きんようブログ 社員エッセイを掲載。あの記事の裏話も読めるかも!?

兼題「宝船」__金曜俳句への投句一覧
(1月28日号掲載=12月31日締切)

「宝船」とは、めでたい初夢を願って、枕の下に敷いて寝る絵のことです。室町時代に始まり、江戸時代に盛んになりました。江戸では、正月早々から「お宝、お宝」と呼んで宝船売りが売り歩いたそうです。

さて、どんな句が寄せられたでしょう。

選句結果と選評は『週刊金曜日』2022年1月28日号に掲載します。

どうぞ、選句をお楽しみ下さり、櫂さんの選と比べてみてください。
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※差別を助長するなどの問題がある表現は、この「投句一覧」から省きます。
※上記以外で投句した句が掲載されていない場合は、編集部(伊田)までご連絡ください。
※公式サイトが攻撃を受けていたため、掲載が遅くなったことをお詫びいたします。

【宝船】
金品の飾りの多き宝船
頭の角度これぞと決めて宝船
地震の後も海を憎まず宝船
宝舟船尾の方を少し借り
宝船すすぎ脱水あと二分
またしても乗り遅れたる宝船
宝船二枚重ねて欲をかき
断捨離にいでし昭和の宝船
動力は何ぞ何処より宝船
ダイエットてふ帆をかけて宝船
あつたので宝船買ふはめになる
指ふかく沈む頬なり宝船
つたなくもいじらしき宝船敷く
波高き人生こそや宝船
宝船夢とうつつをさまよへり
宝船布袋の額の畳の目
海上に夢路通ひぬ宝船
金色の夢さっそうと宝船
世渡りは風を任せて宝船
手を振れど遠ざかりゆく宝船
宝船ぴんぴんころり願ひけり
値踏みして古伊万里の皿宝船
宝船妻の寝言の国訛り
旅先の瀬音気になる宝船
沖つ波宝船敷き漕ぎ出でぬ
神々の呵呵大笑か宝船
後れ毛のまだぬれてゐる宝船
七色に塗り分け子らの宝船
水夫どちの祝詞聞こゆる宝船
宝船夜勤終はりのアイマスク
赤ん坊に祖父の咲まふや宝船
宝船有色人種が「自由だ」と
宝船待つか賭けるか天仰ぐ
九条の運ぶ夢みる宝船
ささやかな宝船来るけふの夢
板彫の波荒々し宝船
毘沙門天までも笑顔の宝船
海面をすこし浮き出て宝船
くれなゐになりし浜辺や宝船
宝船追手に帆かけてしゅらしゅしゅしゅ
寝返りのたび確かむる宝船
宝船ついでに敷きし宝籤
神さまの呉越同舟宝船
ティンパニの連打の止まず宝船
よく眠る猫の耳閉ぢ宝船
宝船夢に揺らるる心地かな
今年こそ月へ行きたし宝船
宝船エーゲ海まで連れて行け
手ざわりは真珠のように宝船
宝船川に流せし夢見たり
宝船破れたやうな音のする
夢に浮く美男のりたる宝船
絶望の闇の中から宝船
浄土まで我を連れ行け宝船
宝船敷いて佳き夢見むとする
宝船いつしか頭外れたる
宝船七つの海の空と風
宝船まんなかに亡き父の顔
セシウムの海にただよう宝船
密航のさまのようなる宝船
満帆の月光を漕ぐ宝船
漕ぎ出せど旅寝は浅き宝船
鏡面の指紋は光る宝船
宝船かぜの欠片を乗せてをり
宝船あつちこつちに行つたきり
枕元に電子歳時記宝船
横向きの鼾も善かれ宝船
宝船アトラクションの無重力
神さまの名前失念宝船
首筋に風来る心地宝船
宝船会いたい人に会えるよう
宇宙まで自費で行く世を宝船
宝船小さくたたむ余生かな
宝船あとに続々難民船
禁煙を破る夢なり宝船
夢うつつ波をかき分け宝船
病む母の枕は低き宝船
いかほどの荷重オーバー宝船
宝船寶の文字に風孕み
宝船星の海へと帰るまで
彼の人に夢で逢ひたし宝船
人生は一艘ごとや宝船
八番目の福の顔して宝舟
宝船敷けば眼の冴えてきし
宝船ミランダ・カーをかたはらに
宝船より落ちてまた宝船
たからぶね旅行鞄のAの文字
宝船乗りたい神が多すぎる
寝返りを打てば傾く宝船
或る人の夢の名残か宝船
宝船その名脆き地球号
宝船みみのかたちは祖父ゆずり
車椅子移乗してみむ宝船
新品の枕に集う宝船
残りしは夢の欠片や宝船
宝船子らの住む街巡りたし
欲深き夢見むとせし宝船
綺羅星を引き連れてゆく宝船
開運の風をあまさず宝船
宝船下に世界の地図を敷く
寅さんと風の吹くまま宝船
ゆうらゆら平和乗せ来よ宝船
波音を秘むる枕や宝船
宝船敷いて寝付きのよかりけり
手ざはりのりんりんとして宝船
宝船引き戸の音のやわらかに
宝船手足の指の二十本
東風受けて真帆の船出や宝船
宝船夢の候補は星の数
回文の猫の眠るや宝船
潮騒は魔女の寝息か宝船
龍の髭神々の髭宝船
宝船に金銀珊瑚レアアース
雲を黄に染め垢抜けぬ宝船
順風に枕を乗せて宝船
空母浮く波の揺らせし宝船
海峡の朝日携へ宝船
たましひの摑まつてゐる宝船
子と犬の交互のいびき宝船
黄泉路へはあと何枚の宝船
哀しみの裾野ぞ明かる宝船
宝船ちょいと空飛ぶ例の夢
宝船見果てぬ夢へ今年また
地球とう宝船いま波被る
細立てて宝船押す隙間風
しわくちやになつた結果の宝船
吉凶の格差格別宝船
荒波に期することあり宝船
夢見なき目覚めが功徳宝船
五十路にも夢の船出や宝船
北斎の浪を乗り切る宝船
おほかたは欠航となる宝船
醒めぎはの潮の香ほのか宝船
宝船小さき枕の大夢かな
金色の波乗り越えて宝船
宝船没するほどの寝汗かな
龍船が神より立派宝船
船縁に神の乗り出す宝船
宝船ちょつと盛りすぎではないか
にぎやかな星や郷里の宝船
ゆつくりとよだれたらたら宝船
帆布めくピロケースなり宝船