きんようブログ 社員エッセイを掲載。あの記事の裏話も読めるかも!?

兼題「鷹」__金曜俳句への投句一覧
(1月25日号掲載=1月6日締切)

「櫂未知子の金曜俳句」投句一覧です。

みなさまは鷹をみたことがありますか。多くの人にとっては、もはや動物園でしか
会えないかもしれませんね。

さて、どんな句が寄せられたでしょう。

選句結果と選評は『週刊金曜日』2019年1月25日号に掲載します。

どうぞ、選句をお楽しみ下さり、櫂さんの選と比べてみてください。
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【鷹】
毅然たる鷹睥睨す天と地と
亡き母と共に現わる鷹の夢
悠然と大鷹のゆく地平あり
旋回の数もう読めぬ親子鷹
放鷹の腕の振り出す先の空
ハンググライダーより尚でかい鷹
無人駅に汽笛放てば鷹翔り
鷹匠の革手袋の爪の傷
遠ざかる耳持て鷹の空青き
鷹発てり天を支える梢より
鷹渡る午後の青空低きかな
大殿の鷹とは知らずご無礼を
鷹渡る日曜日には休息を
鷹舞うてどんどん我のちぢこまる
乗り換への風の停車場鷹柱
鷹に会う夢のせ回文船を折る
羽開き鷹宙空に獲物捕る
真実は鷹の飛翔に隠される
鷹の羽ひかりとなりて零れけり
寂寥を餌に鷹の目の怜悧なる
鷹翔びぬ千の眼を吸ひ寄せて
大原野に鷹の狙ひし速さかな
仰臥して鷹には成れぬ身を思ふ
大空を住処となせる鷹のつら
世界中の時止めて鷹つばさ閉づ
百年を生くる母なり鷹を指す
大鷹の厳父の如し遠目して
見習ひの鷹飼少女声優し
蒼穹を引き裂き鷹の急降下
落城を知らず一羽の鷹降りる
鷹一羽一直線に地に刺さる
鷹の眼に射すくめられて風止みぬ
鷹の目に我が小心を射貫かるる
天空に舞う鷹の眼よ何映す
滑空し茜の空に鷹渡る
獲物掴み飛び立つ鷹の傾けり
いつの世か鷹が自在に翔けた空
襖絵の鷹飛ばずとも室を制す
過去ほどに誇るもの無し鷹の空
潮を舐め潮に洗われ鷹育つ
鷹の飛ぶ高空鴉も旋回し
風格は野武士のようなうちの鷹
鷹舞ふや天守もうなき天守台
荒野ゆく前世を鷹と決めており
悠々の旋回ショーや鷹一羽
吹き晒す梢佇む鷹一羽
鷹の目に映る世界を我が目にも
眼光の鋭き鷹や餌を探す
驕児今や作法の士なる鷹巣立つ
鷹見たし勇気を得たし古希の坂
鷹匠のごとく馴らせや冬の妻
気の流る底をとらへし鷹柱
あいまいな県境のあり鷹渡る
鷹渡る一足先に赴任地へ
芝浜や酔漢と財布と鷹と
鷹赤し廃品回収の無線
逆光の木立を過ぎる鷹の影
追ひついてビルを鷹Vターンせり
夕茜鷹黒々と滑空す
隼やふるさとの血がさわぎけり
東京も命の森や鷹棲めり
動かざる老鷹の目のやさしさよ
鷹の眼に吾が胸の内見透かされ
海峡の空の孤独さ鷹が舞ふ
引鉄に触るる口先鷹を待つ
千年の村史の森や鷹の舞ふ
鷹の来て鳥観察会賑わへり
鷹の羽舞う命日の敷居かな
風吹きて鷹の止まりし枝揺るる
断崖に空を見つめる鷹一羽
星廻る速度無言の蒼鷹
大鷹の仕へたる森いまは風
鷹が舞ふ父のぬくもり胸に置く
群青の空一点の鷹渡る
長城の万里の空に鷹光る
転職の門出の朝や鷹渡る
飛翔する鷹に強風吹き荒れる
