きんようブログ 社員エッセイを掲載。あの記事の裏話も読めるかも!?

兼題「芭蕉布」__金曜俳句への投句一覧
(6月25日号掲載=5月31日締切)

芭蕉布は、奄美や沖縄の特産ですね。夏の着物ですね。

選句結果と選評は『週刊金曜日』2021年6月25日号に掲載します。

どうぞ、選句をお楽しみ下さり、櫂さんの選と比べてみてください。
『週刊金曜日』の購入方法はこちらです

電子版も発行しています

amazonなどネット書店でも購入できるようになりました。
予約もできます。「週刊金曜日」で検索してください。

【芭蕉布】
教会の坂を芭蕉布下りくる
芭蕉布や肌の呼吸で汗は退き
芭蕉布を着て鼻筋の通りたる
芭蕉布や生成りの風の抜ける島
芭蕉布の機織る音と波の音
芭蕉布の機と水車が響き合ふ
芭蕉布入り組む河の緑濃し
芭蕉布やたくましき手の糸さばき
芭蕉布や土と血と海の臭いと
芭蕉布や妻の涙のはや乾き
芭蕉布きて目方が軽くなりにけり
糸芭蕉紡ぎ紡ぎて芭蕉布に
透かし見る蜻蛉の翅と芭蕉布と
芭蕉布の苧を績む指の息遣い
物干しに取り込み忘れの芭蕉布
故里は吾を弛めし芭蕉の布
芭蕉布の乾く早さや島の風
芭蕉布のからだ夜風にふはり浮く
芭蕉布や猫を包んで持ち歩く
潮の香やヴィラの窓跳ね芭蕉布
芭蕉布の織りなす糸や慰霊の日
芭蕉布の似合はぬ人となりにけり
芭蕉布や王国の礼服の矜
芭蕉布や深山暮れて行くばかり
芭蕉布や受け継いでいく糸づくり
芭蕉布や借り手のいない戦記集
芭蕉布の肌ざわりに似た島の唄
芭蕉布に尾の見え隠れ子犬かな
芭蕉布や南の海と空の青
芭蕉布の娘やさしき島ことば
芭蕉布に包みたる肌楚と展き
芭蕉布に奄美の波も潮騒も
青空を芭蕉布の我透けて行く
芭蕉布に海の家まで包まれる
芭蕉布や袂に透ける灯の青き
芭蕉布の糸の結び目人結ぶ
差し色の朱の明るき芭蕉布かな
芭蕉布や聞き手の見えぬ反戦歌
芭蕉布とアイヌのアツシ生きる知恵
芭蕉布の藍に粗紗のストライプ
芭蕉布のたゆたふ軒の島の風
芭蕉布ののれんすかして海光る
東シナ海に芭蕉布ひろげをり
芭蕉布や物憂げな所作軽やかに
芭蕉布に織る太陽を海風を
芭蕉布に夜風織り込む広小路
芭蕉布や千年経てど同じ島
芭蕉布やオバァ自慢の島唄を
芭蕉布や砂に埋もれし丸木舟
芭蕉布や母が尊ぶ気品あり
芭蕉布の母の遺愛の帯結ぶ
芭蕉布を妻の替はりに買ひにけり
芭蕉布や美術の好きな姪が着る
芭蕉布の腕に歯形のやうなもの
芭蕉布や夜風はらみて逃げかねて
受刑者の編みし芭蕉布波の音
芭蕉布に着替へてあだ名しつくりと
芭蕉布や敵でも味方でもなくて
芭蕉布やいのちふたつの妊婦ゆく
芭蕉布を着て沖縄の慰霊塔
芭蕉布や例へば波の寄せる音
芭蕉布の裾に小波(さざなみ)海の風
芭蕉布をひろげて島の艶話
芭蕉布を羽織り美ら島おばあなり
島風強し芭蕉布のワンピース
芭蕉布の糸績む女の笑顔かな
手に取りし芭蕉布軽し夢ほどに
ぽたぽたと温い雨降る芭蕉布
芭蕉布や視界の隅を通り過ぎ
芭蕉布や五音で紡ぐ島の唄
手を洗ひ芭蕉布の反(たん)もつて来る
芭蕉布潮風はらみ肢体透く
芭蕉布の襖がありて民家園
芭蕉布の風通しよき財布かな
芭蕉布や琉球徴す藍の色
芭蕉布返す波追う三板の音
