兼題「薄暑」__金曜俳句への投句一覧
(5月29日号掲載=4月30日締切)
2026年5月27日9:17AM|カテゴリー:堀田季何の金曜俳句|admin
初夏でも好天の日は暑く、汗ばみますよね。日差しもまぶしくなります。他の時候の季語との詠みわけが難しい季語でもあります。
さて、どんな句が寄せられたでしょうか。
選句結果と選評は『週刊金曜日』2026年5月29日号に掲載します。
どうぞ、選句をお楽しみ下さり、堀田季何さんの選と比べてみてください。
amazonなどネット書店でも購入できるようになりました。
予約もできます。「週刊金曜日」で検索してください。
※差別を助長するなどの問題がある表現は、この「投句一覧」から省きます。
※上記以外で投句した句が掲載されていない場合は、編集部(伊田)までご連絡ください。
【薄暑】
ポピュリズムはびこる世界薄暑かな
白浪の汀ゆきたり薄暑光
通院のいつもの道の薄暑かな
チエアリングドラミング降る夕薄暑
副業が本業になる日の薄暑
胸元へ下敷きの風薄暑かな
ミサイルの配備の街の薄暑かな
薄暑なりニンニクマシの列に立つ
薄暑だな暑くも寒くもないさまだ
形良きオムレツうまし薄暑の夜
薄暑風冷やしうどんの欲しい夜
夕薄暑ペデストリアンデッキいはゆる歩道橋
刈り上げてプードル細き薄暑かな
旧道のシャッター通り薄暑かな
薄暑光青磁の皿にとんぼ玉
傍線の延長にゐる薄暑かな
一皮を剥けど坂道薄暑かな
井戸水に土の香かすか夕薄暑
総帆展帆始まり薄暑かな
豆腐屋の声露地をゆく夕薄暑
玻璃瓶をはたく薄暑の花屋かな
どこまでも歩いてみたき道薄暑
薄暑の日北山杉の枝打ちす
薄暑光ここもセールスお断り
腰痛の身にはちょうどの薄暑かな
窓越しにミット打つ音薄暑かな
白亜紀の風を孕める薄暑かな
踏み切りのひかり薄暑の本籍地
クロワッサンいま焼き上がる街薄暑
同僚の意の尚読めぬ薄暑かな
夕星や薄暑のコインランドリー
みだれ髪額にはりつく薄暑かな
ウスユキソウ見初めし島の薄暑かな
薄暑光坂のうへなる待つひとよ
薄暑きて一人の朝をなんとなく
ぴたぴたの服透けている人薄暑
「千べろ」で杯を重ねて夕薄暑
母はまだ薄暑の中を彷徨へり
薄暑来る倹約強いる政府あり
ページごと薄暑に染まり閉じられず
まめの手の素振り千回夕薄暑
薄暑なり八時間寝て覚める朝
タスキからステロイドのやうな薄暑
薄暑ゆゑ地球に抱かれたる女
若かりし汗も涙も薄暑かな
音消えて牌立ち並ぶ薄暑かな
まどろめる妻のうなじの薄暑かな
補聴器のイヤフォンはずす夕薄暑
だらだら坂のぼりて港の薄暑光
寺薄暑曼荼羅眺むぼんやりと
日が当たり顔が眩しい薄暑光
交替で撮るや薄暑のアビーロード
すれちがふ妻他人めく薄暑かな
桟橋に銅鑼の音響く薄暑かな
薄暑光ドラムメジャーの山高帽
サラサラと薄暑のブラウス戯れる
惜別の傘列をなす薄暑かな
薄暑からすぐに猛暑になる時代
薄暑行く我に補助水与へられ
うどん出汁少し濃ひ目の薄暑かな
薄暑かな聴診器だけ首飾り
削る骨麻酔の下の薄暑かな
ナツメ球薄暑の島に一人旅
宮薄暑泣けば拍手や泣き相撲
仕事おし今日は薄暮の散歩道
