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 『週刊金曜日』が(株)阪急トラベルサポートを提訴

 株式会社金曜日(発行人・佐高信)=本社・東京都千代田区三崎町=とフリーライターの野村昌二さん(44歳)=埼玉県朝霞市=は7月1日、『週刊金曜日』掲載の記事を「虚偽」として、取材に応じた旅行派遣添乗員を事実上の解雇処分にしたことは、本誌と野村さんの名誉を傷つけ取材および言論の自由を萎縮させるものとして、株式会社阪急トラベルサポート(本社・大阪市北区、西尾隆代表取締役社長)に対して計1000万円の損害賠償を求める訴えを東京地方裁判所に起こしました。
 企業側がメディアや執筆者を恫喝するかのように訴えるケースはありますが、今回のように、取材に応じた者に一方的な不利益を与えた企業をメディア側が訴えるのはきわめて異例で、取材源保護、言論の自由の観点から注目されます。

 

 阪急トラベルサポートが問題としたのは、同誌2009年2月20日号掲載「シリーズ生きている労働組合18阪急トラベルサポート支部」(野村さん執筆)の記事。「日当は新人で1日約9000円、15年以上のキャリアを積んで1日約1万6000円で……(以下略)」「仕事が原因で3人亡くなった」旨の2箇所の記述を「虚偽」とし、取材に応じた同社派遣添乗員・塩田卓嗣さん(46歳)をアサイン停止(事実上の解雇処分)にし、塩田さんに対して『週刊金曜日』への訂正記事の掲載を求めました(3月18日)。しかし本誌および筆者には抗議はおろか質問すらありません。

 訴状では、

  1. 阪急トラベルサポートが問題とする2箇所の記述はいずれも同社についての記述ではない
  2. にもかかわらずそれを一方的に「虚偽」だとし、取材に応じた塩田さんを事実上の解雇処分とした
  3. 公的機関(東京都労働委員会)への文書(あっせん申請書)にも「虚偽」であると記載したことは、『週刊金曜日』と野村さんの社会的信用と名誉を傷つけ今後の取材活動を困難にするもので、言論の自由を萎縮させる要因となる

――とし、計1000万円の損害賠償と謝罪広告の掲載を求めています。

 なお、塩田卓嗣さんと全国一般東京東部労働組合は5月22日、東京都労働委員会にアサイン停止撤回を求める不当労働行為の救済を申し立てたほか、6月12日にはアサイン停止解除を求める実効確保の措置申し立てをしています。