芭蕉布や子等へ伝へる子守唄
風憎し祖母の香薄る芭蕉布や
夕波をみる芭蕉布の母と会ふ
芭蕉布や百歳の技飽き果てぬ
芭蕉布や宗谷の店に敷かれをり
芭蕉布や大音量のビートルズ
芭蕉布の衣装緩やか舞う娘
芭蕉布を着て島人(しまんちゅ)の晴れ姿
芭蕉布の後ろ姿を絵に収め
芭蕉布やさらりと語る島の悲話
百年の芭蕉布継ぎに継ぎを当て
芭蕉布と三線似合ふ男ぶり
芭蕉布の蝶ネクタイのベルボーイ
差布団のへこみを作る芭蕉布や
芭蕉布の袂と自堕落は激似
白生地の芭蕉布へ紅型の贅
芭蕉布や調べのやうに島言葉
芭蕉布や糸つむぎ出す媼の手
芭蕉布に織り込まれてく波の音
芭蕉布の蚊帳懐しき祖父の家
保養所の窓辺を覆う芭蕉布
芭蕉布やかつて国境だつた海
芭蕉布を犬の首にも巻きつける
芭蕉布の肌にときをり犬の舌
飛行機の飛ばず芭蕉布縒れてをり
芭蕉布を晒す日和に鳥湧けり
壕の口芭蕉布吊るす隠れ場所
芭蕉布や漁港の匂ひまで歩く
芭蕉布や日没遠き珊瑚礁
芭蕉布や野良する先生はかどって
磨りガラス青空淡し芭蕉布
芭蕉布の風を纏ふや島の女
空を見る芭蕉布の端肩にかけ
芭蕉布や目だけで笑う骨董屋
見番を隠す芭蕉布灯の滲む
園児らの眠る芭蕉布ざらざらと
芭蕉布に魂を込めて織る絣
芭蕉布や稽古帰りの潮の道
芭蕉布に光を透かせ島の舞
ウチナーヌマブイチチムン芭蕉布ヤー
おしゃべりを紡いで芭蕉布の軽し
芭蕉布や海風織り込む肌触り
芭蕉布や織女の恋の風を着る
芭蕉布や悲恋の尼は籠りがち
芭蕉布を織る手の甲の網目皺
芭蕉布を纏えば海の匂いする
芭蕉布や島の代官殺すべく
芭蕉布やみな飲込みし海の凪
島唄おどる芭蕉布の帯の張り
芭蕉布の仕上げに通す島の風
芭蕉布や貧しき画家の一張羅
芭蕉布や背筋正して風の中
地直しの芭蕉布意地を通す皺
芭蕉布や機織る音も軽やかに
芭蕉布の踊る娘等(ら)口笛吹く
芭蕉布と値札を行き来する眼
芭蕉布の下を流れる夜の汗
復興を織る手に込める芭蕉布や
芭蕉布の気風良き声島の夜
芭蕉布や破れ目覗くかくれんぼ
芭蕉布の夜鍋し作り幣袋
芭蕉布を干してほんのり昼幽し
芭蕉布が覆い隠した爆心地
芭蕉布の風も光も至福なり
芭蕉布の吾を弛めし吾が故郷
芭蕉布を夜の吹き抜けしことありし
芭蕉布に異郷の風の通りけり
停電に芭蕉布まとう夜時間
型押しの魚芭蕉布の海泳ぐ
芭蕉布に織り込む風のはらりかな
芭蕉布やあの日も海から風吹けり
芭蕉布のゆつたり時の流れたる
芭蕉布の端ぎれの美しく島美しく
玉城の嫁か芭蕉布仇に着て
芭蕉布の娘またがるミニバイク
純朴な子に芭蕉布のよく似合ひ
科作る指と芭蕉布巻きし腰
芭蕉布の帯に小さき母のしみ
生き直す人の多かり芭蕉布や
芭蕉布や気の遠くなる搾取率
島唄に合ふ芭蕉布の機の音
芭蕉布や米寿なのよと言ふ女将
芭蕉布の座蒲団にまだ来ぬ戦後
芭蕉布やおばぁの笑顔忘れまじ
西風に芭蕉布今日は旅立つや
芭蕉布を風含むごと巻いてをる
芭蕉布の小布形見に旅終わる
島風や芭蕉布はただたゆたへる
芭蕉布の帽子消えゆく峠かな
晒したる芭蕉布吸ふや海の声
芭蕉布のひとまで混じる抗議デモ
芭蕉布を纏い口紅冴え渡る
芭蕉布の絣持参で嫁ぎ来る
芭蕉布やつむじ目がけてくる日差し
芭蕉布の編み目の凸に日の記憶