薄暑光降るやイマジン巻き戻す
葬送の果て四辻にある薄暑
浅草の薄暑の夜をはしごする
色褪せし超合金のゐる薄暑
ガード抜け東口にも夕薄暑
坂の上きらきらと風薄暑たり
低くとも吾子と山頂薄暑光
糠床のぬるみ増したる薄暑かな
背中へとパンサマストを受く薄暮
薄暑とはVtuberの華やげる
目医者だらけの町をさまよふ薄暑
飄々と水を飲んでる薄暑かな
焼きプリン薄暑に負けぬ艶旨し
街路とて木の香むせそむ薄暑かな
朝練のドリブルかろき薄暑かな
薄暑往く午後のバス客吾れ一人
薄暑光埃は沈むやうに舞ふ
エスペラントの母音のやうな薄暑かな
湖北にも薄暑の日あり余呉の湖
薄暑なりスウィングジャズの三連符
通学帽振って下校の子ら薄暑
伏せて売る素焼の鉢の薄暑かな
ショルダーの肩にくひ込む薄暮かな
Tシャツでハクションくしゃみ薄暑かな
もう薄暮もう朝焼けの高齢者
絵本ばかり借りれば父となる薄暑
薄暑来て申し送りは恋話
鳩時計こゑ膨らめる薄暑光
赤き目を自覚させられ薄暑かな
マーチングバンド薄暑をらしくする
薄暑なり帽子を脱いで風のおと
老木の洞に薄暑を拝みつつ
人の足規則正しき薄暑かな
いつぱしの肉刺弄ぶ旅薄暑
地下鉄の八番出口薄暑かな
週三日勤務になって薄暮知る
旅券待つ役所の椅子の薄暑かな
島影の縮みてゆけり薄暑かな
決めかねて薄暑の影のゆらぎけり
思い出す暇もない日々薄暑かな
きぬぎぬは繃帯のいろ路地薄暑
湧水を汲むや快晴薄暑光
リハビリのテニスをかるく打つ薄暑
セロの音のあかねを帯びし薄暑かな
薄暑光これは隣家の酢豚の香
鉋のみ仮子のこぎり持つ薄暑
白き肌ベッドの上で薄暑覚える
基地というブラックホール夕薄暑
心地よく家事を熟して夕薄暑
断捨離の済みて薄暑の服はなし
川沿ひのバス停白し薄暑光
退院や薄暑の街は真白なる
キャンパスの芝生に母と子と薄暑
パラパラと髪の毛落ちる薄暑かな
ジャクソンのムーンウォーク薄暑かな
薄暑来る朝晩来る寒暖差
看板の蟹動き出す薄暑かな
夕薄暑バンクシーまだ瞼裏に
開演を待つ遠巻きの夕薄暑
薄暑来て空の青さが憎しけり
薄暑なる地名地形の変わりし地
薄暑さて白物家電運ばれ来
昼飲みの居酒屋にある薄暑かな
バス停に楽器ケースの群れ薄暑
薄暮来てこれより始む野外劇
その辺に猫が落ちてる薄暑なり
薄暑来て薊の濃きに雨の降る
退任の花も枯れたる薄暑かな
みどりごのすつくと立ちあがる薄暑
校庭を薄暑黒々埋め尽くす
盆笊にハーブ広げて薄暑かな
うしろ自転車のベル街薄暑
職務質問受け止めてゐる薄暑
トロ箱の匂ふ薄暑の路地の裏
薄暑意味知らぬ子笑顔残しゆく
人混みを逃げ出している街薄暑
夕薄暑耳まで真つ赤なる科白
ナンバーの数字足す子らゐて薄暑
AIの面接受ける薄暑かな
街薄暑クロワッサンに耳ふたつ
泡吐きて鯉動かざる池薄暑
先生の彼女のはなし薄暑光
薄暑にははや鳥どものやかましき
早朝のウォーキングの薄暑かな
真っ直ぐな線路と進む薄暑光
市場通笑の墓見つけをる薄暑かな
みづいろを太き刷毛もて引く薄暑
ハンマーで石を割りたる薄暑かな
自販機の水求む夜(よる)薄暑かな
校庭の空に飛行機薄暑かな
板の間に伸びる切る猫の薄暑かな
