きんようブログ 社員エッセイを掲載。あの記事の裏話も読めるかも!?

兼題「日向水」__金曜俳句への投句一覧
(8月29日号掲載=7月31日締切)

日向水とは、桶やたらいにはった水を日盛りの日向に出して湯のようにしたものです。かつては行水などに使いました。

さて、どんな句が寄せられたでしょうか。

選句結果と選評は『週刊金曜日』2025年8月29日号に掲載します。

どうぞ、選句をお楽しみ下さり、櫂未知子さんの選と比べてみてください。
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※差別を助長するなどの問題がある表現は、この「投句一覧」から省きます。
※上記以外で投句した句が掲載されていない場合は、編集部(伊田)までご連絡ください。

【日向水】
微睡める妻の内腿日向水
評判の助産所の午後日向水
日向水ひらたい人の沈みをり
わが家に寄って行けよと日向水
吾子ふたり合はせて浸す日向水
全開の水栓が吐く日向水
葉の影のそろそろ射して日向水
散歩後の犬や仰け反る日向水
ふるさとの古き記憶の日向水
老いらくの恋ほど熱く日向水
日向水たらひは遠くなりにけり
日向水かぶりて甘きからだかな
実例の放置すなはち日向水
日向水一夜冷して庭に遣る
日向水日陰になりて洗ふ犬
あら嬉し茶碗の泡に日向水
日向水月一回の刃物研ぎ
昼の月浮かべてをりぬ日向水
日向水まるで母そのもののやう
日向水空あめいろに暮れにけり
廃坑の町の小風や日向水
死に水のごときぬるさや日向水
日向水随所に土佐を歩きけり
退職日いつもと同じ日向水
行き先のわからぬ雲や日向水
茜して置いてきぼりの日向水
骨つぎの名倉医院の日向水
水槽の夕日も混じる日向水
命日に草もうきたるひなたみづ
一枚の葉が灼かれをり日向水
大声の子らスマホ置く日向水
日向水翡翠の勾玉青し
様子見の鴉いざ日向水飲む
日向水段差スロープより滲む
園児らにビニールプール日向水
あくまでも過去の話の日向水
裏返るブリキの金魚日向水
子は嬉々と草木はいかに日向水
日向水撒きて気分は聖人に
口の日向水流し水を飲む
老いの手に親しみやすき日向水
日向水この日が今日である奇跡
絶滅のかの日向水ああ昭和
日向水冷めることなき地球かな
手を洗ふ寡婦の欠伸や日向水
日向水心の底にある純情
日向水どつかの猫がどつかから
日向水家族に波紋立つことも
日向水ポリエチレンテレフタレート
日向水チヤイナタウンの行き止まり
日向水大志抱かぬ暮らしぶり
日向水凹凸激し古盥
小さな母の太きかいなや日向水
日向水かけて拭き上ぐスクーター
同心円ひろがってゐる日向水
日向水愛と呼ばれた温度かも
この子らと一緒に帰る日向水
水道は始めも後も日向水
日向水むかしはむかしだけのこと
クーリングシェルターありと日向水
掻き混ぜし指に微風や日向水
肉球を洗ふ楽しみ日向水
もう一度空席探す日向水
日向水うつくしきこと触れぬこと
鶏のくぐもる声や日向水
大盥出して溜め置く日向水
小説が書けずに覗く日向水
下宿屋の奥に坪庭日向水
前足の小さな波紋日向水
日向水親しき高度成長期
日向水見合ひを終へし紗の着物
電柱の影鋭角に日向水
子が金魚みな裏返る日向水
日向水門口を占め旧街道
看護師が手を洗う水日向水
日向水打水とせし石畳
日向水浴びてゆふべの海納め
幼な子を丸ごと洗ふ日向水
日向水猫が波紋をつけに来る
水底の雲黄昏れて日向水
