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週刊金曜日の記事を理由にした添乗員の不当解雇事件にご支援を!

2009年3月29日
各位
株式会社金曜日
代表取締役社長 佐高 信

全国一般東京東部労組
執行委員長 岸本 町雄

登録型派遣で働く旅行添乗員の過酷な労働環境と労働組合結成の経緯を取り上げた『週刊金曜日』(2月20日号)が「虚偽」だとして、大手旅行会社「阪急交通社」の子会社で、添乗員を派遣する「阪急トラベルサポート」は3月18日、取材に応じた同社所属の添乗員で、全国一般東京東部労組HTS支部の執行委員長である塩田卓嗣さん(46歳)に対して「抗議文」を手渡し、「今後、添乗業務のアサイン(仕事の割当)をしない」と事実上の解雇処分を通告しました。

塩田さんは2007年1月、労働条件の改善を求めて仲間たちと全国一般東京東部労組HTS(阪急トラベルサポート)支部を立ち上げました。同支部を紹介した記事(執筆者・ライターの野村昌二さん)をめぐり、同社は「抗議文」の中で、日当の額や雇用保険加入の有無、添乗員が体調を壊して亡くなったとの記述などを「虚偽の事実」とし、「当社の名誉を著しく傷つけ、正常な業務の運営を妨害するもの」と指摘しています。しかし、著者の野村さんと出版社の金曜日に対して抗議などはしていません。

同社が問題視している記述はいずれも組合結成前の過酷な労働条件を説明した上で、同社に勤務する前の出来事(添乗員の死亡)について語ったものです。しかし、会社側は意図的にそれを現在の労働条件とは違うなどとして記事は「虚偽」との言いがかりをつけています。登録型派遣の添乗員にとって「アサイン停止」(今後の添乗業務を与えない)は解雇と同じ意味を持ちます。

この間、派遣添乗員の待遇改善を先頭でたたかってきた同支部委員長の塩田さんを見せしめにした「組合つぶし」であり「不当解雇」であるのは明らかです。「言論の自由への挑戦」でもあります。

東部労組と同支部はただちにアサイン停止=解雇処分の撤回を会社側に求めましたが、同社は拒否の姿勢を崩していません。また、記事の発行元である金曜日が同社に電話で抗議したうえで面会を求めたのに対して、同社東京支店の田中和男支店長は「会う必要はない」などと拒否しました。

このため3月23日には塩田さんを含む組合側、ライターの野村さん、発行元の金曜日側が同社東京支店を訪れて、あらためて面会を求めましたが、「会えない」という対応に終始しました。その際に会社に渡した週刊金曜日の抗議文に対しても「筋違い」など、不誠実な対応を行ってきました。

同社の今回の措置は、出版社やライターを飛び越えて、インタビューに答えた労働者本人のクビを直接切ることで、企業への批判や不満の声を上げることそのものを萎縮させるのが最大の目的です。こんなことが許されれば、働く者にとって言論の自由が奪われます。

東部労組は法的措置を含めたあらゆる手段をとるとともに、金曜日やメディア関係者らと協力しながら社会的な批判を同社に集中し、不当解雇の撤回・塩田さんの職場復帰を求める方針です。
また週刊金曜日もこのような会社に対し言論の自由を守る立場から、厳しく対応していきます。

労働組合つぶし、言論の自由・報道に対する重大な挑戦でもある今回の不当解雇事件について、私たちは今回の不当な解雇事件について「文化人・言論人一言アピール」運動を行い、いただいたアピールを冊子やチラシにして配布あるいは会社に突きつけることで、会社を社会的に包囲していく取り組みを行っていきたいと思っています。つきましては、この行動の呼びかけ人をお引き受けいただければ幸いです。ぜひご支援をお願いいたします。

以上
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文化人・言論人アピール

文化人・言論人アピール

呼びかけ人・賛同人一覧(名前五十音順)

呼びかけ人

雨宮 処凛 ( 反貧困ネットワーク副代表、『週刊金曜日』編集委員)
聞いた時、これじゃあもう誰も声を上げられなくなる、と思った。というか、私の取材が誰かの仕事を奪うことになるのであれば、自分自身がもう「取材」そのものができなくなる、とこんなことを放置していれば何も書けなくなり、言えなくなる。すべての書き手の問題であり、こんな「見せしめ」に私は絶対に屈したくない。

宇都宮 健児 ( 弁護士、反貧困ネットワーク代表、『週刊金曜日』編集委員 )
取材に応じた塩田さんをいきなり解雇するやり方は、卑怯であり、許せない。
言論の自由に対する重大な挑戦だ。

佐高 信 ( 評論家、『週刊金曜日』発行人・編集委員)
私はもともと平和主義ですが、売られたケンカは買わざるをえません。最低でも、相手と刺し違える覚悟でやります。「阪急」創始者の小林一三が泣いているのではないでしょうか。

中島 岳志 (北海道大学准教授、『週刊金曜日』編集委員 )
労働者に対する不当な処遇というだけでなく、ジャーナリズムの根本を崩しかねない極めて悪質な行為だ。
大阪人として「阪急」というブランドに信頼と親しみをもっていただけに、裏切られたという思いが強い。

湯浅 誠 ( 反貧困ネットワーク事務局長)
告発したら解雇とは筋違いも甚だしい。解雇撤回するまで、内部の労働運動とともに、「阪急トラベルでは旅行しない」という市民の包囲が必要と思います。

