きんようブログ 社員エッセイを掲載。あの記事の裏話も読めるかも!?

兼題「ゼリー」金曜俳句への投句一覧(6月28日号掲載=5月末締切)

「櫂未知子の金曜俳句」投句一覧です。

選句結果と選評は『週刊金曜日』6月28日号に掲載します。

どうぞ、選句をお楽しみ下さり、櫂さんの選と比べてみてください。

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amazonなどネット書店でも購入できるようになりました。予約もできます。「週刊金曜日」で検索してください。

【ゼリー】
ヴァイキングゼリーを取らぬステーキ館
目で涼み舌で涼んでゼリーかな
頑固爺隠れ買ひ来ぬ老舗ゼリー
横顔に翳ある男ゼリー食ぶ
夫の嘘皿のゼリーの透明感
なかなかに許せぬこともゼリーかな
型にまづはまらぬ人に水ゼリー
ゼリーから教わることは極小に
賽の目のコーヒーゼリー光りあふ
南国を冷たく固めたるゼリー
ひと匙のゼリーを受ける母の口
匙をもて崩すゼリーの鏡面を
果実ゼリー宝石のごと閉ぢ込めて
髭面にゼリーひとかけ喫茶室
赤青黄ゼリーの花が咲きました
語りかけつつゼリー供へらる
さきにやぎ髭にゼリーの触れにけり
垂直に予後の臓器にゼリー落つ
ゼリー掬ふ匙に我が顔歪みあり
青空の映る珈琲ゼリーかな
電車待つコーヒーゼリー銀の匙
透き通るゼリーを飾る江戸切子
卓上にゼリーの並ぶ会議かな
低学年児童ぶつぶつゼリー待つ
六月のゼリーを突く無職かな
喉びこを震はせゼリー通りけり
ゼリー揺れ同窓会のお開きに
孫娘ゼリーの如き肌をして
ゼリー取る父の皿見て色判じ
噛むためにゼリーにしたのコーヒーを
児の運ぶ皿のゼリーの危ふかり
煌めくはゼリーの色の光かな
一服はコーヒーゼリーサガン読む
天然になき色したるゼリーかな
命哀しゼリーで動く喉仏
ため息とゼリーひとくち電話番
逢引に乱反射するゼリーかな
青ゼリー透かして見れば地球かな
手始めの戸惑ひのなきゼリーかな
仲直り簡単にするゼリーかな
まづ匙で揺らしてみたるゼリーかな
ばあちゃんは粉でゼリーを作ったさ
ぷるるんとゼリーの旨み知り染めし
失恋の少女ゼリーを弄ぶ
ゼリー覗けば太陽も水没す
化石みな清潔なるやゼリー食む
まつげへと黄なるゼリーの跳ぬる朝
禁断の果実のごときゼリーかな
ゼリーの午後口づけと云ふ檻のあり
清志郎忌イマジン聴いてゼリー食(は)む
病床の母が振る舞ふ桃ゼリー
その前からもうぷるぷるのゼリーかな
ひとくちのゼリーを二つ三つ四つと
差し入れのゼリーの冷たさ納屋の影
半切りの苺浮かんだゼリーかな
待ち人や空をにらんでゼリー食む
息を吸ふやうにゼリーを吸ひにけり
母の残すゼリーは廃墟のごとくなり
フェリー去りラム酒ゼリーとたゆたひぬ
辛党で過ごせし父よゼリー揺る
桃一片沈むゼリーや黙約す
スプーンがほんのり緑ゼリーかな
お見舞いのゼリーふるふる震えおり
留守番の食卓にゼリー山盛り
片恋の顫へはワインゼリーかな
弁当に一つ足されしゼリーかな
ゼリーとは何のことかと聖少女
暮れかかる街の片隅ゼリー食ふ
両手指不自由なところにゼリー出る
個包装ゼリーに少しだけ空気
叱られて強情な子の手にゼリー
歯に衣着せづゼリーを三つ食ふ
よく揺れる回転寿司のゼリーかな
ゼリーの香オープンカフェの白き椅子
慰撫のごと真珠の色のゼリー食ぶ
ゼリー好き少年少女古稀我等
谷川にゼリー沈めに帰郷する
悪い子になれとゼリーをつつきをり
諸事情でゼリーになったリンゴかな
柚子ゼリー吸ふ唇の薄きかな
老僧の夜中に起きてゼリーかな
熱の子の欲せるゼリー見つからぬ
ドリンクバー昂じてゼリーまで食べぬ
ライバルは水鉄砲さ青ゼリー
ゼリー型はずれてパンダゆれており
地酒ゼリー青磁に気息ととのへり
日向猫ゼリーの夢を見てをりぬ
ゼリーにて開く胸襟日本橋
蟠り沈めて二層のゼリー供す
ゼリーぺとぺと夕刊にテロの記事
ゼリーなら食べれるかもと「ら」のスプーン
舌で遊び歯で味わひしゼリーかな
眠る母ワインゼリーに酔ひたるか
昔からゼリーとる手は慎重に
ひと揺れしコーヒーゼリー無傷なり
草の香や旅の途中のゼリー食ぶ
木漏れ日のなかのゼリーの揺るること
本に本挟みて栞夜のゼリー
ゼリーとは喉(のみと)を滑る速さかな
村おこし画策するや桃ゼリー
冷へるまで待てぬゼリーや子の多き
中年のゼリーパパイヤ心太
ゼリーまだ震へてゐたる舌の上
曖昧に閉じた恋情揺れるゼリー
公園やゼリー一粒くれし稚児
ゼリーさて塗るか食ふかの大問題
恋を得し口にゼリーの弾みかな
ぷるるんと皆の好きなゼリーかな
南国のゼリーの蓋につくゼリー
股関節鳴らしゼリーの蓋を剥ぐ
崩し崩し食らふ少女のゼリーかな
青林檎ゼリーとなって蘇る
ブラックでいいのとコーヒーゼリー食む
偲ぶ会ゼリーの如き人生よ
ぶどう酒のゼリー静まる銀の匙