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小誌、藤岡信勝氏に公開質問状

『週刊金曜日』編集部は8月29日、『週刊文春』9月4日号に掲載された藤岡信勝氏のコメントに対し、『週刊文春』編集部を通して公開質問状を送付しました。以下に質問状の全文を公開いたします。

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拓殖大学客員教授
藤岡信勝様

2014年8月29日
〒101-0051
東京都千代田区神田神保町2-23
アセンド神保町3階
週刊金曜日編集部
tel 03-3221-8527
fax03-3221-8532

『週刊文春』へのコメントに対する公開質問状

前略 『週刊文春』2014年9月4日号に掲載されたコメントに対して、質問を送付させていただきます。本多勝一氏は、『週刊金曜日』編集委員であり、また今回の本多勝一編集委員に対する『週刊文春』の質問は、『週刊金曜日』編集部に届き、質問を取り次いだ立場から回答をお願いするものです。ご住所を存じ上げないので、質問状は『週刊文春』編集部に取り次ぎをお願いいたしました。ご多忙中恐縮ですが、9月5日までに文書で回答いただけますようお願いいたします。                   不一

『週刊文春』9月4日号27ページには以下の記事が掲載されています。

(以下引用)
まずは、朝日のスター記者だった本多勝一氏。本多氏は、事実とかけ離れた「南京大虐殺三十万人説」を流布させた人物だ。七一年に朝日紙上で連載した「中国の旅」でこう書いている。〈歴史上まれに見る惨劇が翌年二月上旬まで二カ月ほどつづけられ、約三十万人が殺された〉
東京裁判で示された南京事件の死亡者十一万九千人は事実より少なく、三十四万人説が事実に近いと、中国専門家の分析などが紹介され、「日本軍は三十万人以上も虐殺していたのか」と衝撃を持って読まれたのだ。
拓殖大学客員教授の藤岡信勝氏はこう呆れる。
「この記事は本多氏が中国共産党の案内で取材し、裏付けもなく執筆したもので、犠牲者三十万人などは、まったくのデタラメです」
(引用終わり)

1)コメントにある「この記事」とは、『週刊文春』読者は記事の流れから〈歴史上まれに見る惨劇が翌年二月上旬まで二カ月ほどつづけられ、約三十万人が殺された〉の部分しか具体的にはわからないと考えますが、藤岡さんはこの部分が本多編集委員が結論として書いたのではなく、姜眼福さんの体験の聞き取り部分であることをご存じですか。

2)〈歴史上まれに見る惨劇が翌年二月上旬まで二カ月ほどつづけられ、約三十万人が殺された〉は姜さんの発言のため、発言には下記の注が付けられています。
〈南京事件で日本軍が殺した中国人の数は、姜さんの説明では約三〇万人という大ざっぱな数字を語っていたが、正確な数字はむろん知るよしもない。東京裁判のころの中国側(蒋介石政権当時)の発表は四三万人(市民二三万人、軍人二〇万人)だった。東京裁判判決では一一万九〇〇〇人だが、これは明白な証言にもとづくものだけなので、事実より少ないとみる研究者もいる。洞富雄著『近代戦史の謎』の分析は、三〇万人、あるいは三四万人説を事実に近いとみている〉。
(検証しやすいように、『中国の旅』[朝日文庫版初版1981年12月20日発行]から引用しています)
藤岡さんはこの編注をご存じですか。

3)南京事件の犠牲者数については研究者の中にも、中国政府の「公式見解」である30万人は多すぎるという議論があります。本多編集委員も当然そのことを知っており、小誌連載「貧困なる精神516」(2012年5月25日号)では次のように紹介しています。〈洞富雄氏ものちにさらに多くの資料を参考にして『南京大虐殺の証明』(朝日新聞社、一九八六年)を書いたさい、虐殺数を「二〇万人」前後と推定しています。ですから、「本多勝一集」第14巻『中国の旅』では、そのように入れかえています〉
藤岡さんはこの『週刊金曜日』記事を読んでいますか。

4)藤岡さんは「裏付けもなく執筆」とコメントしていますが、「裏付けもなく執筆」とは本多編集委員の記事のどの部分を指しますか。『週刊文春』読者は、記事の流れから「30万人」部分と解釈すると思いますが、藤岡さんは『週刊文春』記者からコメントを求められたとき、『週刊文春』記事の流れについて説明を受けましたか。

5)藤岡さんのコメントは、正確に掲載されていますか。

6)藤岡さんは、南京事件の「被害者数」は何人であるとお考えですか。

【編集部追記】(1)の質問にある「姜眼福さん」は、正しくは「姜根福さん」でした。訂正します。

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