賛同人

 

在間 秀和(弁護士)
事実を告発したことに対する報復として、”解雇”が許されるとすれば、そこに
あるのは無法のみです。このような事態は断じて許されてはなりません。

秋元 樹(日本女子大教授)

  1. 「虚偽の事実」が「虚偽の事実」でなかったら、あるいは一人の仕事を召し上げるほどの充分なあやまりでなかったら、「抗議文」および処分通告に名を馳せた生身の人は退職していただかなければならない。支店長田中氏を含め。
  2. しかし、この人達もその上のあるいはその裏のより大きな「権力者」に強いられているのであれば、この人達もかわいそう?コーポレット・キャンペーン?
  3. 本当のことを自由に口に出来ない職場、社会ほど忌まわしく耐え難いものはない。そういう職場、社会はなくしたい。
  4. 「阪急トラベルサポート」の社員の中から塩田さんをサポートする声を挙げる勇気ある人が一人でも出るといいですね。そこに組合が出来て塩田さんをサポートしたらもっといいですね。
  5. 「阪急交通社」には組合はないのでしょうか?あったら塩田さんサポートの声が出るといいですね。もっと大きな連合とか全労連が口を開いたらもっと面白いです。たとえば、「阪急トラベルサポート」およびその上部組織を全国規模で揃ってボイコットの運動を拡げる。今の日本じゃ場違いなことをいっている?
  6. どうしたら塩田さんの生活をサポートしていけるでしょうか?

 天笠 啓祐(ジャーナリスト)
以前、パックツアーを利用して海外に行く機会がありました。添乗員の仕事の大
変さを感じておりました。その添乗員から正社員が減り、派遣が増えていきまし
た。労働条件はどんどん悪くなっているのでは、と懸念しておりましたが、実態
は、私が考える以上だったのですね。とくに阪急交通社のような安売りツアーを
目玉としているところは、添乗員の労働条件は、いっそう悪いと思っておりまし
たが、企業体質もひどいですね。アピールに全面的に賛成いたします。

安斎 徹雄(グラフィックデザイナー/出版ネッツ)
言論・表現の自由の侵害です。
解雇撤回を求めます。

五百蔵 洋一(弁護士)
「私も今、会社批判をして解雇されたJAM組合員の事件を担当しております。
また、ずいぶん昔になりましたが、東京東部労組の大久保製壜所事件の中で、
ルポライターの高杉晋吾氏が組合員から聞いた劣悪な労働条件を
書いた記事で高杉氏が会社から訴えられた裁判を思い出しました。その裁判は
会社が途中不利なことが明らかになった時点で取り下げを求めましたが当方
は取り下げを拒否し、会社は請求放棄という奇手に出て終了しました。東部労組
の皆さんご存じのように大久保製壜所事件は勝利しました。頑張って下さい。」

石井 友樹  (なかまユニオン 大田支部)
阪急トラベルサポートって。貴社に旅行なんかサポートしていらんわ。
わしゃ、一人旅で十分じゃ!

阪急トラピックツアー利用しません。添乗員のみなさんが劣悪な労働条件の中
旅の思い出づくりに寄与してくださったのに、この仕打ち。
労働者の権利、表現の自由を侵害する会社なんて、たかが知れてる。

石坂 啓 (マンガ家・『週刊金曜日』編集委員)
いつの時代の話だろうと驚いた。
奴隷の時代、弾圧の時代に逆行したいのだろうか。
看過してはいけない事件だと思う。

猪野 健治(フリージャーナリスト)
こんなことをされたのでは、今後取材活動などできなくなります。「事実上の解雇を絶対白紙撤回せよ」です。

石丸 次郎 (ジャーナリスト/アジアプレス)
塩田さん不当解雇問題に対する金曜日のアピールを支持します。

板垣 英憲(政治評論家)
戦後64年にもなるにもかかわらず、「言論の自由」を平気で封じる魔の手が増殖
している。人権意識が衰微していくことには憂慮せざるを得ない。由々しき事態
である。こんな風潮が広がるのを見て見ぬフリをすることは断じて許せない。
『人間の尊厳』を軽んじるような企業に旅行業など交通にかかわる仕事を委ねる
わけにはいかない。大事故の元になる。塩田さんの健闘を支援しよう!

井手窪 啓一(なかまユニオン執行委員長)
阪急トラベルサポートの言論弾圧
不当なアサイン停止は許せません。
塩田さんの闘いを断固支持します。

伊藤 みどり  (働く女性の全国センター(ACW2)共同代表)
今回の取材に応じたら解雇と言う行為は、働いている人たち全体に、マスコミに会社の不当性を訴えると解雇されるかもしれないと恐怖を与える行為で、許されないものです。この闘いは、解雇撤回を求めるだけではなく、報道に対する自己規制にならないように、どうどうと、安心してマスコミに対して取材を受けられるようにするためのたたかいにしてほしいと願っています。

指宿 昭一(弁護士、外国人研修生問題弁護士連絡会共同代表)
「取材に応じたら解雇」などということが許されたら、労働者は会社を批判することができなくなります。卑劣な弾圧は、絶対に許せません。
解雇撤回の闘いを支持し、連帯します。

