原爆忌
起伏なき挨拶乾く原爆忌
原爆忌かすみゆく色千羽鶴
折り鶴の願ひを継ぐや原爆忌
戴星の馬のいななき原爆忌(うびたいのうまのいななきげんばくき)
ネクタイの結び目ゆるめ原爆忌
原爆忌誤りて撒く除草剤
被爆者に生かされ生きて原爆忌
原爆忌柔軟剤は無香料
原爆の日やCTの番を待つ
原爆忌指先まろき平和像
病棟を行き交ふ白衣原爆忌
原爆忌不妊の鶴の堆く
レントゲン写真の雲や原爆忌
一発が産んだ公園原爆忌
水の辺に火を焚く影や原爆忌
原爆忌たちまち消ゆるにはたづみ
原爆忌なんにもせずにただ祈る
改変は不可で有る事原爆忌
蛇行して流るる川や広島忌
同情はNOと被災者原爆忌
恋文も遺書いえ遺品原爆忌
町の影が色差す水面原爆忌
首傾ぐ鏡の吾や原爆忌
地平線等しく平原爆忌
地軸けふも少し傾き原爆忌
原爆の日の剥き出しの膝より血
だれもみなみずみずみずの原爆忌
人間もかけらと思う原爆忌
疫のなか酷暑歩みて原爆忌
ひと折りに心を砕く原爆忌
原爆忌よそよそしきは左右とも
流れゆく人間筏広島忌
上空に味方の機影原爆忌
宙ぶらりんのエレベーターや原爆忌
吾子に問ふけふは何の日原爆忌
原爆忌ディラン・バエズとともに老ゆ
あたらしき包帯を巻き原爆忌
年取らぬ考の着物や原爆忌
鎮まりし街にサイレン原爆忌
原爆忌花壇に水を何度でも
物は皆陰ある光原爆忌
砂浜へ逃れし記憶原爆忌
太陽系に太陽は一つ原爆忌
子の顔の平らな笑みや原爆忌
テレビでは空気が違ふ原爆忌
原爆忌橋には坊主頭の子
原爆の日の人影なき広場
年表は死屍の山並み原爆忌
ガチャ玉のコツと落つ音原爆忌
パードレの爪は清らに原爆忌
原爆忌送り主なき封書来る
原爆忌被爆を語る友老ひし
繰り返し「ちちかえせ」読む原爆忌
島国の二つの街に原爆忌
原爆忌腐敗戦争同じ道
原爆忌自分の脚と手を見たり
白髪の脳裏に刻む原爆忌
原爆忌油断をすればふつてくる
水道に川に水あり原爆忌
ヒロシマと片仮名表記広島忌
洗濯物ぱんとはたけば原爆忌
原爆忌完全無欠はわろきこと
原爆忌日本敗戦忘却へ
原爆忌サドルの熱に尻を置く
夕迫る鶴の港や長崎忌
何気なき野のやさしさや原爆忌
背を伸ばし黙祷時待つ原爆忌
原爆忌無数の旗を打ち振れる
原爆忌反吐が出るほど目に浮かべ
いまの戦むかしの戦原爆忌
原爆忌七十七年熱き風
原爆の日の鉄鍋に立つ炎
焼け焦げた白い海岸原爆忌
原爆忌チンと鳴りたるトースター
鐘の音のくぐもる島の原爆忌
鳥のこゑいつも変はらず原爆忌
原爆忌徴用工も捕虜もまた
国賓の立振る舞ひや原爆忌
明後日の方に雲有り原爆忌
坂道に足跡あまた原爆忌
原爆忌明朝体に痣ある日
海よりの戦塵きたる原爆忌
水も菓子も数多ありて平和祭
燐寸擦る子の横顔や原爆忌
死神も焼けただれたり原爆忌
また一つ知らない痣や原爆忌
八十里離れてここも原爆忌
急いでは原爆忌など忘れて仕舞ふ
水匂ひたる原爆忌手をつなぐ
大声は元気出すため原爆忌