きんようブログ 社員エッセイを掲載。あの記事の裏話も読めるかも!?

兼題「名月」__金曜俳句への投句一覧
(10月30日号掲載=9月30日締切)

名月とは、旧暦八月一五日の月のことです。今年は9月25日でしたね。この月が一年中で最も澄んで美しいとされています。

さて、どんな句が寄せられたでしょうか。

選句結果と選評は『週刊金曜日』2026年10月30日号に掲載します。

どうぞ、選句をお楽しみ下さり、堀田季何さんの選と比べてみてください。

『週刊金曜日』の購入方法はこちらです。

電子版も発行しています。

amazonなどネット書店でも購入できるようになりました。
予約もできます。「週刊金曜日」で検索してください。

※差別を助長するなどの問題がある表現は、この「投句一覧」から省きます。
※上記以外で投句した句が掲載されていない場合は、編集部(伊田)までご連絡ください。

【名月】
実らない名月さえも虚数とする
望の月ジャンクメールをみな消去
名月と残業をせし終電車
名月や割り込み仕事終わらない
満月や集団自決の壕の隙
名月や氷河決壊人の罪
名月や故郷は知らぬ人ばかり
名月を掬ふ蓮華のたわみかな
名月や空ちの車錆びてゐる
残業は残業だけど今日の月
名月をさかさに映す湖水かな
名月やコンビニさらに煌々と
座布団に父の凹みや芋名月
名月を有刺鉄線基地の刺す
仙厓の○よりまあるい今日の月
名月やアシンメトリーだっていい
名月や秘仏に届かざる事も
名月を盗れAIに命令す
名月を孕みし妻の寝息かな
名月を仰ぎ自転車物置に
名月の影踏み遊ぶパジャマの子
名月やちやぶ台もある粗大ごみ
名月やレシートの文字読めるほど
避難所の靴を揃へて今日の月
芋名月どうにか平年並みの出来
名月に今日も喧嘩と書く日記
名月や歴史を語る者は無し
満月の引つ張つてゐる地球かな
石段を名月ことに明るうす
名月や尾行の足のピタリ止む
名月は月を語らう友を持たず
名月がきっとあるだろ雲の上
名月を肉眼捉へし日もありぬ
名月や広きつくばい水あふれ
古畑の謎解きパート月見酒
名月は取らなくていいしかと見よ
名月やカムパネルラは誰だっけ
教育の禁止名月光るのみ
しのび逢ふ千年越しの月今宵
名月や華やかなりし反戦歌
名月や出番忘れるピエロおり
月今宵ドローン数機過ぎゆけり
名月か火山の冬の雲上は
名月や膿出すやうに詩を詠んで
名月の水面に映る湖面かな
東京にふたつのタワー望の月
お餅持ち名月鑑賞いい気持ち
名月にけふも喧嘩と書くでせう
名月や核シェルターを光らせて
左下より見上げれば今日の月
名月やその満ち欠けに人殺され
水煙の天女に重ね望の月
名月を揺らし渡るや歩道橋
名月のひと筋書庫に届きけり
フリーウェイ暫し伴走望の月
名月や覗く古井戸小さき月
名月や最後の叔父が逝きにけり
満月や魑魅の還る真夜の梁
見開けるまんまるの目に望の月
名月を月観ぬままに詠む輩
名月より見れば地球に白き渦
名月や夜風に吹かれて雲の影
名月や繋がる空ではアラートが
名月やウサギ追い出す宇宙船
名月や海原に湧く白き道
十五夜ににはとり鳴いてをりにけり
名月の裏に覇権が飛んでくる
名月に雲なほよしと言ふ君よ
名月や籠の金糸雀照らしをる
先約ありと断りひとり今日の月
名月に肩を寄せ合い共白髪
名月と複数形のリアスです
名月や999は何処へ行く
名月を掠めパリ行き直行便
名月を褒め合ふ銭湯帰りかな
名月をすこし揺らせし水面かな
名月を純なこの地で迎へたき
名月に重ねて齧るドーナッツ
名月に子の探しをる乳房かな
名月や無言電話のツーの音
是食ふて茶喫めともあれ芋名月
名月や金星かすかに揺れてをり
名月にマイケル思う差別超え
名月や薄雲まとふ宵の艶
名月やカラオケ屋から人も出て<
満月へ龍となりゆくモノレール
名月を心眼で見る男かな
名月や瀬音の満つる屋形舟
名月やまた深爪をせしをんな
名月やコンビニ袋要らぬと言ふ
酔客のうずくまる影けふの月
満月やタトゥーの肩をやわく踏む
名月や塔克拉瑪干の砂の河
望の月受け取り口を弄りぬ
名月や民俗浄化いかに止む
病窓に滲み溶け出す望の月
名月や甍つぶさに大伽藍
名月やジャワを白紙の祖父の手記
名月やきみ名乗りたきひとの策
同性の彼はパテシエ栗名月
名月や草の中より草のこゑ
名月のあかんべしをる裏ツ側
名月やさてもさらでも盃ぞ
名月や酸素ボンベを手放さず
大亀の玉子まんまるけふの月
決壊の湖面を戦ぐ月今宵
サラリーマン名月と言ふ無関係
名月の窓閉めてより息汚れ
名月のショー皆で観し塾の窓
望の月人類にある滅亡論
名月は前座園長顔を出す
名月や残業帰りは一顧せず