伊部 正之 (福島大学名誉教授)
何とも腹立たしく許しがたい事態です。会社側の行動は掲載誌や執筆者を告発出来ないほどに低劣な反社会的なものであることを承知の上でなされたものです。
この際、徹底的に闘ってその非を追及し、反省も謝罪も拒否する場合は、速やかに社会から退場させる必要があります。

塩田さんには腹をすえて最後まで頑張って下さい、『週刊金曜日』にはジャーナリズムの本分を発揮して告発報道を強めて下さい、と心からお願いする次第です。

岩崎 松男(鉄建公団訴訟原告団)
組合に加入又は組合活動を理由とした不利益取り扱いは、法律違反となります。
ましてや「取材に応じただけ」で解雇するなどもっての他です。
旅行添乗員の仕事は、直接お客様と接する大切なポジションであり、多くの場合添乗員さん次第で旅行の満足度が大きく左右されます。きちんとした労働条件が確保されてこそ、こうしたお客様への対応ができます。
金もうけしか考えないHTSの経営方針では逆に顧客離れとなるでしょう!

植松 恵樹(多摩一般労働組合書記長)
労働者、労働組合の権利を侵害する企業に対する闘いを支持します。

魚住 昭(ジャーナリスト)

江森 陽弘(ジャーナリスト)
戦前の話か、と思うほどの
あきれた話です。労働者を大切
にしない企業。その理念を
問いたい。最低の、人権侵害です。

遠藤 公嗣(明治大学教授)
組合活動への報復であることは明白で、卑劣な行為です。
断固戦うべきで、応援します。

岡本 厚(雑誌「世界」編集長)

小笠原 顕子(執筆・評論)・原ナナミ(男と女の顔相))
いまだに、このような対応をしている会社の存在に驚きと強い怒りを感じます。
今はコンプライアンスがあたりまえで、不利なことでも積極的に公開し、改善を
していくのが企業のあり方でしょう。口封じとは時代遅れも甚だしく、見過ごす
わけにはゆきません。
これはジャーナリズムに対する挑戦でもあります。
攻撃を弱者にばかり向けていく企業体質は「阪急グループ」独特なのかもしれま
せん。かつて、私の夫が同グループのA社と仕事をしたとき、A社独自の社内規
定を、理不尽にも外部の会社に押しつけてきたそうです。断るとべつの会社経由
の(A社の)仕事も、A社の圧力で潰されてしまったということです。全くひど
い話です。

落合 恵子(作家、『週刊金曜日』編集委員)
まっとうな異議申し立てが、通らない社会であり、時代であることは感じていたが・・・。
こんなにも、“わかり易い”弾圧があるとは!
酷すぎる人権侵害であると同時に
私たちの知る権利(知らせる権利)
取材権への侵略でもある。

折口 晴夫(現代を問う会)
 内部告発であれ、労働組合による取り組みによってであれ、外部に閉ざされた情報が公開されることには大きな意義があります。それは、100名を越える犠牲者を出したJR西日本の悲惨な〝事故〟にみられる、内部欠陥を事故発生前に是正するきっかけとなるからです。
 内部からの情報発信を閉ざすのは愚かな行為であり、取り返しのつかない〝人災〟をもたらす危険性があります。塩田さんの発言を〝名誉を傷つける〟ものとしか捉えられないようでは、安全な旅行を提供することもおぼつかないのではないでしょうか。

加瀬 勉(三里塚一坪土地共有化委員会代表)
事業認定による土地収用、成田治安立法による弾圧。先祖伝来の土地は強奪され
て滑走路の下に、多くの集落は廃墟となり、騒音地獄の出現、この世の中で民主
主義の名のつくすべての諸権利は国策、非国民、過激派の名の下に抹殺され続け
てきた。三十有余年の我々の戦いは人間として生きることへの雄叫びであった。
塩田さんに対する表現の自由にたいする言論弾圧、不当解雇、首切りは民主主義
への挑戦であり、塩田さんの生命を直接侵害し脅かすものである。我々の意志が
決して奪うことができないものであることを彼等に示してやろうではないか。人
間として生きることは戦いである、戦いなくして我々は生きてゆくことはできな
い。民主主義は我々のこの戦いの中で生まれ育ち発展する。ともに頑張ろう。

桂 敬一(大学非常勤講師)
6年ほど前、大学のゼミの女性の教え子が、大手旅行社に就職が決まったという
のを聞いて、とても嬉しくおもったことがあります。ところが、実際に勤めるよ
うになって半年も経たない間に辞めたいというので、驚いて理由を聞くと、その
旅行社はいくつもの会社のグループとして成り立っており、自分が採用されたの
は、そのグループ企業の一つであり、本社ではなかった、ということでした。
そのグループ企業、彼女が勤めた子会社は、本社はじめグループ内の各企業を派
遣先とする派遣会社であり、契約条件、労働条件も本社社員とはまったく異なる
ものであることも知りました。今回の阪急交通社のやり方も、そういうものであ
ることを知り、若者に職能の習熟機会も職業人としての希望も与えないやり方に、
大きな怒りを感じます。

加藤 栄一(筑波大学名誉教授)
これはfacta(起こった事、事実)とdicta(言われたこと)の区別の問題である。起こったことは、あることが書かれ編集され印刷され出版されたということで、これに対しては他人は責任を問うことができる。
一方dictaは、法廷という場所で立証され反証されて初めてfactaに昇格するので、それまでは夢かはしれず、責任は問われない。日本人は言霊がすぐ事実だと思うからいけない。

