兼題「シクラメン」__金曜俳句への投句一覧
(4月24日号掲載=3月31日締切)
2026年4月5日11:14AM|カテゴリー:堀田季何の金曜俳句|admin
シクラメンの原産地は、シリアからギリシャにかけてです。サクラソウ科の球根植物で、蝶型の篝火のような花をつけます。春の季語ですが、温室栽培が進んだので、冬の間から出回っています。
さて、どんな句が寄せられたでしょうか。
選句結果と選評は『週刊金曜日』2026年4月24日号に掲載します。
どうぞ、選句をお楽しみ下さり、堀田季何さんの選と比べてみてください。
amazonなどネット書店でも購入できるようになりました。
予約もできます。「週刊金曜日」で検索してください。
※差別を助長するなどの問題がある表現は、この「投句一覧」から省きます。
※上記以外で投句した句が掲載されていない場合は、編集部(伊田)までご連絡ください。
【シクラメン】
シクラメン鉄弦よりはナイロン弦
シクラメン葉で盛り上がる大地かな
警邏中かな玻璃越しのシクラメン
躑躅には沢山蕾シクラメン
何もせぬひと日の大事シクラメン
自叙伝の表紙にシクラメン準ふ
シクラメン言葉をおしむ別れの中
風にまだ馴染めぬ高さシクラメン
シクラメンきのふ拾うてきし頭痛
窓越しの日差しを浴びるシクラメン
シクラメンいつかとびたつ日をこがる
シクラメン葉の斑はハートなぞりをり
品書きの筆の湿り気シクラメン
僕たちはどう生きるのかシクラメン
新しき絵の具の匂ひシクラメン
シクラメン夜ごとサティを弾く女
「ごめんなさい」ってちゃんと言える子シクラメン
哀しき真白さよシクラメンの無垢
羽根運ぶ蟻の行列シクラメン
シクラメンなんとか今日一日だけ
アパートの歴史誇れりシクラメン
マイナンバー予約いっぱいシクラメン
鬼ごつこあとの喘鳴シクラメン
シクラメン詩集はうすいほど香る
真白なる傾聴室のシクラメン
独り居のずつと絶やさぬシクラメン
ババ抜きのババが離れぬシクラメン
独立の吾子の小店にシクラメン
夏を越した庭シクラメン雪の中
シクラメン悼みに色のなかりけり
クラムボンはシクラメンは水の底
シクラメン眼の奥ひそむ黄斑部
ここはほら、笑うところとシクラメン
帰ってこない猫と男やシクラメン
シクラメン先住民の骨返せ
深々と門出見送るシクラメン
シクラメン五センチ低い今の彼
シクラメンいつもよりかはかっこよく
シクラメン電子煙草を燻らせて
オペ室の窓辺に白きシクラメン
夢の跡荒家に赤きシクラメン
シクラメンますます咲くと言われけり
シクラメン吾子を撫づれば骨に触る
ちゃぶ台に離婚届とシクラメン
シクラメン未だ知らぬ子もかぐはし
空に咲くシクラメン見よイスラエル
花舗の灯を溢れ歩道へシクラメン
シクラメン診察台をほつこりと
シクラメン女主の工務店
私の非やシクラメンシクラメン
医学書の古りて積まれしシクラメン
シクラメン羽ばたきをればかんきせん
祈りとは形にならぬシクラメン
余生なる生き方はせずシクラメン
シクラメン出会いアプリに賭ける姉
シクラメン木の下庇護に雨が降る
シクラメン武器見本市に反対し
病室の窓の明るむシクラメン
シクラメン中東のあすは未知数
シクラメン自分色でと云われても
推敲を促してをりシクラメン
シクラメン綺麗な魔法幸せよ
汚れがちズボンシクラメンは綺麗
はにかみ屋の君へ贈りしシクラメン
踊り場で抱き合う二人シクラメン
鳥のゆく海峡のいろシクラメン
同棲の解消残すシクラメン
シクラメンいづれか勝れる紅と白
気まぐれな命の回路シクラメン
凍土から命燃え立つ篝火草
シクラメン妻と二人の居になりて
選び買ふいちばん赤きシクラメン
気弱くも身をよじるらしシクラメン
燃やしたる手紙の化身シクラメン
シクラメン影の長きも短きも
踏み入るまい誰か植えけむシクラメン
