兼題「小鳥」__金曜俳句への投句一覧
(10月30日号掲載=9月30日締切)
2026年10月19日5:10PM|カテゴリー:堀田季何の金曜俳句|admin
俳句で「小鳥」といえば、秋に日本に飛来する小鳥や、留鳥でも山地から平野に下りてくる小鳥のことを指します。
さて、どんな句が寄せられたでしょうか。
選句結果と選評は『週刊金曜日』2026年10月30日号に掲載します。
どうぞ、選句をお楽しみ下さり、堀田季何さんの選と比べてみてください。
amazonなどネット書店でも購入できるようになりました。
予約もできます。「週刊金曜日」で検索してください。
※差別を助長するなどの問題がある表現は、この「投句一覧」から省きます。
※上記以外で投句した句が掲載されていない場合は、編集部(伊田)までご連絡ください。
【小鳥】
小鳥来る二本大樹のあつたころ
小鳥来る心の準備を今始め
小鳥行くあの空の果てひたすらに
小鳥鳴くあたためられて消える文字
小鳥来るレゾンデートルを求めて
鋏引く枝先すでに小鳥来る
独り居の庭に人来て小鳥来て
百本のリトマス試験秋小鳥来る
故郷に並ぶミサイル小鳥来る
小鳥たち美声を競う今朝の町
喜びに混じる寂しさ小鳥来る
蹲にしづむ黒石小鳥来る
フロントは荒武者ばかり小鳥かな
崖鼻にはじまる大空小鳥来る
園児いまおやつの時間小鳥来る
なゐの地に長き祈りや小鳥来る
大雨のあとに小鳥のヒステリー
小鳥来るゲーム機置いて外に出よ
海峡や星を頼りに小鳥来る
小鳥来て窓辺の朝のまだ淡し
小鳥来る街に異国の言葉交う
鶏に追はれて逃ぐる小鳥かな
関門を越ゆる小鳥の群れ低し
小鳥来て硯の海の暮色かな
小鳥など飼おうかなんて独り言
尻振るやおさんと呼ばる小鳥来る
庭先の赤い実見つけ小鳥来る
ガラパゴスより小鳥来て戸惑ひて
病窓に遊べる小鳥までの距離
小鳥屋の二階と言へど狭苦し
将軍はミサイル好きや小鳥来る
竹藪を一気に揺らし小鳥来る
目薬のまなこにぴたり小鳥来る
小鳥にも保険証書があり匂ふ
長旅のリュックを小鳥出迎えて
小鳥来てフェルメール見に行かざりき
小鳥湧く大樹は島の芯なせり
小島にも名前の知れぬ小鳥来る
保線員の短急汽笛小鳥来る
小鳥来る数多の「ヘ」の字野に町に
予約券あります小鳥来てくれます
あの世あるらしい方から小鳥来る
小鳥来る蹴りて開きし古箪笥
膝に鉢置いてうどんや小鳥来る
いつもより長く出る芯小鳥来る
小鳥とブロイラーと食物連鎖
小鳥来る見覚えのある女文字
小鳥来る手ぶらの旅に出てやらう
小鳥来る永住権てものは無く
小さくて健気に生きるシマエナガ
東京タワーなる解体新書小鳥来る
地上には空虚を抱き小鳥啼く
小鳥来て回覧板の板白し
お隣りの車庫のあたりに小鳥来る
鳴き交はす小鳥の群に礫撃つ
海峡を越えて長旅小鳥来る
小鳥らにいい気になつて命名し
石叩き二つ三つ振りで飛び立てり
小鳥来る寺にをのこの生まれしが
小鳥来るおめざの口のひらかざる
森を描く子との絵本に小鳥来る
歌うとき訛りの消える小鳥かな
貧乏なわが家を避けて小鳥来る