煙突はビール工場薄暑なり
単線を一両のゆく薄暑光
テーブルの眼鏡へ薄暮通り抜け
猥雑な電線薄暑の青空
ジャム壜のジャムの透け方見る薄暑
通勤の吊革踊る薄暑かな
死を語る軽き口元薄暑かな
帆の大きボトルシップの影薄暑
行列のじわりじわりと伸び薄暑
きつく塩効かせ薄暑のにぎり飯
薄暑光とけゆく鉢の影に触れ
五角えんぴつ青より使ふ島薄暑
彫刻の森を統べたる薄暑かな
新刊の匂ひに噎せる書肆薄暑
缺盆の影うつくしき薄暑かな
薄暑中五十里先へ遺失物
友逝きて薄暑の街の音白し
薄紅のネイルを翳す空薄暑
モニターの臓腑蠕く薄暑かな
はや薄暮民意通らぬ狭水路
置忘れし傘追うて来る薄暑かな
今日もまた日の光受けし薄暑けり
Tシャツが薄暑呑み込む日曜日
湯上がりの昭和の匂ふ薄暑かな
首筋より薄暑の来たる神保町
プレハブの校舎そろそろ薄暑かな
八分袖二分ほど捲る薄暑かな
花婿を三人称で呼ぶ薄暑
薄暑来ぬシャツ一列に干したれば
牛の尾の時折揺るる薄暑かな
薄暑来るテレフォンカード吐き出して
水差しのやうな眠気や薄暑光
曲がり角薄暑の風が背中押す
選挙敗け薄暑のころに立ち直り
腕の毛の湿度薄暑に濃ゆくなる
あをあをと薄暑や悪友の蹠
一撃に仕留めたりける薄暑かな
もう薄暑政治感度をチョイ上げよ
ひとつずつ文字溶かしゆく薄暑かな
デモ隊は粛々歩む薄暑かな
永らへるなども薄暑の水の色
出土せる薄暑の土偶しやべりさう
ブーケトス脇下押さえ薄暑かな
新卒のつのだしやりだし薄暑かな
旧姓を不意に呼ばれる薄暑かな
帰り待つ愛犬の声夕薄暑
鳩胸のスワンボートに乗る薄暑
ランドセル並んで歩く薄暑光
鉄棒に男まだゐる夕薄暑
笑いながら貶し合う友薄暑かな
薄暑かな子に着せるシヤツなんとする
雨上がり手提げの重き薄暑かな
ハシビロコウも吾(あ)も動かざる夕薄暑
キラッキラ川が流し目する薄暑
腕まくりして大工来る薄暑かな
風の量少なく感じて薄暑光
側溝の子猫居眠りする薄暑
北の旅気持ちの逸る薄暑かな
パラシュートのごときスカート街薄暑
薄暑光ヘリコプターの叩く空
安否ナビシステムエラーする薄暑
温暖化薄暑彼方に遠ざかる
錆臭き鉄棒握る薄暑かな
マイ・ベスト・自販機の角夕薄暑
風の色杖と散歩の薄暑かな
ちやんばらの映画を観終へ夕薄暑
薄暑めく鯉はかわらずアメンボつつー
校庭の子のこゑ高き薄暑かな
庭園をゆつくり歩く薄暑かな
葬列や幼き遺影薄暑光
貨物船の影引かれゆく薄暑光
吞み会のツマミあまりし薄暑かな
背伸びする薄暑支える我れのまま
古手紙読み返してる薄暑光
薄暑なり上司がAIでいいのかな
物干にステテコ揺れる薄暑かな
薄暑かないつもの塀のさくら猫
タラップの吾を包むや薄暑光
薄暑の地蔵よだれ掛け脱ぎにけり
且つ結び且つ消ゆる泡薄暑光
テーブルが街路に並ぶ薄暑かな
マンホール裏見えてゐる薄暑かな
シャツの糊効いてぺりりと薄暑かな
ひとときの薄暮を眺む船首像
久しぶり今日は薄暮に外出す
さび猫のやんのかステップ町薄暑
川風や薄暑の宵に涼求め
草いきれはじめの一歩薄暑かな
朝一番眉整ふる薄暑かな
社会人の自覚芽生える薄暑かな
薄暑光ベークライトの万華鏡
