兼題「東風」__金曜俳句への投句一覧
(3月27日号掲載=2月28日締切)
2026年3月4日8:50PM|カテゴリー:堀田季何の金曜俳句|admin
東から吹く、まだやや荒い早春の風を東風(こち)と呼びます。
さて、どんな句が寄せられたでしょうか。
選句結果と選評は『週刊金曜日』2026年3月27日号に掲載します。
どうぞ、選句をお楽しみ下さり、堀田季何さんの選と比べてみてください。
amazonなどネット書店でも購入できるようになりました。
予約もできます。「週刊金曜日」で検索してください。
※差別を助長するなどの問題がある表現は、この「投句一覧」から省きます。
※上記以外で投句した句が掲載されていない場合は、編集部(伊田)までご連絡ください。
【東風】
荒東風に着陸再度島の飛機
松の葉音にはかに揃ひ東風強し
戰爭の答へは東風の中にあり
磯宮に祀られし銛東風の吹く
少年のスニーカー東風吹きにけり
東風や木の枝揺れる星こころ
城跡をめぐりて吹きぬ桜東風
大南風甘さたつぷり露地野菜
余り東風あらば動きぬ万歩計
逆境に耐え抜きし首東風の吹く
梅東風やぶらさがるもの多き家
梅東風や父の手首のバーコード
夕東風や髪を固めて歌舞伎町
東風吹くや徳を積み足す募金箱
煌めける甍の浪や桜東風
朝東風やラジオ深夜便よりジャズ
夕東風や鳩巣に戻る神田川
強東風やウォーキングの腕を振る
東風吹くや女子高生の高笑
窓ガラス割れる学校いなだ東風
合格の祈願しており東風の中
荒東風に荷抱え走る配達員
東風に回る風車や青い海
単線を一両の行く雲雀東風
梅東風や大宰府からのメールくる
東風吹くや花粉の烟りたなびきし
桜東風キッチンカーの幌広ぐ
強東風や割れて二つの岩と岩
あちこちに愛想振りまく桜東風
セーリングエコロジカルに東風にのり
下り坂半ばに受くる強き東風
東風吹かば斜めに掛ける図面筒
朝東風や白煙突はひかり帯び
東風や金粉散らし金閣寺
強東風や張りつめてゐる舫ひ綱
梅東風や道真のひとつぶ涙
東風吹けど花の蕾は固いまま
八挺艪越ゆる白波櫻東風
東風吹いて正すべき襟何処に有る
夕東風や池の灯となる弁天堂
窓全開海の香床し東風吹けり
強東風に抗ふ二人ちりぢりに
東風ふくや海一望の天守閣
東風の東京の東京らしき
強東風や大波かぶる練習船
東風吹かば海彦山彦目覚めける
化石を探しつつ東風に吹かれけり
梅東風のきらきら通過するからだ
東風吹きて賑わひ初むる漁具小屋
強東風や老々介護身に染みて
夕東風や影の長きも短きも
桜東風新幹線の鼻長し
東風の妻あふれんばかりのやさしさ
東風吹かば日本列島武者震ひ
しにたくもない東風に影揺さぶられ
東風吹かば皆菅公の旅路かな
強東風や犬吠の浪猛り立ち
東風吹くやきれいなフケが飛んでいく
こち読めぬ子は堂々とひがしかぜ
東風吹けば香り立くる花の香
梅東風や沖見窓辺に胸を張る
東風こちら一点物のわたしの身
朝東風や人身事故のアナウンス
荒東風や楚歌聞こえ来る昼休み
強東風や星吹かれよる湖の上
細波を起てて東風過ぐ湖面かな
東風吹くや旅行鞄にある隙間
こちらから出向く間もなく東風が吹く
微妙なる俺の立ち位置畝に東風
南風動き出しさう日本丸
夕東風や玻璃戸波打つ黒田邸
どうすれば良いB型の東風に訊く
かちこちの自己紹介や雲雀東風
東風吹いて教師の離職また一人
梅東風のまだまだ先はありさうな
強東風や島すこしだけ流れけり
東風吹かば授業意味失せ時計見る
沖は東風わくわく騒ぐ漁師の血
箱並ぶ都心の路地に雲雀東風
カフェラテのおかわり頼む桜東風
天佑自助辛苦散失標東風(てんゆうじじょしんくちりうすしるべこち)
朝東風や大南公の騎馬姿
朝東風や墨痕強き絵馬あまた
失恋の背中合わせや雨の東風
夕東風に飛天の笛の響きけり
東風の波届いて泣くと辻地蔵
東風吹けば墓石の苔背伸びする
強東風に目薬入るる旅鞄
桜東風四国三郎起きんかよ
硬き土ほころび始む東風の中
車座の俳人墓地に東風止まず
東風の中まだ手にしてる参考書
行き摺りの東風耳もとでハーモニー
車椅子押す背に東風の力添へ
梅東風や琴の音響く天神社
強東風に養生シート波打てり
夕東風の家並み家並みと灯りゆく
夕東風や照明点す競技場
強東風や犬の遠吠へ消えやらず
大戸開く東風迎える奥信濃
桜東風地図を片手に一人旅
海坂へミソラ奏でる桜東風
