きんようブログ 社員エッセイを掲載。あの記事の裏話も読めるかも!?

兼題「夏布団」__金曜俳句への投句一覧
(5月30日号掲載=4月30日締切)

夏布団とは、夏用の掛け布団です。色や柄があっさりしているものが多いですよね。

さて、どんな句が寄せられたでしょうか。

選句結果と選評は『週刊金曜日』2025年5月30日号に掲載します。

どうぞ、選句をお楽しみ下さり、櫂未知子さんの選と比べてみてください。
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※差別を助長するなどの問題がある表現は、この「投句一覧」から省きます。
※上記以外で投句した句が掲載されていない場合は、編集部(伊田)までご連絡ください。

【夏布団】
夏布団蹴散らす孫の大欠伸
雨音を束ねて夏布団のなか
本の中栞は眠る夏布団
夏布団延れば刹那風に浮く
夏布団ひつじ数ふる暇なく
夏蒲団蹴とばしながら子は育つ
高原にぐつすり眠る夏布団
根の国へ背負つて行きたき夏布団
授乳の吾子の抱きつく夏布団
祖母と母の思ひ出たぐる夏布団
午後二時の情事の香り夏布団
夏布団抱かへ老いの夢見かな
君を抱く肌をすべりし夏布団
夏布団に溺れたままの夏だった
アリューシャン列島はるか夏布団
夏布団風のにほひやつれて来ひ
夏布団年相応の週末婚
夏布団中途半端に寝入る闇
そっけなく畳まれ父の夏布団
黒き足重なり合ひて夏蒲団
日の当たり物干し竿に夏布団
ホステルのタオルケットが夏布団
夏布団掛ければ夏の夢を見る
夏布団の軽さたよりなき夜明
答案は赤点朝の夏布団
夏布団二揃ひコインパーキング
蹴ることが得意な彼の夏布団
故郷や親子三人夏布団
姫路の姉と取りあつたはず夏布団
足蹴つて行方を探す夏蒲団
夏布団初め腹掛け終に足
窓開けし夜の暗さや夏蒲団
書物よりうすき夏掛書物読む
夏蒲団軽きに泣きて何処へやら
目覚めるとなぜか消えてる夏布団
夏布団掛けてティンカーベルと行く
夏布団蹴って記憶がこぼれ出す
夏布団君いない分広くなり
夏布団どしんと偉さうな踵
右耳のピアス外して夏布団
淫らなるゆめの残滓や夏布団
駝鳥に乗る夢暴るる夏布団
君ととも星を見上げた夏布団
蹴飛ばしてわんぱく眠る夏布団
山姥の宿かも重き夏衾
泣きながら抱きしめた夏布団
引き寄せて抱いて蹴飛ばし夏蒲団
足癖のもとより悪し夏布団
夏布団戻したいかもふかふかに
夏蒲団あるかなきかの軽さかな
タオルケットをかぶる午後八時半
臑出して睡るをんなや夏布団
蹴りあげて淋しきあうら夏衾
夏布団添い寝の犬が絡みつく
夏布団畳収納より出でぬ
夏布団寮の部屋には大きすぎ
川の字のけふも乱れて夏蒲団
音盤の針飛びのごと夏布団
夕間暮れ風の寒さや夏布団
あらがはず胸に抱きし夏布団
文明の利器が追いやる夏布団
夏布団掛けて蹴とばし又掛ける
夏布団はらりと美しく寝まりたり
我が娘夏布団の中から出(いで)た
水音のほどなく夢に夏布団
夏掛けの規則正しき動きかな
夏布団軽きに夢は遠き地へ
妻のとは似て非なりけり夏布団
快晴や学生寮の夏布団
四本の足が出ている夏布団
おひさまの匂ひを吸ひし夏布団
夏布団タツノオトシゴ抱いて寝る
窓開けて取り替えている夏布団
夏布団軽んじらるる中間子
夏布団田山花袋のマネをして
悪夢より快眠願う夏布団
ほろ酔ひのごろ寝の腹に夏布団
夏布団声が聞こえぞ暑い暑い
ホヤホヤの赤児を包み夏布団
夏布団涙の記憶持ちにけり
夏掛や父のごとくに冷ややかに
幼子に掛けては捲れ夏蒲団
夏掛を引きずり寄せて二度寝かな
旅の宿数多夢みし夏布団
あをあをと風に煽られ夏布団
蹴飛ばして用をなさずや夏布団
蹴飛ばして足で戻して夏布団
鼾より軽き今夜の夏蒲団
夢はさめぎわ夏掛のうすみどり
騒めきを鎮める重さ夏蒲団
うたた寝の子どもにそっと夏布団
目覚むればあるかなきかの夏布団
夏布団大の漢に頼りなき
旅の夜の音絶えにけり夏布団
嫁入りの麻夏布団孫にかけ
毎年の嫌ひな柄の夏布団
日に干して疎まれ蹴らる夏布団
息苦しい夏君との羽毛布団が
肘曲げて重ねて夏布団のなか