鷹匠の一声ぴりと鷹戻る
荒鷹の眼に外つ国の空の青
鷹翔べる空の青さに染まるまで
鷹悲し空の青さに溶け込まず
鷹の眼やひろがる海と駅伝と
鷹を飼う女や寺の多き町
大鷹や列車のとほる橋の梁
鷹の目のただ一点を見つめけり
火焙りの火の届かざる鷹の空
猛禽舎梢で鷹の動かざる
中天の光かき混ぜ鷹渡る
鷹飛ぶや毎日変はる山の色
鷹の飛ぶ青空最も憧れる
黄昏や鷹は雄飛を見せて去り
鷹憩ふ風の流れを読みながら
鷹渡る愛鷹山を富士山へ
鷹とぶや眼下に眺む空と海
風去るも鷹の胸毛の戦ぎおり
大東京高層ビルの鷹一羽
駝鳥とも鷹とも違ふ仮の恋
編隊の鷹の三羽の急降下
たかよ鷹そこは奈落ぞ棺桶ぞ
見習ひの鷹飼少女恥じらへり
あめつちに鉤爪立てて鷹来る
炭鉱の寂れし空や鷹渡る
鷹の歳鷹匠の歳また開く
一文字潮の香浴びて鷹渡る
鷹をみて土産に針を買ひにけり
杉木立只其処に居る蒼鷹
おんおんとおんおんと鷹遠からじ
空仰ぐ目にくもりなき鷹のこゑ
恐竜の目つき冷たき鷹睨む
メンチカツバーガー鷹の空はるか
鷹の空父の後ろにありにけり
レントゲン写真や鷹の影白し
巖欠けて鷹に逞しさの籠もる
国境を越ゆる車列を追ふ雄鷹
しづかなる化石の森に鷹の鳴く
大鷹の鎮まる森の空騒ぐ
千枚田頭上を鷹の猛々し
渺茫の大海原を鷹渡る
あを空をまつすぐに鷹越えにけり
鷹匠の腕を離れし若き雄
眼光の鋭い鷹が「ボーナスは?」
黒点に寿命のあれば鷹光る
合図待つ鋭き鷹の眼の光
訝しむことの多さや鷹越えて
鷹の鈴天空を突き地に響き
若鷹のはばたきまぶし日本海
昼の月より鷹数多生まれ出る
寒鷹のつかむ一枝や風の音
鷹の眼にいま離陸せしプロペラ機
寸毫のためらいも無く鷹翔てり
鷹の目は天王星を見たといふ
鬼瓦歯牙にもかけず蒼鷹
鷹匠の心をつないで獲物狩る
北極星眼で射抜いたり蒼鷹
岩礁を眼下にひとつ鷹の声
整ひし鷹を吸ひ込む青さかな
鷹はるか携帯に社から呼出し
鷹の目の金の凝視の瞬かず
動かねど鷹の威力は目口爪
あの鷹のやうに私を犯してよ
鷹の眼に寥しさ光る高き枝
戦争の近づき匂ふ鷹の空
鷹一羽倦まず弛まず空駆ける
奥山のその奥鷹の声のする
鷹渡り今日初孫の出生す
日輪の中より出でし鷹一羽
隼の消えゆく方に海光る
タカ派より鷹は自由に御空翔ぶ
風切りて鷹翔び去りぬ深き渓
鷹一羽峡の真中をすり抜けん
鷹匠を輿の如くに鷹来る
放たれるドローン鷹の重さかな
眼光は鷹に及ばず生き抜きし
急降下軟着陸して鷹遊ぶ
悠然と鷹の翼を畳みをる
鷹舞ひて天に通ずるさびしさも
鷹放つ草原起伏して薄暮
鷹一羽赤きくちびる動かざる
鷹の目や一人で生きる覚悟あり
散骨の海を弔意の鷹舞へり
鷹一つ見つけて困る男かな
大鷹の太き頸や逆毛立つ
鷂(はいたか)に空の一隅明け渡す
鷹三羽小さきものと直滑降
鷹柱崩れ崩れて大筑波
鷹放ちカラスの群れは山帰る
煽られて鷹落ち行けりV字谷
鷹の狩り朝の原野の空に見し
鷹の鳴く野鳥保護園古びおり
鷹を見て思ひ出す人ありにけり
鷹舞ひて蒼穹の切り裂かれたり
空滑べる鷹に一瞬の夕陽かな
鷹の眼の穿つは森の侵略者
鷹の眼やとほい運河に橋架かる
鷹鳴いて水面に残る波紋かな