きんようブログ 社員エッセイを掲載。あの記事の裏話も読めるかも!?

兼題「額の花」__金曜俳句への投句一覧
(7月28日号掲載=6月30日締切)

「額の花」は、紫陽花とは違います。紫陽花の花のように鞠状にはなりません。額紫陽花とも呼ばれます。

さて、どんな句が寄せられたでしょうか?

選句結果と選評は『週刊金曜日』2023年7月28日号に掲載します。

どうぞ、選句をお楽しみ下さり、櫂未知子さんの選と比べてみてください。
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※差別を助長するなどの問題がある表現は、この「投句一覧」から省きます。
※上記以外で投句した句が掲載されていない場合は、編集部(伊田)までご連絡ください。

【額の花】
くたびれることなかりけり額の花
雨粒にさらに色濃く額の花
あじさいを抜け額の花ある寺廻る
額の花通販で買う白髪染め
額咲いてたしかな翳り牧師館
額の花足元悪き日を選び
幻想が幻影となる額の花
宿坊の下駄の音聞きし額の花
ランドセル走る度揺れ額の花
モナリザも枠あればこそ額の花
額の花暗き山路明るうす
凛として口数少な額の花
足元で消えたる風や額の花
額の花鈴なり町へ馬車がくる
額の花車見送る私道かな
夕刊に載らぬ消息額の花
額の花和装の女(ひと)と額になる
肩越しにチラとあやかし額の花
人間等しく平たし額の花
紫が好きだったんだ額の花
額咲きて猫の死骸に雨馴染む
まだ来ない誰か待つごと額の花
四辺の内角の和は額の花
身を広げ子等を包むは額の花
保育所の母待つ灯り額の花
額の花ゆるりゆるりの女坂
静脈のふくらむやうに額の花
額の花切ればこぼれる朝の雨
額の花雨が貫き風が過ぎ
額の花終ぞ回らぬ水車小屋
鬱の朝崖に棚なす額の花
近道を忘れてひらく額の花
額の花ともに暮らして五十年
額の花見へてくる筈峠道
ふち欠けし切子のグラス額の花
額の花母見まく欲し八十路かな
雨だれは変ニ長調額の花
額の花朝か夕べか知らぬ母
昨日とは違う彩り額の花
母と子の内緒のはなし額の花
片頭痛目に紫の額の花
平凡といふしあはせや額の花
いつまでもこのままずつと額の花
谷戸の雨降るだけ降りて額の花
干からびる覚悟まだ無く額の花
御山の深きを被ふ額の花
アスファルト濡れて黒ずむ額の花
腰痛の歩みを止めて額の花
けふは白雨の洗ひし額の花
木漏れ日のスッポト受けし額の花
焼夷弾避けし洞穴額の花
恋文にも起承転結額の花
むらさきの雲すこし開く額の花
谷川の崖覗き込み額の花
薄れたる横断歩道額の花
物干しにてるてる坊主額の花
学童の傘躍動す額の花
雨の中生気戻りぬ額の花
表から回る離れや額の花
額の花四谷大木戸水番所
祖母に似て母に似し鼻額の花
額の花仕切るが如き店の軒
水かげろふしばらく額の花のうへ
帰り道額の花待つ曲がり角
雨の直売所番せる額の花
狢坂雨に毀るる額の花
夕風を楽しむように額の花
夕暮れにひと雨恋し額の花
額の花あの世とこの世近くせり
愛らしや雨の晴れ間の額の花
庭と庭向かい合わせの額の花
額の花AEDに指示されて
額の花中に納まる家族かな
議会へも女と男額の花
雨上がり持ち上げられて額の花
つるつるの玉砂利鳴らし額の花
長続きしない若者額の花
傘の列進む両側額の花
赤坂は崖の街なり額の花
遊園に探す長椅子額の花
デイケアの食事の窓を額の花
群れてなほ寂しきものよ額の花
参禅の山門までを額の花
朝まだき妻を囲みて額の花
団結は大きな力額の花
額の花見せしファッションセンスよき
飛石に歩み誘はれ額の花
額の花まだ当分は元気なり
水の精あまた潜みし額の花
都市空間切り取られたり額の花
瓦斯燈のひかり届くや額の花
一つ傘に仲良し二人額の花
物言わぬ友の写真や額の花
墨堤の空を写すや額の花
あの角は何色似合う額の花
額の花青紫は弱酸性