百歳の嫗今年も夏蒲団
夏布団のなかで育てた嘘がある
液状となりてわたしと夏布団
夏掛けのいつもかすかに濡れてをり
憂いさえ夏布団の中夜せみの声
目覚むれば足蹴のままの夏布団
夏蒲団二枚重ねの夜明けかな
包装を外して触るる夏布団
夏布団不安と不信抱きしめる
終業のチャイム遥けし夏布団
子と潜る寒色系の夏布団
長男も長女も蹴りし夏布団
病みてより胸にずしりと夏蒲団
糊きいて他人行儀な夏布団
冷えの子のくるまりいねる夏布団
夏布団防虫剤の香り乗せ
丁寧に干す客用の夏布団
山荘の雑魚寝は軽き夏蒲団
カバー替え腰痛治れ夏布団
至るところが血の垢まみれ夏布団
ヌードルの蓋夏布団乱れたり
奥座敷法事の客や夏布団
青海波母が泊りの夏布団
夏掛けの物干し台に翻る
夏布団三日坊主が眠ってる
濃ひときをうすくうすくせよ夏布団
すきとほるやうに掛けらる夏布団
掛ける子の無くてみづいろ夏布団
すねる児の鎧となりし夏布団
夏布団浅き眠りに差す朝日
まどろみぬ妻子まじれる夏布団
夏蒲団すぐ寝る奴の大鼾
頼りなきほどの軽さや夏布団
夏布団いまだ暁を覚えず
夏布団けとばし眠り夏風邪に
夏布団出して仕舞ってまた出して
夏布団すぐ消ゆ夢の軽さかな
入院の近江育ちは夏ちぢみ布団
夏布団蹴たくられ冷たき隅へ
矢絣を仕立て直して夏布団
住み慣れた家とお別れ夏布団
夏布団子たちの寝相自由形
夏布団遠嶺の襞に似たるかな
夏布団兄貴の家の居候
元号を三つまたいで夏布団
夏布団気軽に踏んで食卓へ
夏布団吾子達遊ぶかくれんぼ
夏布団からうじてある腹の上
払暁の足で引き寄す夏布団
夏布団で起きぬあの子の夢を見た
夏掛や近江の麻の藍淡し
夏布団蹴っても声は届かない
夏布団反芻思考鳴りやまず
夏布団毛布コースの洗濯機
掛け直し掛け直しせる夏布団
掛け直し寝返りをうつ夏蒲団
寝る前にお互ひの名を夏布団
森の夢出て木の家に夏布団
そのうちにいやでもあつち夏布団
溜め息が聞こえてきてる夏布団
夏布団初日のからだ丸めをり
大胆な鳥の絵柄の夏布団
父のごとさらりと掛かる夏布団
夏蒲団一回転の子の寝相
明け方の音を聴き入る夏布団
夏蒲団股に挟むか蹴飛ばすか
夏布団はねのけ悪態の長女
ぺちゃんこな夏布団の上駆け回る
あごひげに白髪一本夏布団
あおき空あおき海ゆけ夏布団
夏布団熟睡前の読書かな
道場の隅に積まれし夏布団
魚の絵夏布団へ猫跳びこめり
山の気を少し含みし夏布団
夏掛の隙間へ逃がす今日の悔い
乗り合す町営バスの夏布団
夏布団少し目覚めが早くなり
夏掛の綱渡りより落つる夢
夏布団手足は出して夢に入る
ふんわりと寝息の子等に夏布団
夏布団小犬も腹を出したまま
その薄さ骨も浮き立つ夏蒲団
スーツ着たまま突つ込みぬ夏布団
早朝のいささか寒し夏布団
頼りなき軽さと薄さ夏蒲団
まなうらに聞くせせらぎや夏布団
荘厳な夏布団になる真の夜
星空を進むヨットや夏布団
卒寿なる母に調へ夏蒲団
夏蒲団重しと託つ病む子なり
幾度も掛け直したる夏布団
夏布団母の手触り思い出す
夏布団仮眠のつもりが熟睡し
かきいだくサボンの香り夏布団
軽々と風を吸い込む夏布団
死と乙女シューベルトの床圧す夏蒲団
夏布団瓦礫の街にひとりゐた
夏布団あのひとと別れた夜の甦る
古民家の色あせてゐる夏布団
夏布団男やもめの干しにけり
ぺらぺらで軽くて重き夏布団
夏布団母の匂ひを残しけり
夏掛や母の寝言の国訛り
夏布団張りつく父の浮く肋
山小屋の田舎色した夏布団
あやふやなまま今日からは夏掛けに
こころよく眠る幸せ夏布団
金属を日がな削って夏布団
夏布団私はガーゼ朝ぼらけ
あの人の匂ひの残り夏布団
夏布団かけてもすぐにキックかな
クォーテーションマーク夏布団が軽い
坊泊りじわりと重き夏布団
夏布団の足元にあり午前四時
今は亡き母の仕立てし麻布団
病む母の麻の葉柄の夏布団
しこうして愛より軽き夏布団
腹だ掛け掛けよ母言ふ夏布団
夏布団つるり右足なでられて
離れても家族そろえば夏布団
膨らみに友の見分くる夏蒲團
手術後の傷にも優し夏蒲団
祖母の家の闇の深さや夏蒲団

【不明】
鯨の尾島に伝わる銛尖り
春議会お尻むずむず傍聴席