加藤 晋介(弁護士)
正規労働者より、更に弱い立場にある派遣労働者に「日常割当拒否」という「事実上の解雇」で口を塞ごうとするなど言語道断です。あらゆる法的措置を講じると共に、阪急交通社不利用キャンペーンをはるなど、あらゆる手段で非常識な会社に対抗していくべきです。

河添 誠  (首都圏青年ユニオン書記長)
非正規労働者が労働組合に加入して企業に正当な権利を主張するというのは、たいへんな勇気を必要とします。そうして、がんばって正当な権利を主張した労働者に対して、企業が不当な圧力をかけるということは、まったく許すことができません。最近、このような事件がしばしば見られるようになっています。牛丼チェーン「すき家」を経営するゼンショーを労働基準法違反で刑事告訴したアルバイト従業員(首都圏背年ユニオン組合員)にたいして、ゼンショーは「ご飯5杯を勝手に食べた」と刑事告訴しました(嫌疑不十分で2009年3月に不起訴処分)。しかも、今回のケースのように、単に取材を受けただけで事実上の解雇をされてしまうのであれば、労働者は何の声もあげようがありません。労働者の権利と言論への重大な攻撃であると考えます。みなさん、声をあげていきましょう!

北 健一 (ジャーナリスト・出版ネッツ書記次長 )
とても見過ごせない事件で、何とかしなければと話し合ってます。もちろん賛同します。

木下 正義 (拓殖大学名誉教授)
第1 週刊金曜日は、抗議文「日当の額面、雇用保険加入の有無」の情報を社員塩田氏から自由に収集し事実を自由に表現することが認められている。虚偽でない限り、法律上名誉毀損の構成要件に該当しないものと判断される。また塩田氏には憲法上思想良心が認められており、「日当の額面や厚生年金保険の加入有無」等は労働条件、社会保障に関する労使の問題であり、この情報を塩田氏が出版社金曜日に提供しても思想良心の自由権が優位として認められており、財産権である経営権が優位とは認められず、即業務妨害罪が構成されることにはならないと判断する。

第2 会社側が具体的に業務妨害が発生していない状況をふまえ、塩田氏に対して「アサイン停止」の処分行為は間接的に解雇に該当し、かつ執行委員長である塩田氏を排除することにより、労働組合を弱体化することを意図したものと推定されますので、管轄地労委に不当労働行為救済手続きを取るよう助言します。

栗田 隆子 ( フリーターズフリー組合員、女性と貧困ネットワーク、働く女性の全国センター運営委員)
メディアを通して発言したら解雇・・・。
これでは何も言えないじゃないかと絶句しました。何か言ったら罰される。イジメそのものの構図です。こういう状況が「自殺者年間3万人」状況を生み出しているのでしょうか?
有り余る金や物ではなく(金や物が全く必要でないとは言いませんが)「本当のことを言える場」の必要性をひしひしと感じます。それゆえにこの事態に抗議の意を表明します。同時にこれはマスメディアの真価が試されているとも思います。マスメディアが「労働問題」「貧困問題」を一つの流行のように扱うことなく、一人一人の人間の「声」を大事にし、メディア業界内での非正規雇用問題を同時に射程に入れつつ、自戒の意味をこめて「抗議」のアピールをしたいと思います。

伍賀 一道(金沢大学教員)
登録型派遣で働く添乗員の労働実態についてのインタビューに応じたことを理由に事実上の解雇を行うことは到底容認できません。労働者派遣法の改正(登録型派遣の規制など)とあわせて塩田さんに対する「アサイン停止」撤回を求めます。

後藤 道夫 (都留文科大学教員)
取材に応じた労働者への報復という行為は、ひどい労働実態を改善する社会的義務を感じていない点でも、ジャーナリズムという公的な空間でことがらの是非を争おうとしない点でも、またジャーナリズムに不可欠な取材という行為への恫喝によって言論の自由を踏みにじって省みないという点でも、企業の社会的責任を無視した著しく反社会的なものだと思います。許せません。 

小林 拓矢 (フリーライター)
取材源に対する圧力のかけ方が陰湿だ。本来ならば出版社に対して抗議なり訴訟なりをするべきもので、当事者に対して訴訟でさえなく雇い止めで圧力をかけるのは、明らかに本人に対して被害を与えようとするもので、労働運動つぶしであり、もっと言ってしまえばいじめの域に達している。
また、今回の件により、取材に応じてくれる人がいなくなる恐れもある。そうなったら取材ジャーナリズムは壊滅する。ただでさえ新聞や雑誌では独自取材の記事が減っているのに、このようなことが常態化すればジャーナリズム自体も危うい。類似することが今後起こりうるだろう。そうすれば報道機関は「広報機関」と化さざるを得なくなり、問題を提起することも出来なくなる。

小林 蓮実 (インディユニオン書記長、フリーライター)
労働者側の権利を踏みにじり、是正勧告も無視しつづけて、自社の問題を塩田さんにかぶせようとする阪急トラベル。これは、労働運動をおこなっている「仲間」としても、いちライターとしても、「許すべからざる不正」として、声をあげていきたい。こんなことが見過ごされるようになってしまったら、労働者が奴隷となり、取材や執筆活動は地下に潜っていくきっかけとなりかねない。それはとどのつまり、社会全体にとって大きな不利益となることを、多くの方にご理解いただきたい。