額の花画集の色は偽の色
ジャズピアノ零るる路地の額の花
境界の不確かなまま額の花
膝ついて額紫陽花に火を探す
額の花生理用品供出中
花よりも額が目を引く額の花
美しき声は掠れて額の花
追憶はつねに雨降る額の花
額の花晴雨兼用傘を干す
水清く額紫陽花の低さかな
石垣の隙間に小猫額の花
額の花十二回目のリダイヤル
あの橋をすんなり渡る額の花
額の花印象派をつめにけり
額の花金平糖のさぞ甘し
中空(なかぞら)を抱いて放心額の花
額の花雨美人なる風情かな
もののふの道の湿りけ額の花
額の花緑色から白移り
入院も寛解の日も額の花
埋もれたる電話ボックス額の花
心音をかたどるように額の花
雨の日の何か欠けたる額の花
軽やかな女の立ち居額の花
風鎮はもう外しましよ額の花
額の花朽ちし生家の軒しづく
額の花吾は江戸川の印象派
僧の留守故郷の古刹額の花
額の花時空を超えて咲き誇る
若者の続かぬ工場額の花
人生はたかだか百年額の花
午後からの来客はなし額の花
十六歳で母は嫁ぎぬ額の花
なんとなく空港線に額の花
宿題はチャットなんたら額の花
額の花一輪折りて盗人に
幼子をあやす夫婦や額の花
役目終え静かに揺れる額の花
山路来て歩みの止まる額の花
広縁に一輪挿しの額の花
電柱の下に額の花束この夏も
女性議員増えて嬉しや額の花
傘閉じて額の花浴ぶ快楽かな
独居なる卓に挿したる額の花
五日つづく灰色の朝額の花
手を合はせ額の花剪る比丘尼かな
山草に紛れて美しき額の花
額の花犇めく子等を囲い居り
人寄せぬ寺でありけり額の花
小吉の御籤手中に額の花
額の花清らかなれば好きと言う
山の影光を残す額の花
饅頭の敷皮むいて額の花
園児らの帽子ぎつしり額の花
額の花雨の匂ひを包み込み
雨粒にさらに粒立つ額の花
石庭に少し離れて額の花
額の花三千院は今日も雨
額の花コーヒータイムや自販機で
中抜けの放心顔の額の花
額の花根拠はないが大丈夫
車座に揃ふ家族や額の花
幸せの涙雨なり額の花
水平に渡す菓子折額の花
妻のこと忘れさうなり額の花
小さめの額咲いてをる秘密基地
プリンセスカコの番記者額の花
薬師堂より風生まれ額の花
隠れ煙草するする撫づる額の花
幼子は素通リしたる額の花
本能寺囲む「桔梗」や額の花
振り向けばもう遠ざかる額の花
一輪の額の花一朶の雲居
みづからの影を重ねて額の花
澄きれぬままの小流れ額の花
額の花たいしたことの起きさうな
間違いは許しましょうと額の花
あなたにはあなたの事情額の花
額の花にほひは波にただよへり
やさしさに低温やけど額の花
額の花真綿色なる角隠し
陥没の道路は迷惑額の花
額の花靄に包まれたるを摘む
額の花俺に武装は似合わない
泣きつのる小さき拳や額の花
鎧戸の半開きなり額の花
額の花真実野草は食べられぬ
御霊屋に寄添うやうに額の花
長靴も傘も双子や額の花
遊歩道日陰の中に額の花
調剤の薬局しづか額の花
額の花井戸端会議が始まりぬ
ボサノバのリズムの心地額の花
いちびりの歯脱けわらしと額の花
雨粒のレンズに写る額の花
終点の駅舎は無人額の花
裏窓のくもりガラスや額の花
額の花風の起伏の夕まぐれ
廃れゆく六騎の河岸や額の花
さよならと告げる君の背額の花
額の花記念館へと下る坂
額紫陽花浜にゆかりの名の通り
離島からドクターへリや額の花
讃美歌を漏れ聞いている額の花
家裏の小径の行方額の花
原種てふ冠載せて額の花
喪服にも流行りのありて額の花
額の花植樹を見れば鳥が鳴く
裏庭はあかるき焦土額の花
額の花濡れた笑顔の心地よく
子を抱く聖母の像や額の花
山中にかつて人家や額の花
うすれゆく記憶に雨後の額の花
一周忌に呼ばれし朝や額の花
事故現場ぬかずいている額の花
城近き鷹匠町の額の花
諍ひをわすれたやうに額の花
縁取りを濃紺に咲き額の花
瀬を早み宿す雫や額の花

【不明】
惑ふより兎にも角にも茄子の花
食えぬ奴伸びたる冷やし中華なり