承認欲求ことりのまんなかの心音
戦跡や小鳥の墓碑の夥し
猫背なる人体模型小鳥くる
オンライン句会終えたり小鳥立ち
小鳥の眼突きて憲法破りをり
図書館となりし妾宅小鳥来る
籠にしか住めぬ小鳥にならぬよう
インコ飼ふ庭に小鳥の来たりけり
マタニティドレスを選れば小鳥来る
わたし、人前ではなきません。と、小鳥
小鳥来る今夜行くねのライン来る
戦争の値札ついばむ小鳥かな
小鳥来るトロッコ列車橋渡る
色鳥や少女艶ある内緒ごと
美術館設計どおり小鳥来る
小枝揺れ暫し小鳥の夕まぐれ
アディショナルタイム小鳥の大移動
小鳥らにAIの脅威知らされず
在宅に届かぬ荷物小鳥来る
手品係なぞなぞ係小鳥くる
色褪せた写真の未来小鳥来る
革命の広場にあそぶ小鳥かな
プレハブの学び舎となる小鳥来る
性別の別とは小鳥ひるがへる
職辞して妻無し子無し小鳥来る
母といふ少女の日々へ小鳥来る
砲台の角度ゆるやか小鳥くる
小鳥来る無職なれども仕事の夢
死後のことはなにも知らない小鳥来る
小鳥去りバス停に我ひとりきり
どうしても庭の小鳥と話したい
戦地より次の戦地へ小鳥くる
異文化のコミュニケーション小鳥来ぬ
ホッピーの泡ふつふつと小鳥来る
蒸発の空に小鳥の重さかな
レタス食む声はクルクル小鳥さん
小鳥来て左翼サヨナラホームラン
マンションのちひさき庭に小鳥来る
満員の塾のバスへと小鳥来る
小鳥飛ぶ鳥になりたき人ばかり
風さへも自由になりて小鳥来る
小鳥来る堤防の決壊地点
風に飛ぶ作りはじめの小鳥の巣
小鳥来る猫の瞳の丸くなる
小鳥来る声に寄りたき朝のカフェ
廃校に長き廊下や小鳥来る
椅子を足すシルバーテント小鳥来る
小鳥来る猛禽群れる彼方より
小鳥らの調教さるる鼻濁音
何人か四島からの小鳥たち
アザーンに目醒む洞窟小鳥群
小鳥来る時刻表には載らぬ駅
窓辺の小鳥声をなくしたベッドの母
ベランダに野生の小鳥死を拾ふ
これぞわが家に来て欲しき小鳥かな
小鳥来るシャッター音の浜離宮
天守へと続く石段小鳥来る
吟行のマドンナは古希小鳥来る
高野から追ひかけてくる小鳥かな
丁寧に眉を描く姉小鳥来る
百万回生きた小鳥の最後の死
使はれぬ公衆電話小鳥来る
はじめての歌会怖い小鳥来る
お互ひに負けじと競ふ小鳥かな
再会のふすま絵小鳥来てをりぬ
大陸の気団を連れて小鳥来る
証言する小鳥が聴いたことすべて
浄土より地獄を願ふ小鳥かな
小鳥来る一羽一羽に意中の木
小鳥来る一さじほどの介護食
ペイペイと花屋に響く小鳥かな
宿舎からいつか戸建てへ小鳥来る
小鳥来る瓦礫にFREEGAZAの文字
朝まだき雨を払へる小鳥かな
枕辺に鐘の鳴る丘小鳥来る
小鳥らがすーっと降りて舞う校舎
小鳥らは濡れし翼の艶も知らず
タイヤみな浮きたる重機小鳥来る
廃坑や巻揚機朽ち小鳥来る
隠亡の小屋に番ひの小鳥かな
小鳥来て貧乏揺すりが止まらない
小鳥去り倫理去り妄想来る
モールスの符号打つべく小鳥来る
乳児のおむつ爺のおむつや小鳥来る
理不尽な因習ありき小鳥来る
一片のビラくはへて来たる小鳥かな
小鳥来る詐欺に注意とポリス来る
小鳥来る子規の倍生き佳句はなく
