きんようブログ 社員エッセイを掲載。あの記事の裏話も読めるかも!?

兼題「桜漬」__金曜俳句への投句一覧
(2月26日号掲載=1月31日締切)

桜漬とは八重桜の花を塩漬けにしたものです。お湯を注いで桜湯として飲みます。

さて、どんな句が寄せられたでしょう。

選句結果と選評は『週刊金曜日』2021年2月26日号に掲載します。

どうぞ、選句をお楽しみ下さり、櫂さんの選と比べてみてください。
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※投句のまとめに漏れがありました。追加して掲載しました。申し訳ございませんでした。(2月8日)

【桜漬】
餡パンの臍に移植し桜漬
はにかんで目線は暫し桜湯に
桜漬格別な日を格別に
ズレているアンパンの臍桜漬
繰延べの式と宴や桜漬
富士越えて遠路はるばる桜漬
桜湯のなれぬ敬語をつかひさす
千差ある涙の味や桜漬
桜湯を褒めし子らみな東京語
手には笛耳に和太鼓桜漬け
桜漬関山桜華やかに
結納の障子明るし桜漬
薄衣をほどくがごとく桜漬
ほの香さにいにしえ忍ぶ桜漬
桜湯の花ひろがれば手をひろぐ
それぞれに心の開け方桜漬け
あんぱんの臍のありあり桜漬
桜漬ほころんでゆく記憶あり
桜湯や寝ても覚めてもふたりかな
猫の名を五十書く夜のさくら漬
濁りなき白湯に開く桜漬け
桜湯やひとりの午後にひらきゆく
桜漬開き両家に笑顔かな
吉野てふ歴史あざやか桜漬
桜湯や一年前の知らぬ仲
我子の子の門出祝うや桜漬
母がゐる尊き日々よ桜漬
桜漬申し分なき日和かな
そそぐ湯や色香うつせる桜漬
桜漬法事にぽつり海のこと
歯並びを見せずに笑う桜漬
この星の皺育ちゆく桜漬
助手席に食べるあんぱん桜漬
猫舌に呑むに飲まれぬ桜漬
産院の膳にほどける桜漬
桜湯や初対面に頬染めて
新妻の桜漬湯に開くごと
桜漬何事もなき猫の伸ぶ
悪口を今日は言ふまい桜漬
老いてなほ叶ふことあり桜漬
桜湯を吸うて桜が舌の上
結納前夜味を探りて桜漬
桜漬作る吉野を偲びつつ
羽衣のやうに揺れたる桜漬
桜漬け添ふや焼豚玉子飯
桜漬のせて東坡肉光る
積む塩に散華忘れる桜漬
いてらさい戻る間に間に桜漬
桜漬ひらく刹那のさむらさき
桜漬ひかりとともに青空へ
桜漬ほどけゆきたる静寂かな
桜漬に残る花びらあはれなり
桜湯の開きてしどけなきほどに
磨き立ての革靴桜湯ふんわりと
桜湯に空色六十階の窓
桜湯に終活語る女たち
花開くゆるさのゆかしさ桜漬け
句を詠みて卒寿の母の桜漬
両家とも母は饒舌桜漬
桜湯やそろそろ若きお二人で
桜湯やこはばりは身も心にも
桜漬ちいさく笑う術もあり
桜湯の底にたゆたう紅の色
桜漬入り日そろりと垣の外
桜漬散らして膳の調ひぬ
折り畳み傘折る時間桜漬
シュークリーム二個桜漬一二枚
色気あるうちはまだまだ桜漬
桜漬そのまま口に入れにけり
桜漬七つ違ひの姉いもと
忽ちに椀を埋めをり桜漬
桜湯を運ぶ娘の白き指
桜湯の桜は白湯に色を吐く
桜湯と慣れぬ正座の痺れかな
ほぐさるる心地嬉しき桜漬
泡一つ口元で立つ桜漬
東京に下町があり桜漬
桜湯やご趣味はなんて訊かれても
