きんようブログ 社員エッセイを掲載。あの記事の裏話も読めるかも!?

すべてのメディアには開かない外務省

『週刊金曜日』11月20日号の奥付で、外務省が〈大臣・副大臣等の記者会見をすべてのメディアに開放する〉と発表しながら、『週刊金曜日』が会見に参加できていない現状を書きました。〈なんたる羊頭狗肉!〉と。

 そのなかで、外務省の報道課から回答がないと書いたところ、どのような質問を送ったのですか、との質問をいただきました。私の問題意識がある意味で、端的に出ていますので、11月13日に外務省報道課にファクスした質問を転載します。なお、いま現在(11月30日午後3時)、外務省からは回答がありません。
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外務省報道課御中

拝啓 時下、益々ご清栄のこととお慶び申し上げます。下記のとおり質問項目をFAXで送付させて頂きます。ご多忙中恐縮ですが、11月16日午後6時までに文書などでご回答いただけますようお願いいたします。   敬具

    【1】外務省における「メディア」の定義をお教え下さい。
   
    【2】『週刊金曜日』はメディアですか。判断の理由・根拠とともにお答え下さい。
   
    【3】9月29日付文書「大臣会見等の開放と基本的な方針について」(以下、基本方針)において、〈すべてのメディアに開放する〉としながら、メディアの定義を〈1)日本新聞協会会員2)日本民間放送連盟会員……〉など、業界団体加盟社もしくは加盟社の媒体に執筆しているフリーとしています。メディアとは一般的に「媒体。手段。特に、新聞・雑誌・テレビ・ラジオなどの媒体。」(大辞泉)と定義されるところ、基本方針では業界団体加盟社もしくは加盟社媒体執筆者に限定されている理由をお教え下さい。
   
    【4】基本方針に基づき11月13日までに、会見への参加を希望した(事前申請した)人数とその内訳[基本方針における1)~6)の分類別人数]をお教え下さい。
   
    【5】審査の結果、参加を認められた人数とその内訳をお教え下さい。
   
    【6】審査の結果、参加を認められなかったと通知した人数とその内訳をお教え下さい。
   
    【7】通知を行なっていない事例はありますか。ある場合その事例数と、通知をしていない理由をお教え下さい。
   
    【8】『週刊金曜日』の編集者が10月13日に行なった事前申請メールは届いていますか。届いている場合、審査はしましたか。審査結果について通知をしましたか。通知をしていないとすれば、通知をしていない理由をお教え下さい。
   
    【9】基本方針におけるメディアへの対応を担当している部署と責任者名をお教え下さい。
   
    【10】情報公開第02732号(2009年11月12日)では、週刊金曜日もしくは、週刊金曜日の社員・ライターに関して作成した過去3年間の文書は「作成していないため、不開示(不存在)」としています。これは、基本方針における審査を行なっていない、そもそも審査するための書類を作成していないと解して良いでしょうか。そう解して良いなら、なぜ審査書類すら作成していないのかお教え下さい。
   
    【11】審査書類の作成が必要ないと判断した担当者の部署と担当者名をお教えください。

新政権と公共性の構造転換

シジフォスの希望(35)

 おそらくは誰か知恵袋がいて、意識してやっているのだろう。事業仕分け、CO2の25%削減、八ッ場ダム、高速道路無料化など、その着地点と実現性はともかくとして、民主党の発想は、ドイツの哲学者で憲法愛国主義のユルゲン・ハーバーマスのいう「公共性の構造転換」あるいは「公共の再生」を模索しているように見える。

 自民党的政治には政官財の癒着と米国への隷属という2つの厚い岩盤があった。癒着によって「公共」と「公益」は歪められ、隷属によって9条に象徴される平和主義は侵食された。公明党がそれを補完した。「癒着と隷属」の磁場に富が吸い上げられ、格差と貧困が広がる中、多くの人はそうした自民党的「公共」の転換を民主党に求めたようだ。では、民主党はその「癒着と隷属」の厚い岩盤をどれだけ崩せるのか。

 公開で実施された、「コンクリートから人へ」(10月26日の鳩山由紀夫首相の所信表明演説より)のための事業仕分けは、それまで市民・国民の目に触れずに決められてきた予算や事業のあり方をめぐって一石を投じた。しかし、この程度では岩盤に亀裂が入ることはない。爪を立てた程度ではないか。象徴的な事例が、軍事・防衛に関わる「仕分け」だった。

