兼題「淡雪」__金曜俳句への投句一覧
(3月27日号掲載=2月28日締切)
2026年3月4日8:45PM|カテゴリー:堀田季何の金曜俳句|admin
淡雪は、「春の雪」の傍題です。降るそばから消えて、積もることがないのでこの名前があります。
さて、どんな句が寄せられたでしょうか。
選句結果と選評は『週刊金曜日』2026年3月27日号に掲載します。
どうぞ、選句をお楽しみ下さり、堀田季何さんの選と比べてみてください。
amazonなどネット書店でも購入できるようになりました。
予約もできます。「週刊金曜日」で検索してください。
※差別を助長するなどの問題がある表現は、この「投句一覧」から省きます。
※上記以外で投句した句が掲載されていない場合は、編集部(伊田)までご連絡ください。
【淡雪】
淡雪や鹿島の杜の要石
水紋を画く淡雪降り始め
淡雪やこれより先は神田川
淡雪や九条の国の行く先
淡雪や自由じゆふと消へてゆく
淡雪を余すことなく溶かす雨
再会は望むべくなく淡き雪
淡雪や空を見るとき幼顔
淡雪や母訪ふことをためらへる
淡雪にビルの工事の伸び止めず
ひとしきり淡雪舞うを見ておりぬ
淡雪のいつもの道をスニーカー
淡雪を地球の吐ける息と見し
淡雪は本音のように消えにけり
枝ごとに水の重さや牡丹雪
淡雪や野の花絵巻開幕す
淡雪や想像妊娠悩む妻
湯気に舞淡雪消ゆる野天風呂
淡雪や踏みしめ歩く細き道
淡雪や湧いては消ゆる伊予の浦
淡雪やオランダ坂の夕暮れて
淡雪や一人で生きる頼りなさ
淡雪の生命の続く二三秒
淡雪や友の手首の脈を取る
淡雪にまみれて妻の水仕事
淡雪にワルツを踊る野良猫よ
淡雪にタクトを振ると歌になる
淡雪の濡らせし空に足場組む
淡雪や裸木女形のようになり
あはゆきやト書きに足せる星印
淡雪やあらゆる人が若返し
淡雪にそそのかされて婆走る
窓ひとつ風信子荘淡雪の
淡雪や春に別れを告げ去りぬ
淡雪やナースシューズの汚れかな
毛氈に淡雪舞へる野点かな
淡雪や投票したが死票に
淡雪やホールポストの旗揺れて
淡雪やスマホ画面に溶けにけり
淡雪や薄桃色の頬濡らし
淡雪や果実酒仕込み嫁ぐ姉
淡雪や半跏思惟のゆびに融け
淡雪やベーコンに層うつすらと
淡雪の縄張り守るやうに落つ
金泥に淡雪鯉の鼻に降る
淡雪を手に躍らせて石地蔵
淡雪の隱さぬ嘘よ汝もわれも
淡雪はソース園生の生パスタ
淡雪や破船は砂に沈みつつ
淡雪や我が人生の帰着点
一身上の都合により淡雪
淡雪や石が溶けつつ石の城
淡雪や舞い散れそして砕け散れ
淡雪や幾何学模様残しまま
産土の川は墨色淡き雪
淡雪のその気があつたにしてもだ
淡雪の館童話のようにあり
淡雪や三島由紀夫の委任状
淡雪やいつもどおりに飯うまし
牡丹雪かくれんぼの鬼かわってよ
牡丹雪墓石どれも同じう見ゆ
淡雪や下駄の鼻緒の朱殷いろ
淡雪の短かき命嘆き濃し
淡雪や姫路の姉との距離感
淡雪や朱鷺舞う島の能舞台
淡雪の終着駅は始発駅
淡雪やドーナツの穴宙の穴
淡雪が掘る縄文の土濡らす
幾日か淡雪浮かぶランドセル