病窓に小鳥来耳すませ心音
小鳥来るベンチは一羽一つづつ
小鳥来る希望ケ丘の団地老い
小鳥来る風によどみのなかりけり
小鳥来る異国の香を焚きしめて
近距離に驚く吾と小鳥たち
冷めやらぬ肥後の瓦礫へ小鳥来る
何だつたか忘れた空地小鳥くる
廃校の母校に小鳥来て遊ぶ
小鳥でも一羽で来れば押し黙り
墳丘は郷の鍵穴小鳥来る
杖の人待つ間の点呼小鳥くる
小鳥来る街が夜明けに立ち上がる
目が覚めて小鳥のさえずり大合唱
ピーチクと仲間はずれの小鳥かな
ダンボール並んだ部屋に小鳥来る
ドローンの来ぬ領空に小鳥来る
小鳥の死ひと避けてゆく土瀝青
十字架・小鳥・墜落する光
小鳥来るゴリラの檻の隙間より
逢魔が時紛争国の小鳥来る
日輪へ嘴を向けたる小鳥かな
オルロイの正午の鐘や散る小鳥
不揃ひの島へ揃ひの小鳥かな
ハムエッグ海光曳きて小鳥来る
小鳥たち森のバッハのオーケストラ
井戸端の会議に小鳥集結す
上方へ小鳥指南や季何先生
小鳥かなコンビニ袋咥へたる
小鳥来て前進守備を嘲りぬ
銃を捨て小鳥にならうさうならう
ターバンに包み小鳥を荼毘に付す
念入りに吹くカップ麺小鳥来る
引き算の年になるかな小鳥来る
空を見る今日こそ小鳥来る筈と
8の字を描く一輪車小鳥来る
小鳥うねる名を奪われし俘虜の列
なにか言ひ小鳥の小さき眼に残夢
銃といふ悲劇のかたち小鳥来る
小鳥来る婆に大きな腕時計
小鳥来る京都土産は和三盆
小鳥立ち京とれいんの発車ベル
ずっと窓開けてる小鳥来るはずの
使わざる名刺百枚小鳥来る
君の弾くプサルタリーに小鳥来る
若き日の写真はセピア小鳥来る
どっと翔ち庭に戻れる小鳥かな
小鳥らは誰を送るや駅に群れ
図書館の窓の向かふの小鳥かな
インターホン画面の奥に小鳥くる
偏西風大陸越えて小鳥来る
鼻唄を小鳥聴きたる吾の狭庭
小鳥来る呪ひのやうな声聞いて
小鳥来て池と私の三角形
今日もまた皆小鳥の羽を植えている
人の世の地図逆しまに小鳥来る
道うまく教へられたか小鳥来る
小鳥くる陸はかなしき場所ばかり
小鳥来る何か求めてゐるやうに
小鳥から色無き風へ一報す
しんくうの小鳥の満ちしジェノサイド
寝返りも打てぬまま聞く小鳥の声
少年法五十一条小鳥待つ
貧富の差有れど小鳥は気にもせず
小鳥かな吸入の霧晴れてゆく
小鳥ことりいのち離れて空に舞ふ
目覚めれば吾子と「小の字」や小鳥来る
日曜日風呂場で喚く小鳥たち
小鳥らにパン屑やれば向きもせず
小鳥来る海図はメルカトル図法
小鳥来る同窓会の葉書出す
チョルノービリ鳥は小鳥へくちうつし
別荘か移住か今年も小鳥来
老人を見守りながら小鳥来る
小鳥去り兵士の棺静かに来
先細る朝刊届く小鳥翔つ
20年生きてくれてた文鳥よ
猫の爪小鳥を刺して生ぬるき
二人目の予期せぬ受胎小鳥来る
小鳥鳴く目覚まし時計より早し
小鳥来る国も時代も誤りて
わが庭のごとく跳ねおり小鳥来て
小鳥来る地蔵の前の水たまり
早起きの空清きまま小鳥くる
小鳥飼ふ赤西蠣太の一場面
一人飲む今日の珈琲小鳥来る
小鳥来る鐘の音ゆかし瑞巌寺
小鳥来るだらうか二十一世紀
