兼題「秋の七草一切」__金曜俳句への投句一覧
(10月31日号掲載=9月30日締切)
2025年10月20日7:18PM|カテゴリー:櫂未知子の金曜俳句|admin
「秋の七草一切」とは、「秋の七草関連なら、一応、ぜんぶ大丈夫」という意味です。
さて、どんな句が寄せられたでしょうか。
選句結果と選評は『週刊金曜日』2025年10月31日号に掲載します。
どうぞ、選句をお楽しみ下さり、櫂未知子さんの選と比べてみてください。
『週刊金曜日』の購入方法はこちらです。
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予約もできます。「週刊金曜日」で検索してください。
※差別を助長するなどの問題がある表現は、この「投句一覧」から省きます。
※上記以外で投句した句が掲載されていない場合は、編集部(伊田)までご連絡ください。
【秋の七草一切】
女坂ののぼりに風や秋の七草
迚も斯くても秋七草を揃へけり
七草をいかがと呉れし山の宿
桔梗花意思貫きて老いたしや
水切りの最後は泡に女郎花
自叙伝の表紙にしたき葛である
祭壇に埋め尽くされし白桔梗
飛ぶやうな羽ばたくやうな葛の花
ひとり旅尾花を渡る風に乗る
七草の名に心寄せ秋の道
待ち焦がれ咲かんとす萩極楽寺
青芒痴呆極めてなほ元気
女郎花足をくじいて目の高さ
気まぐれて飾る淋しさ女郎花
これでもかと地に触るる萩ばかりなり
薄の穂風に揺れてる儚げに
萩咲きて闘病の母微睡めり
指折りて秋の七草かぞふれど
均整を少し崩して萩活くる
打ち揃ひ容姿端麗秋七種
風に揺れ風に酔ひたる萩の花
一揆の碑たれか七草供へたる
鏡台の眉無き顔や女郎花
群るるほど人恋しくて女郎花
風受けて秋の七草靡きけり
もうすこし地球にゐます女郎花
微風(そよかぜ)に可憐に揺れて桔梗かな
わらわらと夜中をあそぶ芒ども
背姿は水泡の匂い藤袴
透かす羽かげ美しや藤袴
ふくらみて桔梗咲けるは裂けるごと
鉄橋の下より仰ぐ藤袴
仏の座孫も子も首傾げてる
藤袴紫甘く誘われし
平安の戀のかをりや葛の花
撫子や川を誇りに去る故郷
透き通る風の音聴く芒原
撫子や女は強しいつまでも
咲きどきを悟る風雅や月に萩
図書館の窓辺に光る萩の花
数ふるも秋の七草五つまで
撫子一輪食卓に置き咳ひとつ
撫子や犬の散歩者会話して
嘘つくを覚えたる子や萩の花
白萩や蕎麦屋の庭を占拠せり
パイオニアの植物として萩ここに
すすき野を見え隠れする通学路
萩の花あの日の遺恨もう一度
葉も蔓も花も鬱陶しくて葛
肩衣の折目の鋭きや岡止々支
藤袴ふと立ち止まる女学生
藤袴木洩れ陽に白深めつつ
趣味の会七草席に揃へたし
芒立つ廃病院の駐車場
封解けばさらさらと手にこぼれ萩
櫂朽ちて尾花は水を靡かせる
さまざまな石に囲はれ萩の花
女郎花御油赤坂は十六丁
こぼれ萩式部ゆかりの大本山
撫子や百歳近き姉妹
人行かぬ道や芒の隠すもの
白露に歌人の影七草の道
投げ入れの萩のやさしき生家かな
きちかうの彫りの深さよ翳湛え
絡みつく蔓の強さや葛の秋
葉隠れのわずかに紅し葛の花
軽便の転轍機らし葛の花
子規庵の糸瓜見上ぐる花桔梗
後朝の手櫛あでやか女郎花
七草の庭より客を迎えたし
撫子やグエン朝より名を借りる
古希過ぎて葛の葉裏の恨みかな
地蔵古る径に人なく萩こぼる
鋸はたひらに寝かせ萩桔梗
厚鎌に萩も芒も刈られけり
萩咲けり誕生花の萩咲けり
天昇るらせんに絡む葛のつる
君の手に夕日こぼるる撫子かな
咲き揃ふ秋七草や百花園
女郎花志賀には志賀の空のあり
白髪が芒のうねりに見え隠れ
土産要る求められるは萩の月
女郎花男の走りを見せたくて
革命の夢薄れけり薄原
女郎花雨に艶めく薄黄色
撫子や少女は光を飼い慣らす
撫子や妻のアルバム整理する
廃坑に鉄索錆びて芒原
桔梗の冴え冴えとあり死化粧
まだ風にあがらふ若さ花芒