金 靖郎 (団体職員)
取材に応じたから解雇というのはひどいです。むしろ告発された事を受け止め改善すべきです。私も労組活動をしている
者ですが、これは労組活動に対する介入、攻撃であり、決して他人事とは思えません。私はこれから阪急トラベルでは決して旅行するなというボイコットを呼びかけていこうと思います。
解雇をすぐに撤回して下さい。さもないと阪急トラベルにとってダメージが大きくなるだけです。労組つぶし、不当な解雇は
社会的に見れば許されない犯罪だという事を直視するよう強く要求します。

齋藤 榮
表現や言論の自由は民主主義の根元です。何人もこの原則にもとる行為は許されません。会社は塩田氏への、事実上の解雇処分を即時撤回して下さい。

斉藤 隆夫(群馬大学名誉教授)
記事の筆者や発行元に何ら抗議をしていないところに、相手側の弱さを感じます。
大きな世論をつくれば、勝利まで支援の体制を作ってください。私も出来るかぎ
り、参加したいと思います。

斎藤 貴男(ジャーナリスト)
こんなやり方が許されるなら、誰も何も言えなくされてしまう。企業の論理が言
論表現の自由、いや一人ひとりの人間の思いに優先されるような社会にだけはし
てはならない。昨今の企業経営者の勘違いぶりは常軌を逸してるが、これは極め
つきだ。自らを神様だとでも考えているのではないか。

撤回させよう。人間が人間であるために――。

佐藤 昭夫(早稲田大学名誉教授)
経営者の間違い、弱点を指摘してくれる労働者こそ、長期的に経営者の宝です。
目先の利益だけを追う経営は、いずれ破綻の運命にあることを思い知ることになるでしょう。

寒川 尚周(大学教授)
不当解雇に対するMICの抗議声明を支持します。

清水 直子 (フリーライター/フリーター全般労働組合執行委員長)
労働組合活動と取材活動に対する許し難い攻撃です。なめたまねをするとどうなるか、会社に思い知らせてやりましょう。旅行添乗員の労働環境を変えるために
立ち上がったみなさんを改めて支持します。

白石 草 (OurPlanet-TV)
オリコン裁判で訴えられた烏賀陽さんのケースや新銀行東京の問題について内部告発した社員が訴えられた裁判など、「大企業による弱い者いじめ訴訟」(SLAPP)が増えていますが、内部告発者を「解雇」するという行為は、さらにシンプルな形で、労働者や抵抗者の声を押さえつけるもので強い怒りを感じます。
2006年に公益通報者保護法という法律ができましたが、実際には、この法律がかえって「外部に告発するまえに、社内に告発するように」という「社内コンプライアンス規定」が誕生した企業が多く、そのために、報道関係などに先に知らせることが非常に難しくなっている実情もあります。
さまざまな不正を告発してくれる情報源の方々を守るためにも、本来はジャンルや規模などの垣根を越えて、報道関係者が、タッグを組んで取り上げる問題ではないかと思います。

白石 嘉治 (大学非常勤教員)
あなたには「組合潰し」や「不当解雇」、まして言論を封じ込めることなどできはしない。「阪急」ならばなんでも許されるというのか? 電車が小豆色だから、なんだというのだ? あなたが敵にまわそうとしているのは、よく生きたいという人類そのものの願いである。幼稚な思い上がりを捨てて、自分の愚かで醜い姿に気づいてほしい。

鈴木 良始(同志社大学教授)
雇用形態に関係なく、人を尊重する企業こそが将来にわたり成長していくものだと思います。従業員を泣かせて生き残ろうとする企業のサービスを私は受けたくありません。そう考える社会へと少しずつ近づいていくものだと思います。今回のような扱いは容認できません。

杉下 芳松(国鉄労働者)
取材に応じたら解雇されるという、とんでもないことが起きているなんて、信じられません。
労働者が労働条件改善を求めるのは当然のことであって、それを認めない会社に
こそ非があるのは間違いありません。
企業の社会的責任が追及され解雇が撤回されることを望みます。

隅井 孝雄(京都ノートルダム女子大学客員教授)
阪急トラベルサポート社の行為は言論、報道の自由に対する重大な侵害であり、
みすごすことはできません。
今どき、こんな会社があることも驚きです。
添乗の人たちが明るく親切に旅行するお客さんに応対していただける環境を作る
ことは、会社の業務の一環でもあるのではないですか。
解雇が撤回され、塩田さんがいままで通り仕事が出来るよう、一日も早い解決を
願います。

高田 健(許すな!憲法改悪市民連絡会事務局)
メディアの取材に応じた塩田さんに対し、自らの非を省みることなく、報復的処分を行うやり方に驚き、怒りを禁じ得ません。
いま、共に声を上げましょう。

田中 一紀(宇都宮地区労顧問)
「取材に応じたから」解雇とは不当解雇もはなはだしい。解雇権の乱用、言論封殺、人権侵害を、勝手、気まま、自由、不法行為を大手を振ってまかり通そうとする企業経営者の社会的責任放棄、社会的責任を何とも思っていない、とんでも
ない悪事である事を絶対に許してはならない。

田中 優子(法政大学教授、『週刊金曜日』編集委員)
批判こそが組織の質を向上させる。都合の悪い言葉や人を切り捨てる企業は、いずれ社会から切り捨てられるだろう。私たちはちゃんと見ているのだから。

