きんようブログ 社員エッセイを掲載。あの記事の裏話も読めるかも!?

兼題「噴水」__金曜俳句への投句一覧
(7月26日号掲載=6月30日締切)

「櫂未知子の金曜俳句」投句一覧です。

東京は梅雨寒が続いていて、「噴水」の涼しさを楽しむ感じではありません。みなさんの地域ではいかがですか。

さて、どんな句が寄せられたでしょう。

選句結果と選評は『週刊金曜日』2019年7月26日号に掲載します。

どうぞ、選句をお楽しみ下さり、櫂さんの選と比べてみてください。
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【噴水】
噴水の止まりてただの水溜まり
噴水や華氏百度を知らずして
関はりの無く噴水に隣り合ふ
噴水にビル街の風集ひたる
噴水や子供は虜親は楽
ジャンプして噴水叩いた子供の手
噴水に噴き上げられて飛行船
噴水は停止がさつな表示あり
噴水の力つきたる高さかな
噴水の終了時刻ゴシック体
噴水のしぶきを浴びる方に立つ
二階より噴水の躁よく見える
空の虹摑み損ねて噴水よ
連休の噴水に行く昼休み
噴水や同じリズムの心電図
噴水のかなたの街へ歩みいる
噴水の子等ぶつけ合う水風船
躍る噴水すすむ少年鼓笛隊
噴水の音静まりて別れどき
噴水は飛びたき水のこころです
噴水やネオンが映える待ちぼうけ
噴水といふ幻想に囚はるる
雨の中噴水飛び散り水の玉
噴水の捨てざるべきや老いもまた
清濁を併せ噴水立ち上る
噴水の憤怒の泡の盛り上り
カルガモの親子噴水遠まわり
カップルの噴水越しにキス交す
噴水を染めて銀座のネオンかな
噴水の空にはつひに触れ得ずに
水の無きときも噴水ありにけり
噴水や時間の謎は解けぬまま
噴水を聴く四阿の烏龍茶
噴水のしがらみすべて捨てにけり
噴水の止まる時間の待ち合わせ
噴水の宙ぶらりんのまま止まる
噴水の鳩と雀が憂さ話
噴水の水浴びを待つ日陰かな
不規則も規則の内に噴水上ぐ
噴水の底に光るや五円玉
噴水や飛行機雲の交差する
空しづか次の噴水起こるまで
噴水と高さを競うシャトルかな
噴水の影の慌ててついてゆく
閃きしやうに噴水立ち上がる
見下ろせば噴水広場予期もせず
噴水にじゃれ合う子らの半裸かな
噴水のしぶき白河夜船漕ぐ
噴水を避ける子の群れ白帽子
噴水のすこし女神の衣を濡らす
噴水へ寄り来る園児も年寄りも
噴水にかすむ真昼の会議室
噴水の眺めてをりぬ花時計
噴水を被る小便小僧かな
飛沫とび逃げ回る子ら噴水広場
噴水の朽ちたる穴は自在なり
芸術と見せ噴水の美術館
噴水のもうこれ以上伸びぬ丈
噴水や人は平にうごくもの
宮殿の噴水広場仮面売り
雨の日の噴水といふ所在なさ
噴水やべそをかく子の濡れた髪
噴水の水の戯れガラス越し
噴水は水の口笛吹いてゐる
噴水のライトアップとピシャピシャと
ショッピングモールの噴水へそを見せ
噴水のしじま噴水破りけり
立ちあがる噴水の先おどる靴
振りかへるとき噴水の音強く
噴水はジャンヌダルクへ町眩し
ちょぼちょぼと老いた噴水もうゐない
噴水のベンチいつもの子のをらず
噴水を去るひとびとの日暮れかな
噴水の象嵌めけば十二階
ママ必死噴水いらぬ保育所を
噴水のいただき昼月に触るる
噴水も眠る深夜の逢瀬かな
噴水のたまに息継ぎしてをりぬ
噴水のしぶき苔むす忠魂碑
噴水の穴踏みつけて鬼ごっこ
口つぼめ噴水にして種飛ばす
噴水や妖精にならぬ水が散る
噴水と戯れているワンピース
噴水を烏軍団占拠せり
噴水や楽器となりて風鳴らす
噴水の昇りきつてはひしやげをり
噴水の一滴待ち受け画面上
噴水を夜止める役当たりけり
見上げれば噴水色の空である
噴水にある不整脈らしきもの