七草粥秋の七草覚えられない
藤袴野のなによりも濡れてあり
減少のいよいよ愛し藤袴
赤岳の山肌飾る桔梗かな
萩日和杖ははづみて一万歩
母逝きて父命日に尾花ゆれ
白萩や何かの穴は誰かの穴
薄野の風に置いてけぼりの雲
葛繁る驕れるものの夢の址
桔梗咲く友が突然来て帰る
風の日はひとり芒になつてゐる
をみなへし風の明るき日なりけり
葛花や小さき祠にカップ酒
折形の礼法しゃんと白桔梗
大阿蘇やおお浪こ浪の芒灘
きちこうや鉢には名前が書いてある
ここだけのはなしをするねをみなへし
泣きながら芒の原に分け入りぬ
萩の花木の橋渡れば道路出る
女郎花ウランバートル経由便
藤袴お帰りやすと御寮さん
ススキ揺れ月待ち疲れ穗を垂れし
風流れ枝の流れて萩の花
風雑へ雨降る夜の尾花かな
故郷のもう一度見る萩の花
女郎蜘蛛似て非なりけり女郎花
公園に秋の七草あと一つ
左腕亡くなる手術芒かな
亡き犬の写真に寄り添う桔梗かな
七草を買ふこと容易なりし街
萩咲いて実家の母にメールする
我が墓はカワラナデシコなりと猫
紫の匂ひ絡まる葛の花
桔梗は孤独の花と思いたり
夕風の止み間に匂う女郎花
白桔梗弓引く背中凛とせり
古墳から古墳見晴らす藤袴
恋いくつのぼりて崩る葛の花
推し活の力と平和葛の花
桔梗花奥へすすめばわが晩年
葛茂る朝を手伝ふ宿の客
逢ひたくて切符を買ひぬ桔梗かな
ごてごての子規庵の庭花桔梗
いつだつてあんたのうそは秋の七草
桔梗凛と濃き紫を貫けり
けふの日の広き背をおすゆふすすき
星消えるやうに桔梗の白さかな
夕凪のグラデーシヨンや萩の丘
春の七草花より団子や秋鑑賞
撫子や白磁の肌に血の通ふ
すきとほる真水に秋の七草を
独り身を愉しむもよし女郎花
野の花に撫子ほのと華やぎぬ
黒髪も少し揺らして萩の風
身にならず観なり憶良の秋七草
初めての山ふり返るすすき原
桔梗としてあくまでもくつきりと
萩こぼれ月命日の小さき花器
きちこうやブルーカラーの父である
石庭に萩の紅きのこぼれけり
七草はこれぞと並べ道の駅
藤袴ふと声に出る想ひかな
老残を隠すが如く葛の花
朝窓のバカラに透けし女郎花
ランウェイの薄は都会へと靡く
葛の花フェンスに絡みつく筋力
七草粥食べてみたいな秋の七草
桔梗や山のむかうの海を向き
女郎花風は名前を持たざりき
桔梗から帰郷連想電話する
芒原揺るる大気の周波数
萩日和母の御座する黄泉もまた
駅員がホームの萩を束ねゆく
七草を漸く覚へ指を折る
初潮見し少女揺蕩ひ桔梗咲く
萩さやぐ野に消え残る軌条跡
葛の花愛そか蔓を憎まうか
帰り道なぜか手にする薄の穂
義弟棺に唱えておりぬ秋の七草
咲き満ちて撫子どこの子秋に彩る
蒲生野の聖地に石碑秋七種
秋の夜長虫は奏でる七草揺れる
葛嵐改革案は廃案に
撫子や吹かれながらもつね濡れて
撫子の風あくまでもしなやかな
秋の七草途中までいい感じ
葛の葉や全山真白の風渡る
湧水へ草分け行けば葛の花
万葉の風を重ねて七つ花
すすき原畝る街道暮れ泥む
友へ文書かむ桔梗の咲きにけり
藤袴相談しない部下がいる
隠れ耶蘇ひそかに眠る葛の花
きちこうや洋楽しばりカラオケ部
乱れ咲く萩の細道通り抜け
庭先のすすきが我の背を超えぬ
桔梗いちりん妣に捧げる月命日
這い登り行く所なし葛の花
石段をふり返り見れば萩の庭
葛の花思い出すのは幼き日
撫子の女思わす繊細さ
揺られゐてしかし確かな女郎花
襤褸を撚る紡車てふよぶ藤袴
光線を瀬切りて白き尾花かな
尾花見て黄昏て来る空を見る
天正の御菓子司葛の花
名前なき里の名水藤袴
藤袴ネルドリップの残りし香
月山も桔梗の空となりにけり
護るごと秋の七草墓所に咲き
地下茎に蓄えありき藤袴
河原にて撫子咲いてピンクなり
藤袴鰓の呼吸の穴を見る
一人から呼ばるる名あり女郎花
なくて七癖あっていとおかしや秋の七草
秋風に揺れては遠き薄かな
きっぱりと桔梗を掲げ本能寺
山萩や往還五十キロ余り
