きんようブログ 社員エッセイを掲載。あの記事の裏話も読めるかも!?

兼題「牡丹」__金曜俳句への投句一覧
(3月26日号掲載=2月28日締切)

牡丹は、中国の西北部に自生しています。中国を代表する花で、花王や花神などの異名もありますね。

さて、どんな句が寄せられたでしょう。

選句結果と選評は『週刊金曜日』2021年3月26日号に掲載します。

どうぞ、選句をお楽しみ下さり、櫂さんの選と比べてみてください。
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予約もできます。「週刊金曜日」で検索してください。

※掲載が遅れたことをお詫びします。

【牡丹】
わらしべの牡丹数える声を聞く
古根より若芽ふきだす牡丹かな
敗将は若きほど良し白牡丹
満開の後の牡丹を掃きし人
下駄箱に一輪挿しよ牡丹よ
かぐや姫偲ぶ夜かな白牡丹
ぼうたんの記憶だんだん遠くなる
牡丹苑妻と歩きし奈良の日々
三つ咲き牡丹の庭となりにけり
居ても立つても牡丹冷静に嘘
表門くぐってすぐの白牡丹
牡丹ドヤ顔でいかがと株分くる
しゅるしゅると帯解く先の牡丹かな
ぼうたんの揺れが隣のぼうたんへ
牡丹咲くおかげ横丁の誓子館
新築に母を迎えて白牡丹
薄き花弁どこまでも濃き緋牡丹の
ぼうたんの咲き定まりて謐かなる
人の性ゆうゆう眺め牡丹散る
ぼうたんの形気怠く空垂れる
古家買ふ牡丹咲かせし庭のまま
牡丹から牡丹へ続く蟻の列
任侠の世界へ誘ふ牡丹華
ぼうたんや法螺の音またも閊へつつ
新月の闇の底へに白牡丹
白牡丹コロナの闇を深くして
もう一度見ればよかった白牡丹
庭下駄に雫散らして牡丹剪る
牡丹散りてともしに波の模様の地
牡丹花に指で距離置く大寺かな
あと一人足りぬ配役富貴草
牡丹園華やかなれど疲れけり
赤白斑こもごも揺れる牡丹園
ぼうたんの赤の点綴山門へ
緋牡丹や一年分の紅の色
幻の夫に牡丹の一輪挿し
長谷寺の牡丹を毟る夜風かな
風優しえみ急かされる牡丹の芽
留守の間に咲く牡丹片時(へんし)も見んと
残像は静脈瘤のごと牡丹
犀の河鬼の咥えし牡丹かな
ぼうたんの外れ馬券のごとく散る
園児らの笑ひ声満つ牡丹揺る
緋色から咲けば真白き牡丹かな
ふと触れし牡丹ふと散る震えけり
牡丹寺順順に発つ修行僧
戻らんと風に耐へるる白牡丹
蒼穹に牡丹の緋の映えてをり
牡丹に牡丹咲けりふんばつて
黒牡丹見られて見ても目は合わず
鎌倉の眼に山残し牡丹かな
明日の色萌す蕾の夕牡丹
マジシャンの上着の長し白牡丹
振り向けば夕陽に帰る牡丹かな
千年の都に万の牡丹また
含羞の牡丹の緋にかくさるる
ぼうたんの白く光つてゐる闇夜
つま先へ落ちる牡丹や七七日
長谷寺の牡丹に酔いて早き宿
昼日中あつけらかんと牡丹かな
だんごより夢を喰はむや牡丹咲く
棘(いばら)なき牡丹の骸見つけたり
牡丹花の日差し柔らか傘かけて
牡丹花苦手なままに歳重ぬ
蕊見よといへど目そらす大牡丹
龍宮に咲きしことある牡丹かな
裏切りを終へて牡丹の息のなか
牡丹咲く炭鉱インクライン跡
白鳥庭園牡丹咲かせて明けにけり
牡丹や小首傾げて立女形
爪切つてはじまる一日牡丹咲く
