兼題「公魚(わかさぎ)」__金曜俳句への投句一覧
(2月27日号掲載=2025年1月31日締切)
2026年2月20日9:28AM|カテゴリー:堀田季何の金曜俳句|admin
公魚は、サケ目キュウリウオ科の魚です。江戸時代に霞ヶ浦さんのものが将軍家に献上されて以来、この字を当てるようになりました。
さて、どんな句が寄せられたでしょうか。
選句結果と選評は『週刊金曜日』2026年2月27日号に掲載します。
どうぞ、選句をお楽しみ下さり、堀田季何さんの選と比べてみてください。
amazonなどネット書店でも購入できるようになりました。
予約もできます。「週刊金曜日」で検索してください。
※差別を助長するなどの問題がある表現は、この「投句一覧」から省きます。
※上記以外で投句した句が掲載されていない場合は、編集部(伊田)までご連絡ください。
【公魚】
公魚の黒塗りまなこ網を落つ
公魚の湖色を揚ぐる匂ひかな
公魚の目にオーロラの光かな
結氷の公魚釣りに選挙カー
公魚と酒いささかの桃源郷
朱のテント透け公魚の穴の紺
好物や公魚頭から食ふ幼
釣糸垂れ公魚しづかに潜りたる
公魚や氷穴くぐり銀世界
公魚釣りのテント残して湖暮れる
公魚や父と二人の坊主なり
公魚の口から垂るる衣かな
桜魚ひらたい顔で食ふてゐる
公魚釣銀盤烈火ばあべきう
公魚の串刺し喰らひ手酌酒
猪苗代湖公魚を食べる幸せよ
湖に曳く公魚釣の橇の音
公魚の末期の瞳逆富士
公魚は竿に任せて目は筑波
油沸くたった三尾の公魚に
公魚や天の孔より糸の来る
乾坤一擲公魚の糸垂る
公魚を釣る者どちの無謬かな
公魚の科つくるごと暴れけり
公魚の跳ねたる二匹霊仙寺
陰謀論釣られて喜ぶ公魚
公魚の姿は遠きあの頃に
公魚のさみしさすぐに移りたり
公魚の淡きいろくづ密やかに
公魚の釣れぬ釣れぬやつれなきよ
「公魚」の貼り紙に寄る佃島
公魚を釣って結局釣っただけ
公魚や尻餅つきて笑われて
公魚の釣るる穴より観る地獄
トリックの穴を公魚待つあひだ
公魚よ氷穴より宙釣り出され
深閑と公魚釣りの湖と山
思つた以上に骨太な公魚
公魚に透けるものなら吾にも有れ
公魚釣る水の瞬き見逃さず
ひとりには余す公魚買ひにけり
公魚の手応へらしきものすこし
公魚を自分の慈悲で清めたい
公魚に忍耐心を鍛へらる
美濃焼に公魚天の泳ぎけり
公魚の姿が見える夜の川
公魚や釣られし事を自覚せず
精進湖や仕掛けは公魚釣り用に
公魚の背筋伸ばして釣られけり
公魚を釣る親と子に茜空
公魚の佃煮作る母の背ナ
わかさぎの美しきまま薨れり
湖の底の色差す桜魚
公魚を天麩羅にする湯気白し
足下を掬はるるかな公魚は
公魚来座敷童子の分も有る
公魚や小さくひかる脂鰭
公魚の当たり勝負は一瞬に
やはらかにまたしたたかに公魚の目
公魚の水が溢るる湖畔かな
巨人めくしぐさ公魚手繰るとき
青鷺の夢見てをらむ公魚は
へその緒をたぐるがごとく公魚つる
公魚を野良猫が食べる亘理駅
公魚の手品のごとく上がりくる
公魚の小さきを放つなじみ客
この道が公魚釣りの神道に
友よりの公魚揚げるにしのびなく
薄氷公魚の魚籠点々と
公魚や霞ヶ浦の白き波
初心者として公魚を釣る真顔
公魚や夕焼湖面と人に映へ
つぎつぎと公魚釣れてはなやげり
公魚よお前は春が嬉しいか
