きんようブログ 社員エッセイを掲載。あの記事の裏話も読めるかも!?

失地拡大

シジフォスの希望(25)

 麻生太郎内閣の支持率がとうとう10%台になり、ひとケタ目前の「風前の灯」政権となっている。が、まったく驚くに値しないばかりか、2008年9月24日発足以来5カ月、よくぞ10人中2人以上もの「支持」を得てきたなと、その勇猛鈍感、見るも無残な果敢ぶりにむしろ拍手を送りたいくらいだ。パチパチ……。
 
 いわゆる政局にあっては、麻生首相がいつ解散総選挙に打って出るか、あるいは自滅するかに注目が集まる。しかし私は、このまま「史上最低内閣」の冠を戴いたまま、もうしばらくはその勇猛鈍感ぶりを徹底・浸透させてほしいと思う。それが、2007年7月の参院選(自民党大敗)に勝るとも劣らない歴史的な自民党崩壊を招くのに、最善にして最高の手法であろう。

 同じようなことを、『週刊金曜日』(「金曜日から」)に書いたことがある。当時の安倍晋三首相が2007年7月29日の参院選に大敗したにもかかわらず、居座り続けたときである。その一文について、民族派団体「一水会」本部の発行する『月刊レコンキスタ』が次のように書いた。以下、抜粋。

≪……どれも一々もっともな意見ではある。が、私としては片岡伸行なる『週刊金曜日』編集部の者が「安倍的なるものに止めを刺すためにも(政権は)『続投』が望ましい。右側の期待をぶち壊す『最後のバッター』として醜態をさらしながら解散総選挙へなだれ込んでほしいものだ」などと憎々しげに吐き捨てたような反日分子どもの動向のほうが気になる。≫(07年9月1日付)。

「反日分子」というその筋業界用語を使用し、「気に」してくれているのはある意味で光栄だが、失地恢復という意の「レコンキスタ」としても、おそらくは麻生政権がこのままではやりきれないだろう。そこでまた、「憎々しげに」言わざるをえない。

 麻生政権はこのまま続行すべきである。自称「愛国者」の麻生首相にあっては、できるだけその醜態をさらしてほしい。失地恢復ならぬ失地拡大を決定的にするために。麻生政権が続けば自民党は間違いなくつぶれ、自公政権は倒れる。首相の座にしがみつき、自称「愛国者」の失地拡大に励んでほしい。                                       (2009年2月23日・片岡伸行)