タバコ屋の小窓に朱きシクラメン
シクラメン記憶に残る独り言
打ち切らる生保残るやシクラメン
もうよいぞ堅き老婆にシクラメン
シクラメンそんな余裕はない今夜
はにかみて下を向きさくシクラメン
洋館の出窓を飾るシクラメン
悲しみを悲しみとしてシクラメン
シクラメン阿毘羅吽欠(アビラウンケン)また蕾
火踊りの炎シクラメンの紅蓮
老残の身をさらしいるシクラメン
シクラメン種子こぼるる星の夜
俯きて人待ち顔のシクラメン
誕生日隠す靴箱シクラメン
シクラメン白内障の瞳(め)に点る
シクラメン監視カメラに見張られて
同伴のヒロシに貰ふシクラメン
取り扱ひ説明書付きシクラメン
葉群に落としものシクラメン真剣
こだはりのたつたのひとつシクラメン
しばらくをひとりで暮らすシクラメン
シクラメン夫婦喧嘩を笑ふかに
人生のいまがさかりやシクラメン
娘らの気になる赤きシクラメン
天気予報外れてシクラメン責める
シクラメン私は今も元気です
シクラメン終の住処に安からむ
今日こそは上目遣いよシクラメン
窓辺には燭三つシクラメン
窓際にシクラメンだけあれば良し
羽化したる篝火花の翔び立たん
シクラメン雲から溢れ落ちし色
真綿色合わないようなしくらめん
裏口の日向に置けりシクラメン
シクラメンボレロのリズム整えり
延命の議論の横にシクラメン
吸殻のやうなをとこよシクラメン
シクラメン女子は耳打ち動かざり
シクラメン心が和む凜と咲く
いつの間に校舎に並ぶシクラメン
千鉢に朝日溢れしシクラメン
兄弟の立ち上がれりシクラメン
二つ目の赤まで試歩やシクラメン
遠方人となりたる吾子やシクラメン
シクラメンはギルボア・アイリスと争わず
シクラメン見るや反射で布施の声
夜の影を引きずる白きシクラメン
シクラメン外の世界の空気吸う
大気圏抜けて来たれりシクラメン
残業の窓辺に月とシクラメン
まぶしさに人を幻惑シクラメン
告白に頬を染めるやシクラメン
シクラメンホームに母を訪ねけり
シクラメン花たちにこにこ談話会
風はやはらかシクラメンふるふると
シクラメン口ずさむ歌妻知らぬ
シクラメン白き肌あらわかな
シクラメン眼閉づれば死の昏さ
窓越しに語らうなかのシクラメン
珍しき妻の沈黙シクラメン
おしくらこ押されて泣くなシクラメン
シクラメン正しく枯らす良き市民
赤き葉の湿つてをりぬシクラメン
赤々と炎の花弁シクラメン
知らぬ人どうしで愛でるシクラメン
恋人を呼ぶ口実やシクラメン
シクラメン香りを胸に抱いて笑む
自己と他者との境目にシクラメン
時期過ぎて一隅照らすシクラメン
シクラメン電気煙草の色に似て
独り部屋机上に灯るシクラメン
人ゐぬる地球を待てりシクラメン
シクラメン飛び立つ翅はまだ蕾
新婚やシクラメンから路地に入る
中東が母の地原種シクラメン
艶歌よりボサノバだよねシクラメン
書斎じきに娘の部屋にシクラメン
シクラメンや昔の友に会ひにけり
米軍や哀れに散ったシクラメン
あなたより私若いわシクラメン
シクラメン墳墓のごときたなごころ
西多摩に所狭しとシクラメン
シクラメン鶴折るまへに手を洗ひ
シクラメン娘も母になりにけり
盆栽を仕込みし寺のシクラメン
十坪の敷地の間取りシクラメン
シクラメン戦争始めたやつがいる
庭シクラメン葉陰に潜むトカゲと目があう
実のとこ今はどうでもシクラメン
年金日来店記念シクラメン
紅を引く鏡の隅にシクラメン
静脈はみづぎはの色シクラメン
シクラメン窓辺を飾る裏通り
シクラメン雨の窓辺で帰り待つ
シクラメン選びし色で性格を
財産は亡母育てしシクラメン
シクラメン明治の玻璃の乱反射
ことさらに色あかあかとシクラメン
やいやいと花実の角出るシクラメン
素描せり篝火花の咲きやうを
シクラメン和紙を畳みしやうな白
シクラメン死がすこしづつ近づいて
シクラメン三三五五とデモに入(い)る