アディショナルタイム公魚もうをらぬ
公魚を釣りつつカップラーメン食ふ
公魚の命の尽きて糸の先
地図読めぬ妻公魚に聞けば良い
公魚や隣の穴のよく見えて
公魚の他はねぶりて食ひつかぬ
公魚を私流に調理せよ
公魚の腹は日向の色見せて
公魚や人はまばらの沼の上に
公魚の幸せさうな貌ぱくり
詫びるなら公魚洗ふ手を止めむ
公魚の透き通る身に湖(うみ)のいろ
公魚の短き春を掴みたり
公魚のみづうみ冥し空丸し
水出でて空気に凍てぬ公魚は
公魚の氷も薄くなりに鳧
公魚の素揚の香り空の青
公魚の微熱や昼の月ほどの
公魚釣吐く息白く集まる椅子
公魚や行方不明の兄を釣る
公魚の糸に応へし湖の色
フライヤーの底で泳ぎぬ雀魚
公魚を焼いたらできた肋骨雲
公魚やフランク・ロイド・ライトふと
公魚の青き光の笊に満つ
公魚や風の答への響き合ひ
公魚の一族郎党煌めける
公魚のやがて西陽に煌めけり
公魚に氷の下の青さかな
公魚や俺は好かれてないのだろう
公魚のあはれやうすうすと命
公魚釣りときをり仰ぐ古戦場
公魚のはじめましてといふ光
公魚の躍るいのちに陽がきらり
いざ参る白き丘なる公魚へ
公魚をもらひてかるく食べにけり
堰堤を上る公魚逞しき
齢(とし)の数ほど公魚の釣れにけり
公魚の釣られてしまふ一悲劇
公魚の穴釣り惹かれ急ぐ道
桟橋の縁に公魚釣天狗
公魚や十万文字じや百グラム
公魚の眼の奥にある氷湖かな
漁師宿公魚づくしの地酒かな
公魚の釣れども尽きぬ湖豊穣
公魚や海の真ん中星の城
公魚を釣り上げ銀河系の端
公魚の釣りに女性の常連も
雪姫の七人ならび公魚釣り
公魚や氷の空に光あり
公魚の眼に凍つる空のあり
公魚の尾やマントルを向いてをり
公魚の小さき姿を逃がしけり
公魚や裏磐梯の風の音
公魚の箸より太きからだかな
ロードショー公魚百匹釣れるだろう
掌に受けて公魚の命透きとほる
公魚の受け口愛を溢しけり
憂鬱の目が公魚を眼から食ふ
公魚の僅かな魚信たぐり寄す
暗穴に公魚といふ流星群
公魚釣りし阿寒湖に茜差す
掌から消えみづかね臭き桜魚
公魚や子供の頃の大はしゃぎ
公魚やキュウリウオ科といふ匂ひ
岩洞湖気配匂わす公魚かな。
一荷釣りさるる公魚なる悲恋
氷上や公魚釣る灯またたきて
犍陀多の糸手繰寄せ公魚を
公魚漁湖面を滑る帆曳き船
公魚をたらふく食べる定年後
傍らにじつと待つ子や公魚釣
わかさぎのひつきりなしに弾け飛ぶ
公魚を山懐が抱き居り
公魚や氷穴覗く父寡黙
懐かしきヘドロの湖やちか届く
AIに公魚のことまず聞いて
公魚や氷の穴を飛び出せり
公魚や竿の曲がりに胸躍る
しろがねの命頂く公魚釣
公魚の巨き黒目に日没りけり
公魚や水中に小波の色
公魚の釣られた形に凍てにけり
公魚をすべて並べて背比べ
公魚のおおこれは五匹の重さ
公魚の背は暮れなずむ空の色
わかさぎの跳ねて須臾の間輝けり
補助線が幾らでも見えて公魚
公魚や昨日の穴は閉じてをり
湖を引き上げてゐる桜魚
公魚の穴の狭きに日を了へし
一遍に揚げて公魚きゃらきゃらと
公魚に釣らるる夢の夢の夢
公魚や光を溜めて釣られたる
公魚の兒に嫌はれし半世紀
公魚を光の世界釣り上げる
公魚や帝国ホテル真ん前に
公魚や見え隠れして桜色
公魚の左目ばかり笊に照る
公魚の透けて湖面に眩しけり