 在日米軍駐留経費を日本側が負担している「思いやり予算」については本来、日米地位協定第24条に基づいて米国がその全額を負担すべきところ、行政刷新会議の事業仕分けでは、基地従業員の給与などの見直しを求めた(11月26日)。要するに、「コンクリート」(この場合は米国や兵器購入など)に斬り込まずに、「人」に犠牲を求めた形だ。理念と逆行するのではないか。

 さらに言えば、本気で「公共」をめぐる構造を転換させるには、来年50年となる日米安保体制や天皇制にまで踏み込むことが不可欠だろうが、皇室や宮内庁の予算の仕分けについてはやはりタブーのようだ。官房機密費をめぐる平野博文官房長官や鳩山首相の発言を見ても、外交機密費や警察の捜査機密費を含めて、国民の税金でありながらブラックボックスに入っている裏ガネの使途を公表するまでには至らないだろう。となると、とてもじゃないが、「公共性の構造転換」にはほど遠い。(2009年11月27日・片岡伸行)

日本初の治山ダム撤去

 『週刊金曜日』11月20日号「金曜アンテナ」に、「日本初 群馬・みなかみ町で治山ダムを撤去」と題した記事を掲載しました。

 読者から「白黒写真でもったいないね」との感想が寄せられたので、ここでカラー写真(未公開含む)を掲載します。

 ダム撤去が大きな動きになることを期待しています。

ダム中央部を基礎部分を含めて取り除き、沢水が自由に流れるようにしている。

撤去工事中の「2号ダム」。中央部を基礎部分を含めて取り除き、沢水が自由に流れるようにしている。

「2号ダム」とほぼ同規模の「1号ダム」。堰堤の上部は土砂が堆積している。これだけ落差があると、魚類は遡上できない。

「2号ダム」とほぼ同規模の「1号ダム」。堰堤の上部は土砂が堆積している。これだけ落差があると、魚類は遡上できない。

「1号ダム」の上流部。治山ダムの効果で土砂が堆積している。渇水期に沢水が伏流すれば、魚類や水生昆虫の生息環境が失われる。

「1号ダム」の上流部。治山ダムの効果で土砂が堆積している。渇水期に沢水が伏流すれば、魚類や水生昆虫の生息環境が失われる。

佐高信対談「日本を何とかしよう」第4弾

 少し間をいただいた佐高信編集委員の対談「日本を何とかしよう」、11月27日発売号掲載の第4弾では、辻元清美・国土交通副大臣(社民党)に登場していただきます。

11月6日、政権交代の効果について語る辻元清美・国土交通副大臣。(衆議院第2議員会館)

11月6日、政権交代の効果について語る辻元清美・国土交通副大臣。(衆議院第2議員会館)

 国会開催期間中に「永田町航海記」を執筆してきたので、『週刊金曜日』読者にとって、快活な政治姿勢はおなじみでしょう。その辻元氏が、副大臣認証式でのちょっと困ったエピソードにはじまり、八ッ場ダム中止やJAL再建問題などへの取り組みを熱く語っています。

 11月27日の発売を楽しみにしていただければ幸いです。 

カヤマー佐高

2009年の新語・流行語大賞の候補ワードにも選ばれた「カツマー」。

http://singo.jiyu.co.jp/nominate/nominate2009.html

その「勝間和代」をめざさない『しがみつかない生き方』で話題になった香山リカさん。(カヤマー)

今年は「あなたはカツマー?、カヤマー?」という二択もよく目にしたが、このコラム(『週刊金曜日』775(2009年11月13日)号の『抵抗人名録』)が佐高信の回答になっている。

そんな佐高さんの香山さん評は、一般的なカヤマー派には、ちょっと残念かも知れない「なかなかに猛々しい人」。

具体的エピソードは本誌でどうぞ。

抵抗人名録のリスト

抵抗人名録7 松元ヒロ 『週刊金曜日』765(2009年9月4日)号
抵抗人名録6 矢野顕子 『週刊金曜日』758(2009年7月10日)号
抵抗人名録5 湯浅誠 『週刊金曜日』748(2009年4月24日)号
抵抗人名録4 梁英姫 『週刊金曜日』734(2009年1月16日)号
抵抗人名録3 中島岳志 『週刊金曜日』733(2009年1月9日)号
抵抗人名録2 緒形拳 『週刊金曜日』724(2008年10月24日)号
抵抗人名録1 高野廣志 『週刊金曜日』719(2008年9月19日)号