けなげなり小雨の中の噴水よ
噴水に日がな水玉踊りけり
噴水の風にスカート膨らませ
噴水やけふはママ友見当たらず
噴水の他は裸婦像目を盗む
噴水にいつしか日差し傾ける
噴水の同心円を揺らす風
噴水か私語か噂か逃ぐ鳩か
噴水やまだ来ぬ人を待つつもり
噴水やぬるき水吹き人気なし
噴水の穂のポキポキと折れにけり
大事なはなし噴水が出ていない
いっせいに雨をよろこぶ枯噴水
陽に向い虹になれよと噴水す
噴水の空に真白の飛行船
噴水や伝説のパン屋の来る日
後ついて噴水の園越えにけり
別れの夜踊る噴水色に酔う
噴水の頂に座す愚者を見よ
大噴水三歩下がりてシャッター音
目の高さ噴水を見るひと筋さ
軽い鬱状態のままの噴水
雨つよし噴水の穂を隠したり
噴水止む頂き空に置き去りに
噴水やみづの一気に脱がされる
噴水や心おきなく人を待つ
誰を待つ噴水の水止まるまで
噴水やパピコとうとう溶けはじむ
噴水や喧噪はたと遠のける
噴水のかすかに生きてハスの池
噴水の前のベンチのデートかな
噴水に色とりどりの疲労かな
噴水のライトアップをよぎる虫
路地奥のマリアの像と小噴水
噴水やメゾンラフィット午後に入る
目瞑れば噴水の音の溢れけり
噴水を取り囲む老人無口
噴水や音楽堂の音合せ
駅に着き噴水丸善まで歩く
噴水のひと伸び加へ落としけり
噴水やクレープ移動販売車
噴水の止みたそがれ色の水面
寒々と風の噴水遠目に見る
噴水のまたたき描く魔法陣
噴水のしぶきの中で誰を待つ
噴水の余力ありげの高さかな
噴水の止みてベンチの薄汚れ
昃げりて噴水黒き蜘蛛の糸
噴水の手掛かりネオンサイン赤
渇水にすがるすべなき枯噴水
妖精が手をつなぎ舞ふ噴水かな
噴水の噴き散る飛沫虹の橋
噴水に声かけて行く通勤路
噴水やキャッチボールの球逸れて
噴水の中へ走者の影と影
噴水や逃るる風を押し返し
噴水の水の落ちゆく溝の底
噴水を背凭れにして鼻をかむ
噴水や玉をころがす腕を見せ
噴水や雨に打たれしはね返し
噴水のひそやかな舞風の唄
噴水や風七色に散りぢりに
真夏にね噴水気持ちい近寄るよ
母も子も喜ぶ噴水虹かかる
噴水の鳩を散らせる飛沫かな
噴水に隠れて宵の博物館
噴水のひかりの中に別れけり
噴水の下から上へひっぱられ
噴水のひかりに拾ふ鳥の羽根
噴水のひとつ穴より立ち遅れ
噴水の一部は風に乗りて岸
噴水のライトアップの拍手かな
噴水のやうに折れたる痴話喧嘩
噴水の永遠にとどかぬ空支ふ
待ちぼうけして噴水に襲わるる
噴水にパレット要らぬ独立性
噴水を浴びる風下風まかせ
噴水や高みめざせど頽れて
噴水の前に待ち人きっかりと
あの時は噴水もっと高かった
噴水を我が物顔の烏かな
噴水の光る路面へピンヒール
3・11の噴水空から原子炉へ
噴水のなかをメロディー流れをり
噴水に伸べたる腕のまだ白く
噴水に誘はれている子どもかな
噴水を囲む車夫等の太き足
梅雨明けてからっと噴水水遊び
噴水の紙飛行機のほどけたる
噴水や光はじけるエステ荘
噴水にはしゃぐ子どもとじゃれる犬
噴水のこれほど高きばかぢから
噴水のやみて尖塔現はるる
永久にあれ平和記念の噴水よ
噴水や丸の内にも虹出づる
猛々し噴水上がる高低差
噴水や風に押されて池の外
噴水の裏は背後や鳩の恋
鯉群れて落ち来る水と戯れる
これだけ今日はがんばりましたと噴水
噴水の水はかならず落ちてくる
噴水や裁判所出る明と暗
噴水の明治大正昭和かな
児(こ)らはしゃぐ噴水小便小僧かな
夏休み噴水で遊ぶ楽しいな
噴水に紅い国旗と大使館
夢描き夢の大空噴水よ
ネクタイゆるめ噴水に足を伸ばしけり
噴水やマーライオンは口開けて
胸絞る噴水越しに君がいる
噴水や十年先の吾見えず