きんようブログ 社員エッセイを掲載。あの記事の裏話も読めるかも!?

兼題「霰(あられ)」__金曜俳句への投句一覧
(11月25日号掲載=2016年10月31日締切)

選句結果と選評は『週刊金曜日』2016年11月25日号に掲載します。

どうぞ、選句をお楽しみ下さり、櫂さんの選と比べてみてください。
なお、今回は「兼題」以外の句がありました、末尾に掲載しますが、当季雑詠は
募集しておりませんので、ご留意ください。

『週刊金曜日』の購入方法はこちらです

amazonなどネット書店でも購入できるようになりました。

予約もできます。「週刊金曜日」で検索してください。

【霰】
その上で霰の躍る石舞台
大根引く昨夜の霰転がり出
ため息にまぎれて溶ける夕霰
初霰恐ろしきもの消えにけり
園児等の声の明るきあられかな
幽閉のガラシヤの里に玉霰
うたたねの小さき夢や玉霰
霰打つ仮設住宅屋根薄き
吹き溜まる霰にネオンライトかな
霰から降り初む雪や大人びて
洛中は城攻めのごと玉霰
どどどどど雲が霰となりて落つ
薄陽射す白き街路にあられ降る
霰打つ音あるものと無きものと
叢雲のかたまるところ霰降る
霰降る乗り換え駅は無人駅
我が家には何事も無く初霰
霰降る小町の里の家十戸
霰打つ心うたるるごとくかな
更けにけり霰ころがる甃
狼藉のあとを引き上げ霰雲
傘をうつ霰に決意促がさる
初霰来たりて往ぬる音残し
手に受けし霰は子らの夢となる
廃坑の口霰蹴る鉄条網
象の背を叩いて霰死にました
じわじわと霰の滲む素焼き鉢
敷石と霰とる手の乾きけり
軒下に犬の寄り添ふ玉霰
鵯は鵯雀は雀霰かな
定め無く風に舞飛ぶ霰かな
霰ふり溜まりし水をび越えて
急霰や裾をからげて女坂
霰降るビニールハウス弱きかな
瓦割る音持ち霰暴れたる
論語読む姿勢正して初霰
霰降り落つライオンの鉄の檻
霰降る黒き舗道に靴の音
南国といふ千葉の地に降る霰
思い出を繰り返す母夕霰
心連れ霰たばしる最終便
夕陽ヶ丘霰の中を犬散歩
平成の音色や傘を打つ霰
雲間より吹きこぼれたる霰かな
ハーモニカ横丁に聞くあられかな
渡船場に波を叩いて霰降る
白檜曽の白よりしろき霰くる
突然の霰にさわぐ子らの群れ
歩行者天国(ほこてん)を席巻したる霰かな
クッキーを割る音遠し急霰
霰飛びイターイ、イタイと跳ねる子ら
玉霰弾く線路の色は銀
折り畳み傘の想はぬ霰受く
噺より外の霰に聞き入りぬ
霰降る内緒話の音をたて
印結ぶ野仏の手に玉霰
トタン屋根霰奏でるパーカッション
ビニル傘向ひて来る宵霰
霰弾くよ警官のヘルメット
甲板の綱のねじれを霰打つ
荷の箱の蓋を打ちたる夕霰
珠霰弾む気持ちを歌にする
玉霰ビルの裾野を飾りたる
大道のクラウン終えて霰髪
何時までも夕霰からストーリー
仇斬って霰坂唯暗緑に氷河裂け
夕霰窓に顔出す子供かな
阿蘇の野に牛がてんてん霰降る
犬がまだ犬から出られぬ霰かな
霰降るトタン屋根なき過疎部落
駅遠き霰転がる坂の町
ぬばたまの夜の底たたく霰かな
雪という名前の少女霰玉
珠霰我は下流か上流か
たちまちに溜まる路肩の玉霰
玉霰あるひは風の化身かな
波薄く浜に伸びゆく夕あられ
一億粒いま東京に霰跳ね