桜漬両家の和む時を待つ
桜湯やためらいながら推す扉
この人を婿にください桜漬
天城越へ癒す河津の桜漬
ややもすれ不穏な空気桜漬
桜湯に見とれる君を見惚れゐる
桜漬長き花柄の花つぼみ
五人ほど呼んで桜漬パーティーを
京みやげ函に密なる桜漬け
桜湯を先に飲み干す女が妻
桜漬唯一無二の人と道
桜湯は飲むが作らぬ桜漬
一日中言ふ「桜湯でこざいます」
桜漬眼下いちにち傘うごく
古九谷の桜湯香る顔合わせ
結納は出会えた奇跡桜漬
諍いを連想せぬやう桜漬
居眠りのまめなる猫や桜漬
父一人飲みし茶碗の桜漬
仲人の頬緩ませて桜漬
ひらくにはほどよき器桜漬
母作る急ぎて作る桜漬
ひと知れずひとりは老いぬ桜漬
桜湯に男でしょうと叱る人
桜漬け祝儀の熱さやっと減り
桜湯のまんなか息に窪みけり
桜漬ひらきて猫のいぶかしむ
朴訥を花湯に溶かし見合かな
老いた目に光差し込む桜漬け
桜漬天皇制の記事を読む
桜漬刻み混ぜ込む稲荷寿司
泡の立つ湯を汲み冷ます桜漬け
桜湯や決算数字これでよし
八重桜美しきまま桜漬
夜の更けて安息の香や桜漬
白湯の底淡き翳置く桜漬
揺らされて白磁にひらく桜漬
これしきのやんごとなきや桜漬
桜湯にいのちの色の咲いてゐる
桜漬産湯の記憶ほどきけり
桜漬八坂の塔を仰ぐ席
桜漬片手にクリーニング店
桜漬ひとりひらひら白湯の底
桜湯の花びら含み「花」となる
お日柄はいつもよろしき桜漬
たぎる湯や香りを添える桜漬
解けゆくほどに香りて桜漬
桜漬白い茶碗の湯の中に
満開になりしことある桜漬
桜漬ほころぶ夢の途中まで
脂っこき男の自慢さくら漬
待合の汲出しほのか桜漬け
横顔の三つ並びて桜漬
乙女子の産毛の光る桜漬
まづはまづは鼻で味はふ桜漬
桜漬思えば身内に婚儀なく
さくらいろに解けゆくかな桜漬
あんぱんのおへそにちょっと桜漬
桜漬白湯うすあかく匂いけり
亡き母の鼻歌のごと桜漬
桜湯はこれが最後と飲み干して
サービスの桜湯出さる喫茶店
夢に出るほどの恋せず桜漬
緊張の桜湯こぼしさらになり
桜漬光の杖を突く無音
桜漬け浮ぶは我子の笑顔かな
しきたりの多き婚家の桜漬
桜湯や祇園通りの茶屋遊び
雪洞のほのかな灯り桜漬
桜漬これより八寸向付
掛け取りをやっと帰して桜漬
香蘭の茶器に解(ほぐ)るる桜漬
さくら湯のひらきすぎたる葉つぱかな
桜湯や卓布のすこし赤すぎて
桜漬賓主の区別つかぬ我
桜湯や父の代わりの結納膳
桜湯や二人の軌跡辿る夜
花びらの解けゆくさま桜漬
湯の中に花弁ほぐれて桜漬
桜湯や正倉院の帰り道
桜湯や断る理由探しをり
血圧の高さ気になる桜漬
吉野から娘買いきし桜漬
桜湯のほぐるるまでの余白かな
湯の心淡さの心桜漬け
桜漬ふはりひらきて京言葉
塩味がすこしかなしい桜漬
お見合ひの成否占ふ桜漬
この縁談まとまりそうよ桜漬
桜湯や木洩れ日のさす露路に入る
桜湯に品書きのごと花ひらく
街並みはかすかに暮色桜漬
桜湯にさざ波たてるをんなかな
宙ぶらりんのままの桜湯の花
たおやかに締めたる帯や桜漬
なんとなくいい人みたい桜漬
手術(オペ)前夜湯に蘇る桜漬
桜湯や昭和の唄の懐かしく
桜湯やその存在の時来る
幸か不幸か見合い結婚桜漬