土屋 トカチ (ドキュメンタリー映画監督、レイバーネット日本事務局長)
ロクでもない労働条件に対し声を上げ、労働組合を結成した労働者たち。あたり前の権利に対し、勇気を持って闘う人々。めちゃくちゃカッコイイ!シビれる!ぼくはそんな人々に共感して、映像を作らせてもらっている。そして、共に闘っているつもりだ。
それなのに、取材に応じて事実を話したら解雇って、大酒でも飲んでるのか?冗談でしょ?阪急トラベルサポートさんよ、働く者たちをなめんなよ!「阪急」だなんて、誰もが知ってるデッカイ看板ぶらさげてるくせに、恥知らずな会社だ。塩田さんの解雇撤回は当然!今すぐ!!

寺島 アキ子(脚本家・劇作家)
「取材に応じたら解雇」とはひどい話ですね。
塩田さん頑張って下さい。

寺間 誠治(全労連組織局長)
法治国家でありえない不当な解雇です。ジャーナリストと労働組合が一体となっ
て「阪急トラベル」を包囲するたたかいが必要だと思います。

徳永 重良(東北大学名誉教授)
もし報道機関の取材に応じ、真実を述べたという理由でアサインをせず、事実上解雇したのであれば、それは権利の濫用であって、容認することはできません。そのような措置は撤回され、すみやかにもとの状態にもどすべきでしょう。

鳥谷 孝男(大学非常勤講師)
「取材先を萎縮させ、言論の自由を脅かす不当解雇に抗議する声明」に賛同します。

中北 宏八 (元新聞記者・大学教授)
このところ、海外旅行に出かけるとなるといつも阪急。バスを効率よく使って安
上がりにあちこち見せてくれるからです。添乗員にも毎回、感謝することがほとんどです。大変な忙しさの中で、よく気配りしてくれるからです。だが、こんな不当なことをするようでは、考え直さなければなりませんね。trapicsのバッジをつけて歩くのが恥ずかしくなるようでは困ります。

中野 京子(丸木美術館専従)
この頃というか、8月は、よく戦時中の話を聞くことが多く、軍にさからえば、
必ず処分される・・・ということを、いやという程見聞きしています。
「阪急トラベルサポート」の件は、「えっ、どこの国の話・・・今戦時中?」と
いうようなことでしたが、日本が着々と戦時体制に入っているんだなと、阪急ト
ラベルサポート以外でも似たようなことを聞きます。
ひとつひとつこだわっていかないと、”これぐらい、まっいいか”といっている
と、大変なことになってしまうということを、前に許した戦争と同じになってし
まうということを、肝に銘じておかなければならないと思います。
マスコミも、決してとり上げないこと、知らなければ、全く知らないで過ぎ去り
ますが、気付いた時には、、もうとり返しがつかないのです。
何年か前に朝日新聞に載った”茶色の朝”というフランスの人の書いた詩集が、
端的に表わしてします。

長峰 登記夫 (法政大学教員)
 記事の内容が事実に反するのであれば、会社は、まず出版社と記者に抗議し、出版社に対して訂正記事を求め、あるいは会社がつくった文書の掲載を求めればよいこと。会社の対応はおかしい。

名古屋 哲一(首切りを撤回させた「元、郵政4.28ネット」)
ボクは「言論人」ではありませんが、むかしむかし小学生のときに言論弾圧はとても悪いことだと、教わりました。
阪急のオエライさんたちは、小学校をご卒業なさったんでしょうか?

西村 仁美 (ルポライター)
ゆ○るす○な!○はん○きゅう○とら○べる○さ○ぽーと○のげん○ろん○つぶ○し(反骨のジャーナリスト・宮武骸骨風)。

野添 賢治(作家)
自分たちに不利な行動をとったり、発言したりするとすぐにその人を切り捨てる
ようでは、成熟した社会にはなりません。そのためにも。塩田さんをこのように
攻撃することは、許してはいけないと考えます。

南雲 和夫 (大学非常勤講師)
賛同します。それにしても、こんな事がまかり通るとは・・・・・・。

羽柴 秀彦(放送作家)
不当解雇に対するMICの抗議声明を、全面的に支持します。

林田 英明 (毎日新聞労組)
阪急トラベルといえば、それらしい名前である。阪急交通社の関係会社とのこと
だが、塩田さんを解雇する前近代的な理由にはあきれる、これでは阪急トラ
ではないか。トラベルの後につく「サポート」は一体だれをサポートするものな
のだろう。どうやらそこで働く労働者ではないらしい。旅行添乗員を酷使し、組
合をつぶす会社に未来はない。阪急には乗らず、阪急百貨店へも立ち入らないよ
う、しばらく考えてみたい。

服部 孝章 (立教大学教授)
市民に安全で楽しい時間・旅行を供給する事業の関連会社が
このような理不尽な理由で「解雇」した卑劣な姿勢は、永遠に
観光事業・旅行業の歴史に刻まれねばならない。

富士谷 あつ子(評論家)
登録型派遣というシステムの危なさに、改めて驚きと怒りを感じます。
それにもまして、マスコミに取材されただけで事実上の雇い止めという
言論の自由の封殺は、見過ごしてはならないこと。こういう例は、他にもあるはずで共闘が必要ですね。