シクラメン帰り迎えて咲きにけり
明日ひらく力をためるシクラメン
植木鉢の生活飽きたシクラメン
シクラメン一糸乱れぬ鼓笛隊
シクラメン花咲前の項垂れ度
シクラメンアンチは愛を叫びをり
窯焼の洩るる火シクラメン赫し
シクラメン地図を片手にひとり旅
フェアリーの名にて枯れゆくシクラメン
シクラメンや井戸端会議月青し
シクラメン会釈を交わす直売所
黒電話の市外局番シクラメン
シクラメン垂らす萼を反る花弁
シクラメン父の手首のバーコード
シクラメンわちゃわちゃがちゃがちゃ大家族
幸せの喫水線のシクラメン
妻には妻の時間感覚シクラメン
木の下のシクラメンかな葉が積もる
シクラメンは猫には毒なのきれいだけど
白といふ気障な色ありシクラメン
水糊をのぼるあぶくやシクラメン
濡衣をなべて受け止めシクラメン
だまし絵になるなよ白いシクラメン
待ち人来たらずシクラメンの窓辺
シクラメン父の忌日の過ぎにけり
待ち合わす松屋浅草シクラメン
シクラメン今日から始むダイエット
政宗のやうに傾くやシクラメン
ヒット曲脳内ジャックシクラメン
蒼穹と地中海ありシクラメン
シクラメン割れて二つの石と石
導師とも篝火花の阿闍梨とも
シクラメン今年もちやんと枯れにけり
古書店の紅一点のシクラメン
独り居の窓に灯れるシクラメン
出荷待ち故郷を去るシクラメン
きつと雨に泣いてたんだねシクラメン
放埒な匂ひありけりシクラメン
とりどりに目移りしたるシクラメン
シクラメン船長室の日の淡き
シクラメン母の髪梳く指ざはり
シクラメンは喧嘩の仲裁上手
沈黙の色鮮やかにシクラメン
踊り子の衣装は真紅シクラメン
シクラメン還暦の庭未だ咲き
シクラメン雲より落つる白き灰
シクラメン街道沿いにのぼり旗
雲遠く病むにも力シクラメン
生贄の黙の重さやシクラメン
住民課おしやべり顔のシクラメン
集まりて生きる強かシクラメン
火を飼ふは甘美なる罰シクラメン
じりじりと一鉢の燃ゆシクラメン
裏表見せず上向くシクラメン
シクラメン飢餓の憂いの海を越へ
軽々の虚飾の言葉シクラメン
シクラメン抱き隣室へゆく異動
シクラメン残し寿退社かな
木漏れ日や異国の森のシクラメン
あと少ししたら今年もさよならと冬の終わりを告げるシクラメン
シクラメン母にねえやのゐたといふ
シクラメン母の枯らさぬ一つ鉢
シクラメン都市伝説を紡ぐ者
今日もまだ蕾のままやシクラメン
シクラメン星座の中で満開よ
シクラメン枯らす患者の浅き息
アドバイス受け止めるようシクラメン
余命過ぐ色あふれをるシクラメン
シクラメン落窪の姫しずしずと
シクラメン地球にやさしくない戦争
シクラメン初(うぶ)と艶(つや)とを包みつつ
シクラメン平和のバトンつなぎます
点滴の身の窓際にシクラメン
アトリエにシクラメン持つ裸体かな
たつぷりと日を浴びまくるシクラメン
駄菓子屋に駄菓子の記憶シクラメン
シクラメン歩きたる前に赤いはな
進学の窓辺に残るシクラメン
良性と書かれしメモやシクラメン
シクラメン売れて表計算ソフト
反り返りぶつきらぼうなシクラメン
リガーデン一劃に据うシクラメン
ノット・ボーイミーツガールのシクラメン
衝動を秘し水揚ぐるシクラメン
シクラメン孫からもらふラブレター
シクラメンと猫を託して逐電す
シクラメン白き炎の無口なる
ちさき花シクラメンやはひざまずく
シクラメン平和を包むかたちです
誰がためのこの葉この色シクラメン
求婚のあとのお茶漬けシクラメン
背くらべ笑いくらべのシクラメン
あくまでもしづかな恋やシクラメン
こみ上ぐる紅き一鉢シクラメン
デモ帰り緋色を選ぶシクラメン
場違いなシクラメンかな老夫婦
ねずみ算知らぬ顔なりシクラメン
シクラメン真綿色とふ妣の声
対局の果てたる視野のシクラメン
男装の若き女やシクラメン
シクラメン大音量でモダンジャズ
