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兼題「春落葉」__金曜俳句への投句一覧(3月27日号掲載=2015年3月1日締切)

「櫂未知子の金曜俳句」投句一覧です。

選句結果と選評は『週刊金曜日』2015年3月27日号に掲載します。

どうぞ、選句をお楽しみ下さり、櫂さんの選と比べてみてください。

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【春落葉】
安曇野の水に重たし春落葉
人生の区切り見ている春落葉
春落葉集めて置きし幼な木に
春落葉善き人はみな早世す
春落葉踏みしめ友は去りゆけり
小判なら無言で掃くや春落葉
だんご虫触れて団子に春落葉
二代目を見守るごとく春落葉
老僧の掃きし羅漢の春落葉
それぞれの滞空時間春落葉
春落葉何かの墓場かと思ふ
春落葉みな一様に碧きまま
春落葉その他大勢と括られて
グランドの春落葉掃き新人戦
一人旅たとへば春の落葉かな
いつになく寄せるも寂し春落葉
春落葉季節外れは安倍の様
春落葉落ちてにわかに戦ぎけり
思案果てつと立ち止まる春落葉
春落葉与へられたる余日なり
若き芽に押しつ押されつ春落葉
丁寧に掃かれし寺の春落葉
頑張れと軽く言はれて春落葉
春落葉風に舞ふ森生気満つ
春落葉箒もつ背に遊びをり
視野の隅逆光つよき春落葉
百歳に春の落葉の翻る
春落葉孫の巣立ちを見届けて
肺癌を切りて生還春落葉
ラヴレター読まずに溜めて春落葉
うれしさの中途半端や春落葉
恨みにも似て春落葉よく燃ゆる
産土の暮鐘間近に春落葉
小判ならずしりと重し春落葉
人生の区切り見ている春落葉
だれからも気付かれぬまま春落葉
職退きて職を探せり春落葉
春落葉のような二人の日曜日
鳥見えてから見られをる春落葉
春落葉かつて旧家の広き庭
雨音を吸い込みゆくも春落葉
春落葉築地の外の子らの声
蜘蛛の巣にひとひら揺れし春落葉
春落葉小さきものを育ており
春落葉本日家禽捌かるる
二人して踏み音聞くや春落葉
春落葉に春のためいき埋めけり
憲法とダブッているのは春落葉
春落葉神にサインや森死なず
春落葉古道に客や既に踏む
コンポスト容器を囃す春落葉
春落葉ほうき静かに動かせり
雨樋を棲家とせしや春落葉
海見えし明るき森の春落葉
ばあちやんが守れる山や春落葉
春落葉選択肢ならいくらでも
季節違え春に落ち来る福島は
山賤の吸い残せしや春落葉
見上げれば楠輝いて春落葉
生き残るもののひとひら春落葉
春落葉掃くが任地の初仕事
豪邸も更地となりて春落葉
春落葉往きにも踏みて帰りにも
子供らの踏み音高し春落葉
片道の飛行とび立つ春落葉
目覚めたる獣の道に春落葉
春落葉三人称の好きな彼
化粧濃きひと掃き清む春落葉
春落葉世代代われる歌舞伎界
春落葉古木の根方余白なし
春落葉落葉の季節間違えた
黒土や身を反らせたる春落葉
春落葉敷き詰め森の青々と
兄弟に欠けた子がいて春落葉
土俵入りして居る様な春落葉
あと戻りしてそつと踏む春落葉
図書館に降り積もる思惟春落葉
倒木の亀裂まざまざ春落葉
春落葉安倍政治を体現す
春落葉女人顔出す勝手口
行き会ひてひとかたまりの春落葉
アルバムの瞳耀き春落葉
いち抜けてしばし沈黙春落葉
春落葉濡れ鐘楼の背丈ほど
春落葉デモの尾つぽの私語多し
箒目の庭に三枚春落葉
春落葉郵便受けの名札剥ぐ
木の陰に誰か居るのか春落葉
朦朧の窓辺に春落葉の影
やり過ごす電車二本や春落葉
蜘蛛の巣の餌食となりぬ春落葉
略歴は三行で足る春落葉
よろめけり石を秘めたり春落葉
春落葉読点のごと歌碑に舞ふ
新聞紙ほどの日向の春落葉
父のごと悲しきものは春落葉
なを空を掴まむとして春落葉
春落葉濡れて墓石にまつはりぬ
一城の盛衰ともに春落葉
春落葉事件のありし空き屋敷
新たなる世代交代春落葉
春落葉管理人なら未亡人
春落葉キャンパスにまだ人多し
松山の雪折れ傷む春落葉
神体の山の息する春落葉
朦朧の窓辺に春落葉の影
春落葉尻の下なる写生会
ゆつくりと春落葉踏む校舎裏
春落葉ふみ登校の一年生
はるかなるひかり重ねて春落葉
春落葉裾捌きして野点かな
新調の箒のための春落葉
文学部キャンパスことに春落葉
張り付きて二日生き延ぶ春落葉
春落葉落ちれば土を恋ふ如し
化粧濃きひと掃き清む春落葉
地下室に少女のひみつ春落葉
親離れした子にほっと春落葉
雨後の朝ところかまはず春落葉
春落葉老いの願ひを若者に
小判なら競い掻き寄す春落葉
落ちて行く常盤木落葉の揺れ具合
廃線の小さき隧道春落葉
夕映えをくべては春の落葉焚き
福島の土を汚した春落葉
外に出でて猫はゆまりに春落葉