淡雪やからくり人形首傾げ
淡雪や赤き外輪船の水脈
淡雪のいつもの部屋に妻ひとり
淡雪の朝まざまざと始業ベル
淡雪や昨日をすこしづつ隠し
淡雪や八十路ま近の子守唄
淡雪を口へ受けとる子の遊び
淡雪をまとい恋猫雪おんな
淡雪のせめて粧ふ別れ際
淡雪や銅像となれ本となれ
小屋はねて外は淡雪夢の先
縁側に微睡む記憶淡き雪
淡雪や生き急いでも消えぬ咎
淡雪や菅笠借りて外湯へと
あはゆきや靴屋の首の布メジャー
淡雪や「友達で」からもう二年
淡雪の強さが匂ひたつ巨岩
淡雪は消ゆマネキンは核家族
淡雪や哀話矛盾をはらむなり
合谷に淡雪ふれつ命の間
淡雪や各駅停車の遠汽笛
淡雪の水となりゆくまでの刻
淡雪のそのつもりそのままにして
不揃いの靴淡雪の初デート
淡雪や少女の黒のランドセル
三猿と三原則と淡雪と
淡雪や薬味はいらぬ里の湯葉
春の雪灯りに外湯巡りかな
淡雪や峠を越ゆる人の肩
淡雪や掌といふ終焉地
あはゆきや値札付きたる家族写真
片恋や淡雪の中君待てり
淡雪と日記に記すまでもなく
淡雪やマリオネットの糸切れて
ルーキーの選手生命たびら雪
淡雪や鞭幽かなる馬捨場
淡雪にラケットを振る庭球部
亡霊にふれて淡雪ふるへをり
厄除けに出でし古寺に淡雪も
淡雪の堅牢質が有る筈だ
淡雪や椅子には深き人の跡
一片の淡雪の行方気になりぬ
水になる速さを競ふ春の雪
淡雪や俳人墓地に白々と
淡雪や思い通りにならぬ日々
淡雪を踏まんとランドセル二つ
淡雪にほんわり歩く朝の道
淡雪は休符息継ぎするための
淡雪や校庭に立つ平和像
牡丹雪去る人銀幕に消ゆ
母からのふみと思しき淡雪よ
淡雪の窓に見舞うやチョコレート
淡雪やしめやかに通夜通り過ぎ
あはゆきやこひにこがれてとくるこひ
淡雪へふわふわ柔き誉め言葉
淡雪の又霏々として夜学校
さざ波に落ちる定めの淡雪か
淡雪や支持率なんて支持しない
淡雪の規則正しきリズムかな
淡雪やひよいときりんの長い首
淡雪や街に落つるは速きもの
カフェの窓淡雪の舞ふ際に寄る
飄々と男の歩く牡丹雪
淡雪のホームベースに積もりけり
破らるる約束幾つたびら雪
標なく夢掴めずや淡雪跡
浅沓へ戯れ降りぬたびら雪
かざはなというには重し牡丹雪
淡雪やオープン戦のホームラン
淡雪や初めて友が来る八重洲
淡雪の消えない距離に住む姑
淡雪をあたためてゐる百光年
淡雪やお手玉の影交差して
淡雪の中を生コン打ちにけり
淡雪や後姿の美しく
淡雪や足跡あらぬ明日がある
淡雪や首にあてがう缶コーヒー
淡雪や靴箱にまだ軍靴無く
淡雪やほろんと溶くる砂糖菓子
爪見せむ淡雪手の甲に乗せて
淡雪や体温計の遅れ来る
淡雪や変わる一瞬赤信号
シネマ座を出て淡雪の夜と知る
淡雪のかろきに負けぬ諧謔を
淡雪の海鼠壁にぞ吸い込まれ
淡雪やドールハウスに鍵の穴
淡雪に花盗人の足の後
淡雪や手押し車の舵を取る
淡雪を踏む軍靴の底の色
淡雪の野犬の背につもり消ゆ
淡雪の玲瓏、嘘に似て淋し
淡雪やひかり極めて消えゆけり
淡雪は人の形をとどめつつ
淡雪の遠き地表に達せざる
淡雪やgifで共有される推し