牡丹の約束成らず崩れたり
牡丹に古疵めける接木跡
ぼうたんを包(くる)める和紙の薄さかな
ありし日の記憶の底になお牡丹
寺町を巡る半日白牡丹
雨繁き闇に溺るる牡丹かな
老木にいのち燃へ立つ牡丹の芽
むらさきの夜に佇む白牡丹
老画家のつましき庭や富貴草
長谷寺や長き回廊牡丹散る
牡丹の花終わりなき夢続く
異世界の扉のごとし牡丹花
牡丹の花びら浴みてゐて日暮
ぼうたんの一夜にどっと崩れけり
大仰に異国の人ら牡丹賞で
ひとり旅牡丹崩るる回廊へ
金継ぎの椀に挿したる牡丹かな
ぼうたんや影から先に老ゆる寡婦
国会に牡丹を活けて議論せよ
一度だけ逢うも一興富貴草
牡丹や美しきは破壊されて墜つ
牡丹を見下ろす玉の輿の窓
牡丹咲き寺の向こうに錠太郎
狼藉の獣荒らせし牡丹庭
人を食う鬼の反吐かな牡丹咲く
牡丹散るこれでいいのと言ひ聞かせ
赤牡丹血塗られしごと赤の色
田の畦の祭りのやうな牡丹かな
闇降りて牡丹の夜を迎へたり
残照の句碑湿りたる牡丹園
白牡丹ポツリと夫婦は話し出す
八重牡丹会津若松置屋路地
牡丹咲き女の集う八幡宮
ふはふはとまどろむ真昼紅牡丹
ぼうたんの昼に瞼の重さかな
船出するごとくにひらく牡丹かな
O型の母の育てし牡丹かな
牡丹の花弁の栞父の本
艶やかや我が家の牡丹牡丹色
8K画像畏るにたらず白牡丹
牡丹咲く明日の色なき今盛る
峠越え吾が人生は牡丹色
白牡丹散歩の途中貰ひけり
牡丹剪る度に厨の水褪せる
北斎の牡丹が蝶を招きをり
村寂びて御伽の国のごと牡丹
参拝の歩を妨げる牡丹かな
ぼうたんの密かに騒ぐ建仁寺
聖痕を花弁にさがす牡丹かな
黒牡丹和服の似合う人見初め
褒めそやされる牡丹猫遠慮して
牡丹剪り母へ供へし大花瓶
ぼうたんに稚児すり寄せポーズとる
どさりと米置くぼたりと牡丹咲く
懐の奥の封筒白牡丹
ぼうたんやいまは汽笛の遠き町
山寺の牡丹の影の濃かりけり
町内の牡丹屋敷として繚乱
まだ知らぬ異界もありや富貴草
剃髪の朝に咲きたり白牡丹
母老ひし故郷に牡丹咲きにけり
牡丹生けあとは質素な生家なり
誇らしく紅色深き牡丹佇つ
牡丹や一度は遷都されし街
曼陀羅時公園内の牡丹かな
拳の汗に花弁冷たき牡丹かな
母の手を引いて上野の牡丹園
空襲の煤に緋色の牡丹咲く
遺恨あれど父懐かしや白牡丹
牡丹の終わりなきかな花の内
いつまでも咲いてておくれぼうたんよ
牡丹一輪はなびらの競い合ひ
ハルシオンなかなか効かぬ夜の牡丹
忘却のごとく牡丹のほのかなり
牡丹ひとつ立体交差めく小庭
聞きとれぬ語尾ぼうたんの夜を抱き
フレームに収まりきらぬ牡丹かな
中村酒店の庭の牡丹かな
花芯渦狂うが如く富貴草
白牡丹払暁の眼のさやかなり
おおげさに崩れ崩れて牡丹かな
静謐が牡丹の刻をきざみをり
花びらに花びらの影白牡丹
それはそれ牡丹に差した破れ傘
おほらかに空見つめゐて白牡丹
緋牡丹の風に傾いでゐる真昼
イエス様ユダの口には緋牡丹を
山青く庭先埋める白牡丹
くちべたのふたりに牡丹暮れ残る
ぼうたんの散るとき音の響き来る
白牡丹来年いない顔ですね
紅仄か薄化粧して白牡丹
牡丹観に装い少し華やかに
地獄絵図牡丹のごとく炎燃ゆ
ぼうたんや形見の指輪重たかり