きんようブログ 社員エッセイを掲載。あの記事の裏話も読めるかも!?

兼題「歌留多(かるた)」__金曜俳句への投句一覧(1月30日号掲載=2015年1月5日締切)

「櫂未知子の金曜俳句」投句一覧です。

選句結果と選評は『週刊金曜日』2015年1月30日号に掲載します。

どうぞ、選句をお楽しみ下さり、櫂さんの選と比べてみてください。

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【歌留多】
一斉に前のめりして歌留多会
シベリアに暗唱歌留多ありしてふ
歌留多取り振り袖姿に目がくらみ
読む声の朗朗として歌留多会
六十五歳姫路の姉の読む歌留多
歌留多取り重なる手と手は決まり居り
坊主めくり蟬丸だけの記憶かな
かるたとりしやうか宴も中だるみ
遠縁の笑わぬまなこ花かるた
誰よりも手が先に出る歌留多かな
歌かるた「恋」は苦手と叫びたし
酔い醒めの老い試さるる歌留多とり
講堂に溢るる笑ひ歌留多取り
勝ち負けに残り香のあり歌かるた
新調の白木の箱に古歌留多
勝負師の顔して孫の歌留多とり
引き出しの隅に歌留多と子のノート
晴ればれと恋の歌詠む歌留多会
時札を取られて泣く子歌留多とり
歌留多会勝負のかかる恋の札
業平の弾き出さるる歌留多会
歌留多取り袖振り合うも他生の縁
三代の家宝となりぬ歌留多かな
敗戦のいろはかるたのみな貧し
とりあへず手を出してみる歌留多かな
歌がるた耳の奥より恩師の声
歌留多とり卒寿の母を遠巻きに
一枚を競う姉妹や歌留多かな
恋札につひ気を取られ歌留多取る
歌留多とり老若男女集ふ居間
細腕が肘を張り合ふ歌留多会
歌留多するほどの意気なき核家族
手で起こす風より歌留多の清新さ
膝詰めに攻める畳や歌留多取り
歌留多取り孫に負けたり酒旨し
周り見て息を込めたり歌留多取り
初恋を思ひ起こせし歌かるた
おそろしきボーイソプラノ歌留多読む
手の早きはう愛さるる歌がるた
歌がるた静かな雨となりにけり
恋歌留多去りにし人は今いずこ
利き手ではない方の手で取る歌留多
祖母呉れし聖書カルタをおごそかに
歌留多取るかつての恋を思いつつ
歌留多をば密かに入れる旅鞄
撫肩をいからせて取る歌留多かな
勇ましさ轟く歌留多競技会
歌留多会歌会始真似て読み
歌留多とり構へるのみで終りけり
歌留多読む声に聞き惚れ取られをり
ひたすらに坊主をめくる歌かるた
衰えしおてつき多き歌留多会
歌留多への競技の女性恋知るや
飛び交ひし若者言葉かるたとり
歌留多取り加えたき人加わらず
もう恋はない人々とかるたとり
「秋の田の」歌留多に両手で応戦し
末つ子の一札抱ふ歌留多取
姪よりも母の手軽き歌留多かな
歌留多会向ふ姿はアスリート
好きな歌口ずさみ行く歌留多会
わらんべに取らせ終るやかるたとり
手加減し子に取らせをり歌留多かな
人生に歌留多ほどには燃へられず
お手付きを二度まで許すかるた取り
声の良き読み手の寄せる歌留多会
歌留多会お汁粉の出て水入りに
歌留多取り大会年齢区分され
歌留多半ば大差つきたる児の「やめた」
幼年時歌留多キングと渾名され
恋の札近きに置いて歌留多取り
若き日の母はヒロイン歌留多取り
歌留多切る子の指のもう青年に
歌留多読む取り手にもなり教師かな
歌留多会お転婆けふはおとなしく
用意してつひに使はぬ歌留多かな
歌留多読む母の指先緊張す
合の手に帯鳴る音や歌留多会
歌留多取りてびかえ忘れ孫に勝ち
歌留多取り恋など知らぬ子のをりて
世捨て人ばかり手許に歌がるた
鳩時計幾度啼きしか歌留多とり
夕食後母を読み手に歌留多かな
汁粉来て中休みなり歌留多取り
質問に答え再開郷土歌留多
娘等嫁して久しくやらず歌留多かな
歌留多会祖母の口から恋の歌
読み手取り手一人児忙し歌留多取り
歌かるた彼女はすでに70歳
思はずも手の重なりぬ歌留多取り
目の前の大事な歌留多取られけり
たらちねの母あらばこそ歌かるた
歌留多取りなぜか坊主が好きであり
父ありて歌留多飛ばせし過日かな
歌留多読む次いで犬棒カルタ読む
寄せ返す君が髪の香かるたとり
もう恋に無関係なる歌留多かな
歌がるた少女は忍ぶ恋おぼえ
いろはから京へちりぬるかるたかな
一枚は狙ひ定めし恋歌留多
重なりし手の感触や歌留多取り
歌留多読みし彼女は今は俺の妻
少年の算数よりも歌かるた
手のひらを滑りてゆける歌留多かな
開拓の力の籠る板歌留多
歌留多取り席を決めるも賑やかで
客の声に歌留多の読み手出てゆけり
長電話歌留多なかなか始まらず
洩れ出づるコーヒーの香やかるたとり
歌留多とり畳のキズを目印に
はいはいに歌留多散らして大器なる
歌留多とりスマホ疲れを癒さるる
堂々の言葉の続く恋歌留多
虚実有る歌留多の登場人物にも
掌に余る歌留多切る子の晴着かな
歌留多して三女に勝たせてあげにけり
歌留多取りよそ行き声の円かなる
駒回しメンコたこ揚げ歌留多取り
歌留多取り見たこともなき眉根寄せ
歌かるた予備の白札白く古る
歌留多取りいろはにほへと汁粉食う
怪我人の出ることもあり板歌留多
読むほどに声をつよむる歌留多会
祖母の読む下の句を待ち取る歌留多
だいどこのテレビつきをるかるたとり
子らの寝て大人の歌留多始めけり
歌留多とりかつての少女彷彿と
眉で聞く読み上げのこえ歌かるた