弟の生まれし姉の薄暑かな
薄暑の露天抱え切れぬは羊蹄山
まだ慣れぬ駅に降り立つ薄暑かな
強面ときめく薄暑大型犬
汗にじむ眼差し硬し薄暑かな
人と犬外出好む薄暑かな
生臭き泥濘(ぬか)るぬた場の薄暑かな
縄文の調査薄暑の北の島
芝居跳ね薄暑の銀座遅ランチ
薄暑のチョコに折れ曲がる自由あり
電車にも慣れて漂ふ薄暑かも
身の内の水にさざ波立つ薄暑
汗におう日光浴びる薄暑光
薄暮から何かをもらう日曜日
囁くがごとく桑喰む音薄暑
パソコンのマウスのぬくき薄暑かな
遮断機に二秒届かぬ薄暑来る
白靴下薄暑の坂を駆け上る
反戦か好戦か問う薄暑かな
連休をみじん切りかな薄暑の日
社会的距離守りたき薄暑かな
青ランプ灯る薄暑のテザリング
行列の閉店セール薄暑の灯
銀髪の耳に巻貝薄暑光
メタリックなビル薄暑の百光
野外音楽堂五十年薄暑
バイアスの視線感じる薄暑かな
カーナビになき橋渡る夕薄暑
壁に用紙(かみ)押し当てサイン薄暑光
軽暖の道闊歩するフリーター
東北道渋滞5キロ薄暑なほ
薄暑なり辛きカレーのランチとす
吊革にをんなが匂ふ薄暑かな
打ち込むやパソコンの熱薄暑かな
薄暑星やホルムズの風止みて
細き身の雀啄む薄暑光
人間の変態間近なる薄暑
薄暑光満船飾の日本丸
聖地てふロケ地を巡る薄暑光
雨の輪の重なり初むる夕薄暑
薄暑来た気持ちの逸る北の旅
新色のルージュ耀ふ薄暑かな
威勢良き鮨屋の店主薄暑かな
夕薄暑龍の水吐く手水かな
虫さんがスキップしだす薄暑かな
大橋をいくつもくぐる薄暑かな
薄暑光少女北欧より来る
薄暑光照る照る坊主逆さにす
華厳上明智平の薄暑かな
大垣を歩く大垣薄暑かな
包丁の刃文に触るる薄暑かな
ばち音のかすかに流る薄暑の夜
点滴のきらりきらりと夕薄暑
引き継ぎの業務どこまで薄暑かな
先濡れて十を知る時薄暑かな
モッツェレラ湯で練り伸ばす夕薄暑
跳ね上がるポニーテールの薄暑かな
薄暑さえ許してくれぬ征野かな
肚へこませジーンズを穿く薄暑かな
薄暑光五百羅漢の朽ちし鼻
事実婚法律婚とか薄暑きて
手のひらの電話長引く夕薄暑
書き置きに箸置きを載せ夕薄暑
蛙の恋そろそろ終わりか薄暑なり
目が眩し光のきつし薄暑だな
伍圓玉磨く子どもの薄暑かな
この薄暑催眠術にかかりそう
横縞が街で目につく薄暑かな
かつ丼は売り切れ薄暑の真昼
映画出て道路まぶしき街薄暑
汗光る日の照りきつく薄暑かな
薄暑なりこの東京に糞いくつ
地下鉄の深きホームへゆく薄暑
開門まであと三十分薄暑
心地良い風が運んで薄暑光
虚無僧の尺八掠れ切る薄暑
森歩き薄暑満喫ツアーかな
日に透けるリンゲル輸液夕薄暑
薄暑風や隣町より野菜一つ
売り出しの列の進まぬ薄暑かな
自転車をきゆきゆきゆと止めて薄暑光
引力は引き合ふ孤独薄暑光
鰹揚がる港満つる薄暑かな
薄暑や夢見た乙女突き落とし
街薄暑大音響のクラクション
水滴のガザ映しをり薄暑かな
街路樹の鈴懸(すずかけ)に寄る薄暑かな
スマホ手に静かなる稚児薄暑かな
髪切って身の軽くなる薄暑かな
少しづつ薄着となりて街薄暑
初孫のこくりと寝る薄暑かな
病床に風を欲っする薄暑かな
病床にコップ一杯薄暑かな薄暑
