きんようブログ 社員エッセイを掲載。あの記事の裏話も読めるかも!?

兼題「残雪」__金曜俳句への投句一覧(3月28日号掲載=2014年2月末締切)

「櫂未知子の金曜俳句」投句一覧です。

選句結果と選評は『週刊金曜日』3月28日号に掲載します。

どうぞ、選句をお楽しみ下さり、櫂さんの選と比べてみてください。

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amazonなどネット書店でも購入できるようになりました。予約もできます。「週刊金曜日」で検索してください。

【残雪】
残雪を写し貯めたる月日かな
殘り雪消え石の上よごれをり
散歩道残雪で識る北南
残雪の山脈映す棚田かな
これからも闘い続く残る雪
残る雪汚れて暗し軒端かな
残雪や青き北岳間ノ岳
絶叫のテーマパークに雪残る
残雪や亡夫の秘めごと明かしたり
田を捨ててなほ雪形の馬なぞる
残雪のまだ深き町を去る子たち
残雪の窓背景に父見舞う
茅屋根に残雪厚く合掌す
山頂の大残雪の重みかな
残雪の遠き山あり旅終える
残雪や太き走り根見え隠れ
残雪や青僧の掃く石畳
君の来し証しのごとく雪残る
まだ残る雪に片足置きにけり
残雪の中よりペットボトルかな
雪残る塞ぎしままの窯場かな
残雪やゆきどころなき廃棄物
残雪の渓割れ踊る水の音
残雪の果てあつけなし天つ風
残雪と橅の緑と月の山
残雪や行列にお茶配りをり
残雪を踏みきし犬の足洗ふ
残雪の生みし静寂の崩れけり
残雪やまさかと思ふ政ごと
残雪と空の間の濃紫
残雪を謳ふの画くの迷ひ酒
残雪の角ごとにやゝ汚れをり
雪形や釣っては放つ川の岸
残雪や耳切る風の軽く来て
残る雪はなやぐ谺返しけり
残雪や陶工の炊く五穀米
古寺の残る雪道まだひそと
残雪を集めし川の濁りかな
残雪にほこり積もりしにほひかな
家主の性格なりに雪残る
残雪にひとの名のこし降りけり
残雪やところどころに春を置き
落ち着かぬ里を残雪見てをりぬ
残雪の父母のかたちの向ひ合ふ
残雪や今夜も一人飯を食う
残雪や午年らしき姿あり
残雪の有馬六甲海光る
動きみる富士の残雪更(また)崇敬
残雪となる前の音聴きたくて
残雪や合格まだ遠し仰ぎ見る
雪形を仰ぎ見るなり溶鉱炉
雀降る餌場の陰の残り雪
笑ひ合ふ雪形の説ぶつけ合ひ
残雪にバトミントンの羽上がる
残雪や旧街道の宿場町
残雪や女はできぬ立しょんべん
踏み抜けば残雪のした水流る
残雪やしがみつくのはもうやめだ
残雪や五体投地の打ち続く
残雪の地底に熱きマグマあり
狩勝を越え残雪の十勝の野
雪駈けよ残雪の馬追ふごとく
残雪や退職の門顧みず
残雪の持てば砕けぬおのづから
順繰りに残雪ありて楤芽吹く
残雪の校舎の日陰チョコ渡す
日本の裏に根深く残る雪
ひといきで漕ぎ上がる坂残る雪
残雪や故郷の血筋絶えてをり
残雪の時の流れのまつたなし
鎌倉や八幡宮に残る雪
残雪や旧街道の過疎部落
残雪やライトアップの藁屋根に
残雪や五十で山と別れて来
残雪や土すこしづつ柔らかに
ぺらぺらの残雪宵の草に浮く
雪形や動き始めし浚渫機
竹林のさざめきあうて残る雪
廃校の朝礼台に残る雪
残雪のうす日さしきて地に還る
残雪やじわじわ動く土の中
雪残る市場に走る緑かな
残雪や子らの笑いに顔上げる
子兎のかたちに雪の残りをり
残雪やシベリアの兄夢に出づ
裏日本残る雪から明け初むる
残る雪の他に何んにもなくて二人
すこし雪残る吊橋渡りけり
頂に残雪ありて安堵せり
残雪の端の地蔵艶なさま
残雪のこの世あの世の繰り返し
残雪が国道沿いにワニのよう
残り雪土のぬくもり追ひたてる
下校児の残雪枝でくづしつゝ

【雑詠】
乾燥と塩蔵海苔が舌試す
舌触り違ふ塩蔵海苔の妙
海苔市で鮮魚を掴む男意気
海苔食べてのりのりならぬ吾(あ)を恨む
春風邪は完全シャットダウンの舞
春風邪の母はアイスを所望する
海苔市場アルコール類は高騰し
春風邪の母の拘り含有率
海苔入りの味噌汁汚染海峡か
多国語の外装味付け韓国海苔