朝東風につむじで向ふ丸の内
目的は書肆に尋ねる東風が吹く
祝祭の大漁旗へ鰆東風
東風吹くと制御不能の孫揺れる
東風吹かばテトラポッドに添う釣り師
蓬莱の音かすかなる桜東風
東風に三万佳麗落花かな
東風吹いてマラソン日和ラストラン
豊漁を呼ぶ東風吹くや過疎の町
風見鶏右往左往の南風
東風やまず申し訳なく出すメール
病み上がり快気祝いの東風吹きぬ
東風吹いて友何人と別れたか
釜飯を炊きて待たうぞ鰆東風
青東風へ手をあげて呼ぶ渡し舟
東風吹くとマッコウクジラの海しぶき
こちかぜ来十五年目の海より来
夕東風や明日の凪を確信する
東風吹くやオランウータン空歩く
朝東風より夕東風までを海辺にて
強東風の直角にビル群巡る
吹けよ東風いづれ帰れる故里に
桜東風同窓会の旅支度
東風吹くや姉妹都市より留学生
一斉に饒舌となる東風の山
朝東風やあとかたもなき曲馬團
東風吹かばベンチに佇む我である
強東風や今日の吟行まだ一人
割れ窓の垂らす黒旗東風荒し
夕東風の連絡線は島泊まり
雲梯のあばら撫でつつ桜東風
パドックのばん馬の巨体東風の中
東風つよし後楽園の曲水に
午後二時の東風やはらかく通院す
東風吹くやかがみ文字なる絵馬のあり
強東風や液晶画面震へをり
天神や東風吹く吹けば石の上
あめ東風の正反対の諸説かな
東風寄せる天満天神繁昌亭
東風便り聞けば南へ飛ぶ心
朝東風に語り出したる松林
幾度も強東風に消ゆ片便り
某党に新エース出る桜東風
始まりは戻れぬ時間雲雀東風
紅顔に東風を受けたる朴容夏(「朴容夏」は、韓国の俳優、パク・ヨンハ〔故人〕の漢字表記)
東風日和十歩ばかりの庭を踏む
東風強し洗濯物も飛びにけり
夕東風や窓から魚を焼く匂ひ
梅東風やわが子に二つあるつむじ
強東風に飛ぶ号外を追ひかけて
強東風の来てもロダンは考へる
現場から以上です東風笑ふごと
二丁目の郵便局の屋根に東風
東風吹かば常新たなる悪しき世に
夕東風の被害届は受理されて
強東風に高所作業車煽られて
離婚して東風来ぬ街に住みにけり
東風吹くやあとはハンコを押さば足る
東風吹かば合格待ちのしのばるゝ
この国に人民はなし東風募れ
東風の吹く夜の鳥一羽生まれたり
夕東風や応募ハガキのうすつぺら
夕東風や天気予報の肩すかし
せせらぎや東風のリズムに唱和して
強東風や右へ左へ操舵輪
青東風や琉球大学囲いなし
東風吹くと天の恵に芽吹き出す
青龍の門を一気に抜くる東風
散らぬかと気を揉ませたる桜東風
校庭の別れ東風渡る裏山
東風の午後死に目に合はぬシフトかな
辨慶の向かふ脛へと雲雀東風
夕東風の公園すでに人気なく
東風吹かば方位磁針の震へをり
荒東風と跳び乗る路面電車かな
東風吹かば街の噂も耳に入り
南風吹く踏ん張る脚の歩荷かな
汽水湖へころがる東風の帽子かな
列島に荒東風吹けり二月八日
ふるさとが賑わいに沸くにしん東風
荒東風やペダル立ち漕ぐ跨線橋
東風ふくや線香煙る大師堂
東風さなか檀も風となつてゆく
桜東風昨日の人に今日会わず
東風の中六枚切りのパンを買う
鰆東風会釈を交わす直売所
夕東風へ声出し続く応援団
東風吹かば縄文の世は這ひ出でし
東風吹きて旅に往きたしきたみなみ
東風吹きて抜け毛ふわりと広き庭
東風の荒きに異国船傾きをり
夕東風や影の赤らむ鉄窓花
朝東風やずつと一人でバスを待つ
朝東風やブエノスアイレスよりメール
ヤンキーの中学生やいなだ東風
手洗ひし吊るす喪服や桜東風
思ひ出にしてもよかろう桜東風
桜東風書道大書の娘等の舞
東風吹かば花を咲かすか時化呼ぶか
半島の石の祠や東風荒らき
強東風に飲みたき顔を晒す旅
雉鳩の首よく動く櫻東風
鼻腔むずむず東風光るせいなのだ
夕東風のろうそく揺るる玻璃戸かな
灯台の風見の東風の強きかな
朝東風や手を差伸べる夫婦づれ
刈り上げの青きうなじに南風
強東風にふるさと近くなりにけり
強東風に干したる衣服ざわつきぬ
騎手ガッツポーズ鬣に尾に東風
朝東風に堤防の草目覚めたり
寝返りを助くる腕に東風の波
強東風や漁具手入れに農具手入れ
東風吹かばふの字に構ふ撫仏
棟梁の掛矢の間合ひさくら東風
何度目の東風や墓から父の声
強東風や外れ忘れのヘアカーラー
夕東風に押されて妻は髪撫でる
強東風に朝の声飛ぶ選挙カー
鰆東風海へ江之浦測候所
烏帽子岩に寄すあをあをと東風の波
この赤は東風吹き付けて消せぬもの