身のうちに潮あをあを望の月
名月は恥ずかしがり屋手酌酒
名月の話題は躱しゆく打刻
名月を過ぐして猶も羇旅の夜
望月やボイジャー号の通過点
名月や決壊の沼煌々と
向島ぽんと誂へ今日の月
名月や降りしきるものその霧散
名月や近隣集う大覚寺
また四センチ離れゆく望の月
塵芥の底に名月浮上せり
名月や顔の古傷さへ愛おし
満月やわれとわれとが釣り合ひぬ
名月や試合の後のゴミ袋
我らみなルーシーの裔今日の月
名月のもとよりうまきお酒かな
名月に怖気付きたる元詩人
名月や墳墓に望む古墳群
名月や赤く化粧の地蔵様
名月や厨の妻に声かける
大雨や名月までを指折りて
名月や駅前広場のギターディオ
名月の添付されたるメールかな
古里の三五の月よ母者人
名月の二つながらに橋の上
名月やまたマンションの建つと云ふ
名月や遠くに拍手する家あり
名月に涙涙が止まらない
丼に名月ひとつあれば足る
名月の法なき秩序ひと夜過ぐ
名月に邪な雲払い除け
ついて行くと決めて見上げる今日の月
名月や伊予の二見の注連の影
喘息の吸入あまし今日の月
いつの日か月が落つる終わりのとき
名月の欠片投げたし占領地
油浮く海峡封鎖して無月
月今宵臨月の獣舎を照らす
抽斗へ一病増ゆるけふの月
名月や絞り出す声吾は悪魔
明月や遠くの兵士も月今宵
白バイの加速はじまる望の月
満月にドローン横切る国境の空
名月や保税ヤードの美術館
名月やどこでも同じ兎さん
阿蘇といふ眼窩に落つるけふの月
効きはせぬねむりぐすりや月今宵
名月は無言のままに空を統べ
姥捨は名月隠れ上山田
頭脳駆使て月まで行った次火星か
失せかけしパズルのピース今日の月
名月に向日葵折るる大野原
振り返り吾背追いかけ満月かな
名月や汚泥みたらし餡ならば
名月やコンビニ出れば正面に
いずこから和琴合奏月今宵
名月の催促や留守電に孫
名月だしほんとのことを少しだけ
名月に兎の跳ねる句が並ぶ
名月や母日輪の七光
名月や心に浮かぶ静かな夜
名月や乙女のリボン解くる音
枯葉剤撒いても灯る名月か
さざ波に名月欠片となる湖面
名月や鉄紺色の空に浮く
コンビニに点る名月モカ珈琲
ポケットに隠した名月が邪魔で
火葬場の煙突ひとつ月今宵
鉄塔のあはひに顔を出す名月
名月の海には龍の魔力満ち
名月や竹の器に醤油沁む
名月や有名人にはまだ遠く
月今宵せせらぎの音の夜もすがら
瑕瑾なき名月にある裏のかほ
夜勤入り工場の上の満月
名月や明日は木を切り庭仕舞
ぶちあたるくぐるただよう今日の月
名月や並び立たない矛と盾
歯ブラシを咥へ今宵の月仰ぐ
名月や労働組合の仲間
盛塩の粒の白さや今日の月
名月を成層圏の下で見る
名月や背負ひて越ゆる箱根関
名月に向つて叫ぶは老人
名月の立つか座るか横になる
名月に射らるや否や溺れけり
名月や救急搬入口に待つ
天窓を過ぐ名月の時刻表
名月や抑留の日の父の声
地球消すボタンあかあか月見酒
名月や地上に満ちるジャバウォック
さりげなく名月を見る警備員
名月を頼りにたどる家郷かな
名月の染みて綺麗なピラミッド
一湾を覆ひ切つたる月今宵
名月のくぼんでいたる水飲み場
名月や門扉古りゆく異人館
ミャンマーにこんな名月あるてふ子
名月やセーラームーンの現れて
今日の月錆浮かびゆく廃戦車
胎を出て月見のひととなりにけり
猛毒のごとく名月街の上
名月や終電の椅子まだ温し
名月と少し離れて病む地球
名月が見える場さがすビル谷間
名月へ吐息ひとつを差しだせり
名月や岬を回る伝馬舟
名月や琵琶抱く膝のほのぬくし
名月や鎮痛剤の効きはじめ
名月や母乳染み出すキャミソール
名月や赤紙透かし見る数字
名月や既読を待たず消す五文字
cookieを拒否して月を見てをりぬ
名月の風に余韻のありにけり
名月を斜に積み込む一輪車
名月やMito 4×10¹⁶(マイト4ケイ)ぞよめきて
月きれい意味の無いこと彼女いう
十五夜の月影居間にまで届く
名月や今夜ぐらいは顔を上げ
名月や等しく在るに異を唱ふ
章を閉じ今日の月のみ澄みわたる
人知れぬ霊安口に望の月
名月を女月と仰ぐ一人で仰ぐ
名月がドライブレコーダーにゐる
名月の深夜いよいよ恐ろく
名月や甍雲間の多重塔
名月をプログラム言語で探す
名月や昨夜(ゆふべ)賑わふ角地かな
漆黒を名月様が照らし居り
名月や月命日に当たりたり
武器売と月見団子を分け合へり
名月や百三年の鬼瓦
名月や空気の層に渦いくつ
名月や半分にとどめる給油
名月に妻と二人の与太話
硯海に浮かせてみたき今日の月
名月やゴジラ映画の帰路照らす
展開が遅い名月何しとる

【不明】
勢子の引く綱に抗ふ男鹿かな
三人の勢子に追はれて鹿走る