公魚を釣るみな穴に閉ぢこもり
釣り上げし公魚のまま凍りけり
公魚を古針金のごとく積む
公魚の空を見ながら釣られ来る
公魚を釣り阿寒湖に並べけり
公魚の身を寄せ合える夕茜
パスキーはわかさぎ吾はパスワード
山上湖公魚穴を固く踏む
公魚の煮干し分け合う夫と猫
わかさぎの湖北の空の色したる
公魚を釣るひと消えて今しづか
公魚や威儀侵されて首都の贄
氷穴の如き喉へと公魚を
公魚をゆつくり毟る夫婦かな
公魚や水との境透き抜けて
公魚を湖の香と共に揚げにけり
公魚の跳ねし姿のままフライ
公魚の連釣り一二三沢山
公魚の氷穴竿上ぐと魚影
落書きし公魚釣りの正の文字
痛覚を持つ公魚や雨もよひ
公魚や穴へ銀針集う夜
ちりちりと公魚揚げて舌鼓
湖閉じし底公魚のきららかに
公魚の漬物送るポルトガル
公魚の糸は地軸に逆らわず
公魚や根気比べは君の勝ち
湖凪ぐ夕餉の膳に公魚煮
公魚を揚げて少しく酒を飲む
公魚の一つ揚りて山目覚む
並べられ瞳(まな)陽に灼かれ公魚の
銀盤に天麩羅の音公魚釣
「酒類持込厳禁」公魚舟
公魚や鯨南洋より来たる
甘露煮の公魚樽に同じ向き
公魚や網に焼かるる香のよろし
公魚の日だけ寒さは置いて行く
公魚の穴を風から守るかに
公魚の一匹なれど竿撓る
かしましき子らの手ほどき公魚づり
掌に跳ねて公魚春の雷鳴らす
龍神の慈愛の色や桜魚
公魚の公魚らしくならぬなり
公魚に溢るる光釣り上げる
公魚が外来魚とは知らなんだ
公魚を釣るやガラスの船底に
公魚を釣りて銀色鉛空
公魚のフライや腹の黄の細し
公魚のひらひらひらと釣られけり
公魚の苦味に慣れて杣暮し
公魚にジェット燃料臭のほの
さざ波は鱗に宿る公魚よ
ちさくみなおどろいたかおさくらうお
軽々と公魚吹かれ風の中
公魚の光る短冊労しく
公魚や人の開けたる穴を借り
自転車で巡る琵琶湖や公魚食ふ
水もなし公魚舟は休業中
公魚の一荷に撓ふ穂先かな
公魚で食あたりした山男
公魚を焼くトーストも焼く朝
桜魚語る背中の釣れ具合
公魚釣りあちらの穴が良い穴か
公魚の笑ひ止まらぬ当たり穴
公魚を余呉湖で釣り師は傘寿
公魚にひたすら思考忘れゐし
銀色と化して公魚回遊す
公魚の釣果散々湖笑ふ
入れ食ひの公魚釣の穴一つ
公魚のひかり瞬時に死となりぬ
空泳がむと桜魚釣られけり
公魚をテキトーに煮る母である
頭から食ふ美味の心得公魚煮
公魚の香の中にある幸よ
青空を薄く濁らせ桜魚
わかさぎの眼(まなこ)タイルぬめるシンク
そこにいてまだ空知らぬ公魚かな
食卓にこぼす日本酒桜魚
公魚や痩せたる猫の影法師
喉奥に公魚飼へる呼吸かな
呼吸器の管を公魚泳ぎけり
公魚の小骨のあたるフライかな
在りし日や公魚の東釣り狭山池
公魚の骨も遺骨もダムの底
金銀のひかり散らして桜魚
公魚漁灯ゆれる琵琶湖畔
公魚を釣り上げ空の眩しけり
煮られたる公魚お世辞云はぬ主義
釣りし手にふはりと軽き公魚よ
公魚の躍る姿のまま凍る
吾子の目や釣りし公魚凍てる様
公魚の大物過ぎし事故と聞き
公魚の衣極厚にて食葬
公魚やテントに籠るひとりかな
霊峰を逆さに横に公魚は
犍田多を救ふがごとく公魚を
一匹より二匹が軽し公魚釣
公魚や野郎ふたりの湖の宿(湖 うみ)
公魚をマッチで炙る愚か者
公魚やとじこめられてとじこもり
釣り上げし公魚跳ねる朝の光