(バックナンバーが見たい!という方は本誌バックナンバーのお申し込み
をご覧下さい。)

これより前の連載、「人物メモワール」は『抵抗人名録』として書籍になっています。

http://www.kinyobi.co.jp/publish/publish_detail.php?no=80&n=ta&page=1

基本、ルポでしょ。

『週刊金曜日』774(2009年11月6日)号は創刊16周年記念号。

タイトルはどーんと「ルポの時代」。
原稿用紙のマス目で、ちょっと創刊時の表紙を思い出す。
表紙には筆者の手書き原稿が載っていたなぁ。
見返してみると、1年目は時々原稿が表紙を飾っている。

今やほとんどがパソコンなのではないかと思われるかも知れないが
『週刊金曜日』の編集委員は一般的と思われるより手書き率が高い。

宇都宮健児さん、落合恵子さん、佐高信さん、本多勝一さんは手書き。
雨宮処凛さん、田中優子さん、中島岳志さんはパソコン。
ちょっとうなづける結果?

774号には、創価学会、韓国人新聞奨学生、無料低額宿泊所などの
ルポに加えて、編集委員と古本屋のオヤジさんが選んだ傑作ルポも載っている。

『編集委員がお奨めする必読のルポルタージュ』

それぞれ3編ずつのうち1編だけここに紹介してしまいました。

雨宮処凛さん=ハウジング プア

石坂啓さん=M/世界の、憂鬱な先端

宇都宮健児さん=自動車絶望工場

落合恵子さん=環境レイシズム

佐高信さん=風成の女たち

田中優子さん=苦海浄土

中島岳志さん=「隔離」という病い

解説と残りの2作品は本誌でご確認ください。

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格闘する“格闘する思想”

久々の掲載になった「格闘する思想」
今回は現代アラブ文学研究者の岡真理さん。(『週刊金曜日』773(2009年10月30日)号)

今回も読みごたえのある6ページ掲載です。
(担当によると、「それでも全然収まりきっていない」らしい。)

読み終わった感想は、「一度、カナファーニー読んでみるか。」
(カナファーニーは岡真理さんが、アラブ文学との運命的な出会いを果たしたという作家。)

「大学一年の時に出会ったカナファーニーの衝撃でこの三○年近くずっとやっている」
というほどのすごさに興味がわきます。

岡さんの文学に対する、また、アラブ世界に対する思いがじんわりと伝わって、読書の秋にまた文学の力を感じたくなる対談でした。内容については、原文を読んでいただくに限りますが、この文章の題名の“格闘する”の一部に含まれる、ロケ場所探しに格闘する担当の苦労話。

このシリーズはいつも屋外でのゲストの方の写真が載っていますが、この撮影がかなり大変なようで、公園などでも許可が必要だったり、許可を取っているのににらまれたり、有名な場所だと撮影料がかかったりと、少ない予算の中、自転車でロケハンに走り回っているそうです。いい場所ご存じの方は、ぜひ教えてあげてください。

(カナファーニーの今に手に入る著作
「ハイファに戻って/太陽の男たち (単行本) 」河出書房新社 ISBN-13: 978-4309205182 )

これまでの“格闘する思想”リスト

格闘する思想 萱野稔人(上) いま、考えるべきは「暴力の運動」だ(『週刊金曜日』637(2007年1月12日)号)

格闘する思想 萱野稔人(下) 国家の暴力にいかにリアリティをもてるか(『週刊金曜日』638(2007年1月19日)号)

格闘する思想 海妻径子(上) 国家・産業とジェンダーとの随伴関係を問う(『週刊金曜日』655(2007年5月25日)号)

格闘する思想 海妻径子(下) 〈やりがい〉や〈自由さ〉が搾取される労働の場でいかにたたかうか(『週刊金曜日』656(2007年6月1日)号)

格闘する思想 廣瀬純 闘争性を発動させるために(『週刊金曜日』684(2007年6月1日)号)

格闘する思想 本田由紀 階層的エゴと資本の放恣が渦巻く社会を打開するすべは(『週刊金曜日』702(2008年5月16日)号)

格闘する思想 白石嘉治 交換のロジックを断ち切り世界の無償性を拡大せよ(『週刊金曜日』732(2008年12月19日)号)