淡雪や二浪の息子家業継ぐ
淡雪や野犬の家族小躍りす
淡雪の古書街早き灯の入りし
淡雪や覆いて欲しき黒歴史
あわ雪のサハラへふわり地球儀や
淡雪の光纏いて透けにけり
淡雪や成仏は蒸発に似て
淡雪や来世も娶る今の妻
美しき淡雪汚す子どもかな
淡雪は二・二六を見ていたか
欄干の淡雪消ゆる川面かな
色のなき街並み染める春の雪
淡雪や逆再生の歌舞伎町
淡雪の積もることあり裏小路
淡雪やウルトラライトダウンにも
淡雪と遊ぶに足らぬ自由かな
淡雪やけふ二人目の駅ピアノ
淡雪を仰ぎてふたり口遊む
淡雪のおのれを夢と知ってをり
売られゆく馬の眸にぼたん雪
淡雪のきもちになつてみろ、と言ふ
淡雪のまだらに濡らす石畳
淡雪にスマートフォンをかざしける
塗り盆に受けて淡雪見届ける
はなびらのやうな淡雪降りはじむ
淡雪や窓辺に寄せる車椅子
淡雪や失恋受けるサンバ隊
淡雪や虚空睨める仁王像
淡雪や雲の切れ端として土に
淡雪のさはるとなしに眠り馬
淡雪や産まれる赤子散る命
淡雪とあなたとわたし伊豆の宿
淡雪や扇模様の石畳
淡雪のつくばいに鳥きりもなく
淡雪や儚く消える人の夢
淡雪や物足りないか子供たち
淡雪やいっしゅんあまい避妊ピル
淡雪の鴉の声の湿りをり
淡雪や紅き唇ふれぬまま
淡雪や五秒届かぬシード権
淡雪や走るの止めて歩き出す
淡雪や等高線のうすみどり
淡雪や初雪にして名残雪
淡雪やふらりと入れない画廊
裏木戸をしづかに淡雪の閉じる
淡雪を斜に積みゆく一輪車
なにか忘れたき時に降る春の雪
淡雪が静かな朝をもたらしぬ
熱回収施設のけむり淡雪ふる
本読めば淡雪地蔵の家に降る
淡雪や孫の手のひら消えてゆく
弄ぶテディーベアと淡雪と
淡雪や空き瓶ひとつだけ青く
うたかたの落ちてはとける淡い雪
淡雪や庭の静寂を埋め尽くし
淡雪を払えば人類期の遺物
淡雪や帰り支度の漢たち
淡雪の溶けてレトロな喫茶店
淡雪の路は冷たき泥仕合
淡雪に鈍ら一茶苦笑う
淡雪や夜の芝生をわがものに
意識して淡雪掴む田の道に
淡雪の止みし庭の端竹箒
水音も立てず淡雪軒を落つ
淡雪やうつろひやすき人の縁
星影に撃たれし淡雪がとどく
淡雪に名残惜しむや北信濃
淡雪や土見え始めたる安らぎよ
淡雪マレニジュウトクナフクハンノウ
淡雪や光焔の塔ゆらめける
淡雪よ生きた証を残しけり
淡雪や高嶺眺むる天守閣
淡雪や女性の多き群れである
淡雪やももいろのきそたいおんけい
淡雪や五時に目覚める老いの坂
淡雪や手折りくれたる花一輪
予報ほど降らぬ淡雪見たひかな
雪国の姉に淡雪ラインする
淡雪の肩身狭きや融け残り
淡雪やあと幾たびのランドセル
青空に淡雪しかと舞ひ上がる
あはゆきや硝子ケースの貝標本
淡雪や軈て本音の人事なり
淡雪や故郷の友の名を忘れ
淡雪や触れてはならぬ離婚劇
淡雪の柔らかさほど愛されず
路地灯消ゆる淡雪追ひにけり
湯治場に淡雪夕餉は猪
コンタクトレンズ淡雪見極める
淡雪や空薬莢踏むコウノトリ
転がつてゐました生身、淡雪が
嘴や淡雪挟み泣く鴉
淡雪や生き死にに順番は無し
