きんようブログ 社員エッセイを掲載。あの記事の裏話も読めるかも!?

兼題「菊の酒」__金曜俳句への投句一覧(9月26日号掲載=2014年8月末締切)

「櫂未知子の金曜俳句」投句一覧です。

選句結果と選評は『週刊金曜日』9月26日号に掲載します。

どうぞ、選句をお楽しみ下さり、櫂さんの選と比べてみてください。

『週刊金曜日』の購入方法はこちらです

amazonなどネット書店でも購入できるようになりました。

予約もできます。「週刊金曜日」で検索してください。

【菊の酒】
夜のエコー菊酒飲まぬ悔いである
老病の隙をいただく菊の酒
教え子の届けてくれし菊の酒
菊の酒二日後なるアメリカ忌
丹念に育てし菊の酒を酌む
菊の酒奉書に納まる焼き魚
この国のいつまで持たん菊の酒
花びらの重み纏いし菊の酒
語り尽しなお母を知る菊の酒
幕末の欠けたる酒器や菊の酒
役まはり変へたきことも菊の酒
うまうまと菊酒を汲む金の盃
輩の息みな深む菊の酒
人間でいへば何歳菊の酒
幽霊となりて千里を菊の酒
遠方に往きし友に菊の酒
菊酒や真似して遊ぶお座敷芸
一片があれば十分菊の酒
菊の酒燈下にうかぶ菊一葉
菊の酒赤い盃飲み干して
老若の今宵は膳に菊の酒
しばらくはをんなのつもり菊の酒
宝くじしおりとしたり菊の酒
くれぐれも油断召さるな菊の酒
花嫁の父を務めて菊の酒
菊の酒縁無き衆生コップ酒
菊の酒くみして負けし喧嘩あり
悔い残し生きる他なし菊の酒
記憶をなくすまで菊の酒飲めず
五十回忌なお母を知る菊の酒
盃にしずかに満ちる菊の酒
菊の酒菊子の由来聞きながら
縁者にと加はる席の菊の酒
山登り菊の酒より麦茶こそ
飲む酒も菊をば入れて祝ひとす
還暦に先ずは一献菊の酒
菊酒や稜線を這ふ祝歌
一皿に芋盛り付けて菊の酒
ひたすらに肯ふをとこ菊の酒
明日のこと話す白寿や菊の酒
老残の日日をかこちて菊の酒
ちよつと晴れすぎじやないかよ菊の酒
金箔の漂ふてゐる菊の酒
童顔と言はれつづけて菊の酒
盃に金の家紋や菊の酒
盃で船数えたり菊の酒
息災や疾くしみわたる菊の酒
下山して僧に賜る菊の酒
菊の酒若冲の象肴とす
今日の些事ここまでとさせ菊の酒
友は皆老各各に菊の酒
訳ありの青磁の酒器や菊の酒
柄杓より零るる花弁菊の酒
半世紀前見し浮雲菊の酒
漂泊の思ひを口に菊の酒
重陽の三叉路にある酒屋かな
誰からともなく車座に菊の酒
すききらいすききらいすき菊の酒
几帳面に居並ぶ遺影菊の酒
潔癖の人からエコー菊酒飲め
血管の浮く齢にて菊の酒
現世の道に惑ひぬ菊の酒
各々が肴もちよる菊の酒
菊酒や六十九年戦させず
はらからの皺わらひあふ菊の酒
菊酒や金婚式の祝膳
喋りたき聞きたき話菊の酒
漆黒の盃ふかぶかと菊の酒
文明は揚子江より菊の酒
菊酒や星座占ひまた一位
都より邑に移りて菊の酒
雨垂を招き寄せたる菊の酒
壁紙に傷ひとつなく菊の酒
菊酒を見て酔ふ下戸の微笑かな
敦煌の旅寝の窓や菊の酒
菊の酒交わすじゃんけんグーで勝つ
青空が手の平にあり菊の酒
菊酒の薬効をなほ確かむる
菊の酒飲みたや孫の宮参り
母菊江五十回忌の酒注ぐ
菊の酒昔はものをおもはざる
陶然と黒田杏子や菊の酒
全勝の激励の会菊の酒
菊酒や隅ではじまる武勇伝
金婚を迎へ二人で菊の酒
広口の猪口がふたつ菊の酒
菊の酒眼下にしかと千曲川
戦さ知らぬ宰相よ飲め菊の酒
白山の雲伸びやかに菊の酒
よそほひに真珠の並び菊の酒
玉三郎見ての夕餉に菊の酒
石庭の瀬音さやかに菊の酒
菊酒をこぼしながら飲む剛毅さよ
菊の酒年の数だけ入れにけり
職を退く話など出て菊の酒
女子会の趣向とするや菊の酒
菊の酒淡き旅へと誘われぬ
井戸水に浸けて一献菊酒かな