藤井 光 (映像作家/美術家)
塩田さんへの暴力は、社会へのテロ行為だ。
労働者が沈黙を強いられたならば、社会は壊れる。
確実に壊れる。

布施 哲也 (清瀬市議会議員・官製プア研究会)
企業の存在理由は、利潤追求だけではないはずだ。阪急トラベルのフィランソロピーは
どうなったといいたい。このことが知られれば知られるほど、阪急トラベルに負担となることを知るべきだ。

古川 琢也 (ルポライター)
阪急トラベルサポートが行ったことは、企業が自分たちに都合の悪い情報を封じ込める数多のやり口の中でも、最も卑劣で、かつみっともないものである。

本多 勝一 (ジャーナリスト・『週刊金曜日』編集委員』
「当たり前の権利を要求しているだけ」という塩田さんの言葉は全くその通りです。もし私が添乗員なら同じことを主張するでしょう。たしかに「過酷な労働はお客様の危険につながりかねない」(女性添乗員)でしょうね。私もよく海外出張して、添乗員は楽しい職業に見えたけれど、これではヒドイね。ガンバレ!

前田 裕晤(協同センター・労働情報代表、全労協副議長)
「阪急トラベルサポート」が、いかに添乗員を搾取している実態暴露に恐怖し、
派遣労働の過酷さを隠そうとしているのかが判ります。
添乗員を人間とは見ず、収奪の歯車の存在が、自己主張をする事は許さないと言うのが本音でしょう。
社会的責任を持たない企業には、その責任を取らせる迄追及して行く必要があると考えます。

前野 重雄(流体力学・プライスアナリスト・ライター)
同じ「阪急」でも百貨店では「すみれ講座」と称する接客作法の強制的受講がある。お客様を前にしては「ヘソの下(利き手の)右手を下に当てて、その上に左手をおおい、封ずる事」で平和な接客を印象づけ、それを徹底する事を基本に、“日本一厳しいマナー」と同業他社から尊敬されてきたもの。
なのにこの労組委員長にはなんだろう。たかが取材を受け実状を述べただけだ・・・というのにこのテイタラク。およそ先進国の企業とは思えない蛮行です。
あの“すみれ”とはどう共存するのか。こうなると「阪急」と名のつく接客業全体にくもりが生じ、顧客は色めがねをかけて鑑定しなくてはならない。
厳しい経済状況にある中、ついトがってしまう心にも同情できなくもありませんが、さすがにコレだけ・・・?!でキレてしまうなんて、およそカタギの企業とは思えません。顧客一般に知られる前に、どうか「小林一三社主」の唱えた「すみれ主義」の原点を想い起こして欲しいものです。
せめて阪急旅行社のたびくらい、そんな程度の度量のある接客のもと、世情のアカを洗い流す旅を楽しませて戴きたいものです。

松浦 哲郎 (龍谷大学社会学部講師)
「阪急トラベルサポート」の行動は、あまりにも幼稚で情けない。
幼稚な幹部を持ってしまった「阪急トラベルサポート」全社員に同情する。こんな会社に「サポート」されてしまったら、せっかくの旅行も台無しになってしまうだろう。

松原 明 (ビデオプレス)
こんな組合いじめを許したら、だれも声を上げられなくなってしまう。表現者・ユニオンなどみんなの力で阪急トラベルを追いつめよう。

松元 千枝 (ジャーナリスト)
やり方が卑劣。ジャーナリストとしてだけでなく、一労働者としても言論の自由を侵害されたことに対して怒りを感じ、同時に危機感を覚える。いろいろな障害を乗り越えてやっと告発に至った労働者の仕事を取り上げるばかりか、その声までも奪おうとする阪急トラベルサポートの行為は許されない。断固闘うべき。また、会社の暴力にも屈せず、権利を主張しつづける東部労組HTS支部のみなさんに敬意を表したい。今後も、脅威を感じることなく、本来あるべき姿で誰もが自由に発言し、またメディアがその声を汲み取っていけるようともにがんばりましょう。

松本 哉 (素人の乱)
いやー、こりゃヒドイ!
雑誌で日ごろの文句を言うこともできないって、いったいどんな世の中なんだ!?
人がたくさんいれば文句が出るのは当たり前のこと。雑誌という言論の場があれば、その文句が出てくるのは当たり前の話(逆に、みんながみんな誉めまくってる雑誌があったらキモチ悪くてしょうがないでしょ?)。イカサマくさい政府の手先みたいな連中とか、やたら悪そうな企業のやつらとかは、雑誌とかで人の文句ばっかり言ってるクセに、逆はダメなんだね…。
そもそも!
何か文句言われたぐらいでその人をお払い箱にするっていう、了見の狭さと言うか、根性の悪さが気に入らないね!
これはいよいよ、よっぽどやましいことがあるとしか思えないね~。

やいやい、何が解雇だ!
貧乏人が騒ぎ出して大変なことになっても知らないぞ!!