山並みの霰にほわと持ち上がり
空を見て霰も浴びて芯の冷え
一瞬に野山を染める霰かな
路地裏の隅に残りしたまあられ
パラパラと霰炒るよな屋根の上
玉あられ副団長の声荒く
黒子より抜きし毛白く初霰
霰落ちベランダの穴から空青く
瞑想の野仏たたく霰かな
軒並みのシャッター街を霰うつ
霰降り紅葉手延べる幼子や
駆け下りて霰激しき男坂
肩叩きする手弱れど夕霰
ときどきは思ひ出苦し霰降る
末の子の愚図り止みたる霰かな
凹凸を露わにしたる霰かな
霰降れ喜び合った幼い日
ポケットに出生届霰ふる
玉霰小箱に詰めてただ嬉し
霰散る反抗に芯あるごとく
月の兎跳ねてこぼせり玉霰
霰みな吸い込まれゆく畦畔茶(けいはんちゃ)
霰降るひとつは耳の中までも
改憲や釜山港にも霰撥つ
ベレー帽似合ふ肩にも霰積む
玉あられ阿蘇にころがるとこ多し
雨、雪に霰ちゃんが加わりて
霰降る生きる痛みを知らざる身
大地には霰ぶつかり人等寝る
霰うつ足元暮るる石畳
手のひらに跳ねて毀れる霰かな
齢ふりてよりの聖書や玉霰
表札の武張った名前霰降る
ぽんぽんと霰跳ねれば胸騒ぐ
高原に一色足しぬ玉霰
なげやりに霰跳ね来る船尾かな
うまそうな花梨に当たる霰かな
芝居跳ね帰路を急ぐや霰降る
絶え間なく震ふ傘から霰発つ
玉霰古地図の深き折目かな
長尻の客やますます夕霰
霰降る今朝は味噌汁熱くせよ
朝市の二百のテント打つ霰
キーボード叩くを止めて玉霰
きらきらと地に張り付きし玉あられ
玉霰薄情な奴追い出して
初霰日記を付けて身の締まる
ベランダの隅に群れゐる霰かな
霰跳ねるよ失恋のエナメルに
思ふこと一つ二つ三つ霰かな
愛ちゃんが右に左に霰玉
山路かな原色の背に玉霰
甍に弾む霰からから京町屋
高すぎのアスファルト率霰降る
霰降る漂流物増えし海
たわむれに流木組みぬ初霰
霰打つ屋根の烏の遠慮がち
糶を待つ蟹の目を打つ玉霰
霰打つ頬あかき子の頬額を
ついてくる昭和の犬や夕霰
玉霰浮気心を固くせり
立ち飲みにひとり霰の音聞きぬ
霰降るビジネス街のお昼時
霰撥ね子ども等が跳ね仔犬はね
玉霰街の真中に居て孤独
玉あられ第九の響きより高く
霰話持ちきりになる伊豆半島
独り寝の明日も見えずや打つ霰
あられ降る薄き命の流されて
にごりえを打ちて霰の透きとほる
直球を繰り出すやうに霰落つ
病得て落果に積もる霰かな
野仏の笑むや霰のたたく中
句敵の傘のよろこぶ初霰
夏霰降り電車も停電真っ暗に
家移りの荷物に留る霰かな
追いかけし犬間に合わぬ霰かな
目力の蔵王権現玉霰
モネの花描かれし傘に霰跳ね
食べどころまとまってゐし夕霰
玉霰走りて帰る髪飾り
霰散る鶏の指ふるへをり
訃報聞く高速道路に霰降る
芒倒れしまま霰降り止まず
空青し祖母の自慢の霰餅
人生に不意に訪ふ雨霰
霰降る妻の小言のごとく降る
朝粥に匙を沈めて霰降る
耳遠くなりて心で聴く霰
参道に降りし霰の掃かれけり
一難の過ぎ去りてのち玉霰

【雰】
手の届く其処の遠さよ雰の中
国境のどこまで行けど雰の中

【霧】
霧の中犬の鳴き声見えぬ道
霧の中犬の遠吠え孤独なり
煙草吸い煙と混じる霧の中

【不明】
もはやこん雪やコンコン歌いし日
演歌とは氷雨降るよな歌である