裏庭に時はゆっくり日向水
金盥風に揺れてる日向水
前日の日向水ビー玉ひかる
猛暑日の続く水道日向水
きらきらと太陽写しぬ日向水
薄目して老犬舐る日向水
日向水眠れる母の頬なでる
日向水ジダイ時代の乱反射
野良犬の舌のながさや日向水
大叔父のロングヘアーや日向水
日向水モノクロの過去映し出す
日向水まだ冷めやらず闇に捨つ
物干しに並ぶ襁褓や日向水
お日様のパワースポット日向水
日向水残して路地の子等去りぬ
空を喰む阿蘇のおほきさ日向水
日向水階段下の三輪車
日向水ふりさけ見れば太陽か
日向水貰うどこにも行かぬ日よ
日向水どっこい生きてた句の世界
日向水昭和のにほひそして熱
母の足洗う日日(にちにち)日向水
曇天の盥術なく日向水
日向水水輪水滴熱異常
老松の枝先映る日向水
「じゆうぶん」は祖母の口ぐせ日向水
夕暮や程よく熟れし日向水
迸るシャワーの水は日向水
平等に貧乏だつた日向水
猛暑日の池にかげろう日向水
草始末せし鎌洗ふ日向水
太陽は壮年日向水ぬくし
日向水太陽一つ姿見せ
近ごろはシネマの水さへ日向水
日向水昭和に戻りたるやうに
ひなたみづ太陽からの贈り物
瞬きすハシビロコウと日向水
伸子張りゆらりと傾ぐ日向水
取り巻くは猫の親子が日向水
日向水をんな墓石の陰に泣く
日向水昔は風呂に使われし
大小の桶に名のあり日向水
姉もまた配偶者なし日向水
日向水烏ら杜を移りけり
民宿のランチはカレー日向水
玄関の猫が番する日向水
今だつたらとてもとてもの日向水
村守る溜池のあり日向水
日向水なみなみとあり裏長屋
裏表無しと思いき日向水
日向水ほぼ体温と知る膚
長い物に巻かれ日向水が弛む
水舐めて猫寝転べり日向水
庭に撒き草木をぬらす日向水
日向水迷ひ込みたるオトメ街
日向水腕の確かな舟大工
端つこの日陰の水も日向水
日向水大地に最後戻したる
日向水母口遊むびわの歌
日輪の揺れてこぼるる日向水
日向水だれにも見せぬ傷が干す
日向水耳たぶだけが過去を覚え
飛ぶものが過ぎてゆきたる日向水
子を叱る声の聞こゆる日向水
だんだんとにぶくひかりぬひなたみづ
格子戸の奥に目のある日向水
ゴム草履ざぶんと洗ふ日向水
日向水忘れし事の一つずつ
日向水走って帰る金曜日
やうやくに息深うせり日向水
日向水われを撃たんと水鉄砲
巻けば滴るホースの中の日向水
汲み置きて使ふあてなき日向水
日向水ブリキの金魚眩しけり
日向水動物園のサバンナに
下町は祭りの準備日向水
日向水坊主頭の頃もあり
腹浸す老犬撫でて日向水
窶れては肌を気遣ふ日向水
昭和かな五右衛門風呂に日向水
日陰から表舞台へ日向水
虫や鳥集めてゐたる日向水
今日だけはやった気分の日向水
溜まりたる動画配信日向水
洗い物とりこむ夕の日向水
猫車なにものせずに日向水
きらめける玻璃の器や日向水
小鳥来て老人も来て日向水
炭住のむかし行水日向水
家プール日向水になり水を差す
通りすがりの手を入るる日向水
日向水撒きて今夜の紅を引く
たつぷりと日向水吐く蛇口かな
夕方のホースしばらく日向水
まず考が浴び出しそうな日向水
路側帯違法駐車か日向水
日向水金の盥は冷め易し
日向水金の盥に金の水
懐かしき香を残しつつ日向水
せせらぎを抱いて歩けり日向水
そばかすの揺らぎたのしき日向水
日向水すくう両手の黒さかな
つつましきかの日のたずき日向水
Z世代首を傾げる日向水
日向水カルガモの雛タイパ仮眠
部活後の子にいじわるや日向水
日向水終わり近けれ母の旅