丸山 重威 (関東学院大学教授、日本ジャーナリスト会議)
「取材に答えたら解雇」「内部告発したら解雇」という攻撃は、以前もありましたが、労働組合の幹部にまで同じ攻撃をかけてきていることに、いまの経営者の乱暴さがうかがわれます。組合もなめられたものだ、ということになります。人としての表現の自由を守るためだけではなく、労働組合活動の自由を守るためにも、応援したいと思います。

丸山 義彰(国労釧路闘争団事務局次長)
憲法11条・13条・19条・21条・28条を無視し、違反し、働く者の表現の自由・個
人の自由及び尊重・良心の自由・人間として、労働者としての権利を脅かし、剥
奪するものであり、断じて許されません。
その上に事実上の「解雇」も当然として許すことが出来ません。「組合つぶし」
「不当解雇」に勝利するため「友」に闘いましょう。私達もJR採用差別事件の
納得のいく解決を求め闘います!!

美馬 孝人 (北海学園大学教授)
悪質な言論弾圧であると同時に、解雇権の濫用です。
また派遣という雇用形態が、容易に人権侵害をもたらすものであることを示しています。若い人々のためにも、一刻も早く派遣労働を廃止するよう運動しましょう。

武藤 一羊(ピープルズプラン研究所)
いつのまにか日本社会から労働者の権利という考え、常識が砂漠に川が吸い込ま
れるように消えていったような気がします。地下には水脈があるはずです。
塩田さんの告発は、いま地下水脈にうがたれつつあるいくつかの噴泉のひとつで
あるので、砂漠化を必要とする阪急という大会社が、予防的にそれをつぶそうと
しているのだと思います。
塩田さんを心から応援し、阪急交通に強く抗議します。この井戸つぶしをゆるさ
ず、地下水がドッと吹き出て、砂漠が沃野に変わることを願いつつ。

本橋 哲也 (東京経済大学教授)
少なくとも「旅行会社」と公言されている以上、なんらかの幸福や新しい出会いを提供するのが本来のお仕事なのではないでしょうか。それが自らの従業員に対して、子どもでも恥ずかしいような「弱いものいじめ」をするとは情けなくなりませんか。今からでも遅くありませんから、阪急トラベルサポートさん、塩田さんへの「解雇」を撤回して、人々に幸せを運ぶ職業の本分に立ち返ってください。心よりお願いします。

山口 正紀 (人権と報道・連絡会世話人/ジャーナリスト)
添乗員という仕事を誇りの持てる職業に」――そう訴えて、労働者としてのあたりまえの権利と生活を守ろうとジャーナリストの取材に応じた塩田さんに、阪急交通社は彼の仕事を奪うという最低・最悪の人権侵害で応じました。「社の名誉を著しく傷つけ、正当な業務の運営を妨害するもの」とは、塩田さんに対するこのような仕打ちを行った経営陣のことです。
添乗員さんが明るく元気にお世話をしてくださるかどうかは、旅行者にとって、その旅の気分を左右する大きな要素の一つです。そんな添乗員さんたちから、苛酷な労働条件・低賃金によって笑顔を奪うばかりか、モノを言う権利、そしてついには仕事までとりあげてしまう旅行会社とは、いったい何なのでしょう。塩田さんに対する阪急交通社の仕打ちを知れば、旅行ファンも、もうトラピックスのツアーをこれまでのように気楽な気分で利用することはできなくなるでしょう。
旅行会社の業務にとって、最も大切なのは利用者が安心して楽しく旅行できることでしょう。その要が添乗員さんです。阪急交通社の経営陣は、少しでも添乗員が働きやすい職場にと訴えた塩田さんをまるで「見せしめ」のように追放することで、大切な利用者の気持ちも踏みにじってしまったこと、会社自体への信頼を大きく損なったことに、なぜ気づかないのでしょうか。
今回のことで失った会社への信頼を取り戻すには、塩田さんから奪った仕事を元通りにすること、そしてユニオンの当然の訴えに真摯に耳を傾けて、添乗員を一生の仕事として誇りの持てるよう、働きやすい職場を作っていくこと、それしかありません。
私は旅好きの一人として、阪急旅行社が旅行サービスの原点に立ち戻り、添乗員さんたちを〈会社の宝〉と考える企業になるよう、心から願うものです。
塩田さんの訴えに共感し、支持する旅好きは、きっとたくさんいることでしょう。

柳原 三太郎(東交浅草橋支部OB)
会社の第一線で働く人々が直接お客様と接して、会社のイメージをお客様の心にきざみこみます。
第一線の人々の意見や不満をクビきりやしめつけで無理やり抑えこんだり、モノ言えぬ人々を集めて「組合もどき」をつくり、従業員の多くは従順だと宣伝してみても、長い目でみてその会社は社会から見捨てられます。
「取材に応じたらクビ」などという度量の狭い態度をやめ、耳に痛い直言にも耳をかたむけてこそ真の経営者です。

湯本 誠 (札幌学院大学教員)
 まず、登録型派遣の旅行添乗員というとんでもない働かせ方が横行していることに唖然としました。労働条件の改善のための正当な組合活動に対して解雇処分で対抗するとは、組合敵視もはなはだしい限りです。加えて、言論の自由と報道の自由に対する、これまた、とんでもない挑戦であります。阪急交通社や阪急トラベルサポートなどのグループ企業の経営者の資質と見識が問われております。

吉田 敬三 (フォトジャーナリスト)
労働者を大切にしない企業が自らの顧客を大切にできるわけがない。「企業は社会の公器」というが、不祥事を隠すために取材に応じた人間を切り捨てる「阪急トラベルサポート」の企業理念を問いたい。こんな会社の「安心と信頼というサービス」(同社HPより)をあなたは信じますか?