遂には限界集落真葛原
肯かぬことを矜持に秋七草
秋の七草名も知らぬ草も生える
駅花壇魔法をかける桔梗かな
七草の野に放たれし秋の風
芒原おほかみの尾の切れてゐる
秋草にスマホの灯り置かれけり
村中が目の色変えて薄刈る
女郎花塚を二三歩男郎花
行く道の子どもを守る夕芒
萩ちらす夜半の雨音樋の音
旅人に信濃の雨や女郎花
ぶす犬に盗人萩に懐かれる
苦手なものは苦手秋の七草
荻の穗が風揺れ白きさやさやと
百花園秋七草の咲き揃ふ
乱れ萩束ねて広き庭となり
月光に薄は己が影の中
夜の風の風紋のやうこぼれ萩
真直ぐなる薄の若き立ち姿
真葛原道の真中で寝込む猫
薄野や巡回バスに異邦人
男らしさがわからない女郎花
薬袋の白きに透ける萩の影
七草粥材料あまり売ってない泣
老人の両手に余るすすきかな
萩の花風に吹かれて風情あり
撫子や勝気な子にも嫋やかさ
唱えては秋の七草飾りけり
撫子や末野の窮の片隅に
露天湯の径に七草探したし
一面の野を揺らしたる芒かな
ついついとつてみたくなるすすきかな
思つた以上でも以下でもなく萩
電柱を幕の如くに真葛原
梳くだけの髪は残りて女郎花
山野生ゆ葛ツル伸び道ふさぐ
近道は芒のうねり通り抜け
古の禁野に群るる女郎花
たおやかに風にまかせて女郎花
男子挿す芒かんざしおままごと
秋七草孫に教える覚え方
女郎花今日の一言気になって
白桔梗秘密の箱は五角形
廃線のホームになびく枯れ芒
日和雨芒は銀の浪となり
中七は墨守すべきと白桔梗
桔梗とも星が満開仙台市
白萩や暗渠微かな水の音
秋七草母は十指を持て余し
女郎花ぶつかれど黄は渡さずに
大葛原改革嫌ふ邑の者
撫子や夫婦別姓夢のまま
葛の花小道の風のうす緑
藤袴見すぎたせいか妻の夢
撫子やアオザイ染まる音がする
萩の花墓に供える夕べかな
藤袴しばらくぶりの蝶結び
薄野の果ては怒涛の日本海
萩桔梗川を渡るに影曳いて
電柱に絡み傾がせ葛の花
萩散るや古歌の雲ふやしつつ
雨音を幾重に敷きぬ真葛原
石女の手にうすべにの撫子の
秋七草昭和の団地ひっそりと
花薄光の画布となりにけり
青空の芒いよいよさむざむし
尼さんの手の感触や藤袴
草原に見つけし可憐桔梗なり
夜道行く音立てる様枯れ尾花
そのひとの香の残りけり藤袴
一身に仏に見ゆ藤袴
葛の花可憐味良く根は太し
川の土手黄色彩り女郎花
侵入の葛の排除に励むなり
芒原即下一面溺れそう
旅の足洗ふ千曲の藤袴
紅白の萩をくぐりて山門に
夜には夜の朝には朝の薄風
撫子の花に見入ってドラマロス
をみなへし汽車は峠を越えにけり
白衣干す屋上明るし葛の花
天泣に撫子微醺帯びにけり
ほろびける秋の七草迷ひなく
日当たりの川石乾く薄かな
女郎花生薬となるあわの飯
故郷に別れを告げて藤袴
葛の餅材料小麦のでんぷんなり
透過して芒落暉の睫毛かな
五つまで秋七草を見付けたり
諳んずる七草の名を子の真似る
筒袖や庭の撫子待ちにけり
芒原丁度自動車家に着く
撫子の醒めぎわに玉簪を
穂芒の金波銀波や遍路道
軒先の目立たぬ所女郎花
おひさまのにほふ秋七草のいろ
母の手の七草粥と較べらる
秋七草をそらんじる白寿父
徳川の庭に桔梗が忍び入る
道の駅ひともにぎはふ女郎花
ひつそりと住まふ門辺の萩の花
青空の対極として真葛原
黄昏のジビエ料屋藤袴
張り詰むる球三秒後には桔梗
桔梗咲く謹み深く思慮深く
おみなえし明日はなにして遊ぼうか
月欠ける音するやうに女郎花
風の中今日も出待ちの芒かな
故郷の園に自生の女郎花
枝垂れて風に揺られて萩の花
萩散るやペダルの重き夜勤明
夢よりの朝のしじまの桔梗かな
橋梁のボルトはイボのやうに葛
日当たりの悪き寝床や女郎花
赴任地に秋七草の盛んなり
【その他】
霜柱踏みしめながら始発駅
霜柱お庭ごめんの小径かな
冬の薔薇無口な父の独り言
無人駅行き届いたる冬薔薇
廃校の冬薔薇眺む金次郎
早番は勝手口まで霜柱
