きんようブログ 社員エッセイを掲載。あの記事の裏話も読めるかも!?

兼題「桜鯛」__金曜俳句への投句一覧
(4月28日号掲載=3月31日締切)

桜鯛とは、櫻の咲くころ産卵のために内海や沿岸に集まる真鯛を指します。鯛の旬でもあります。

さて、どんな句が寄せられたでしょうか?

選句結果と選評は『週刊金曜日』2023年4月28日号に掲載します。

どうぞ、選句をお楽しみ下さり、櫂未知子さんの選と比べてみてください。
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※差別を助長するなどの問題がある表現は、この「投句一覧」から省きます。
※上記以外で投句した句が掲載されていない場合は、編集部(伊田)までご連絡ください。

【桜鯛】
炊き込みのご飯香し桜鯛
桜鯛つり上げ腰の軋みをり
国宝の島の昼餉や桜鯛
桜鯛昨夜の嵐の去りし浜
宇和のリアスの「愛鯛」や桜鯛
こんなとき捕っていいのか桜鯛
不満げな口のかたちや桜鯛
大室山のリフトを登る桜鯛
黒塗りの箸にほぐして桜鯛
桜鯛姫路の姉と似たりけり
子午線の幅を知りたる桜鯛
群るるごとタイムセールの桜鯛
桜鯛と言えば花びら舞うごとし
桜鯛硬き鱗をまづ剥がす
鯛飯ぞ鞆の浦の鯛一尾のせ
桜鯛跳ねて門出の化粧塩
割烹着の女将の手や桜鯛
竜宮の踊りのままに桜鯛
桜鯛どっしり太しまな板に
俎板に載りて濁らぬ桜鯛
桜鯛上座の母の薄化粧
桜鯛島のいはれのひとつ聞く
神秘とは隠さぬ秘密桜鯛
日焼けせる孤舟の翁桜鯛
桜鯛手つかぬままに夕餉終ふ
目的は桜鯛手段はアプリ
鱗とれた桜鯛はだ吾の肌
乗っ込みの鯛は勢いごと競らる
うろこよりしづかに紅き桜鯛
桜鯛黒目勝ちなる案内の子
夕飯を食べていきなと桜鯛
いろくづのいつそ輝く桜鯛
魚の棚串に刺されし桜鯛(うおんたな)
桜鯛暫し飾りて眺めをり
桜鯛の鱗集めて古新聞
婚姻色と知れば哀しき桜鯛
民宿は暇桜鯛の大漁
桜鯛つり上げ腰の軋みをり
陸奥湾の花蕾は固し桜鯛
碧海や攩網(たも)の中なる桜鯛
船酔ひの俄漁師や桜鯛
桜鯛捌く都の水ゆたか
桜鯛釣れぬ日の憂さ余る餌
「ダンチュウ」の表紙まさかの桜鯛
桜鯛けふを限りの同期会
桜鯛赤飯膳の華やぎぬ
曇る海うすくれなゐの桜鯛
桜鯛潮の流れを咥へけり
桜鯛沖の眩しさ鞆の浦
桜鯛漁解禁の電話受く
花板の出刃の重さや桜鯛
酔ふやうなほどよき疲れ桜鯛
反る桜鯛筋トレの八十寿かな
桜鯛猪口持つ父にふるへあり
桜鯛叩き切るとき母強し
桜鯛の御饌にはおほき二尺五寸
桜鯛パッケージには風の絵が
胸元の艶やかなるは桜鯛
桜鯛光りし鎧剥がさるる
定年やテーブルでんと桜鯛
瀬戸内と三崎の海の桜鯛
ひと回り大きを選ぶ桜鯛
もも色の息を最期に桜鯛
勝つほどに絆の強く桜鯛
包丁を身に挿し入れて桜鯛
桜鯛両手に挟む厚みかな
桜鯛料られ汁が魅力的
桜鯛静寂閑雅な箸づかひ
桜鯛呼べば答へる地元の子
花嫁の頬の赤らむ桜鯛
桜鯛闇から闇へ跳ね来たる
床の間の揮毫は母や桜鯛
定年や粧ふ夫と桜鯛
桜鯛時にも色のあるごとく
桜鯛です言って出されたうれしさに
蒸されをる目玉は真珠桜鯛
米寿へと身を差し出して桜鯛
桜鯛玻璃の目をして釣られたる
華やかなシャツがいいのよ桜鯛
籠にゐてあやにしづかな桜鯛
桜鯛竜宮城は窓の外
桜鯛膳に上らず古希迎ふ
桜鯛背筋伸ばして米寿祝い
その汁を御飯に掛けたく桜鯛
鞆の津の勇者の顔や桜鯛
紛争地に征く人ありて桜鯛
一人居に大皿のなく桜鯛
薄紅の夕空孕む桜鯛
桜鯛そこから花は見えぬはず
咲くらてふ女将のさばく桜鯛
火を出でて灰かかりたる桜鯛
竿撓るこめかみ赤く桜鯛
宵のため花より緋い桜鯛
トロ箱に顔を並べて桜鯛
何方道明日は大安桜鯛
桜鯛潮の流れを咥へけり
桜鯛五桁の値札おかれけり
桜鯛のどに刺さりぬ骨もあり
紅潤む唇棘潜る桜鯛
海神の種火を宿し桜鯛
地方紙に包まれ届く桜鯛
筋肉を使ひて捌く桜鯛
桜鯛突き抜けてゆく遊覧船
桜鯛口を尖らせ盛られけり
ようやくに店長なりて桜鯛
スーパーの半値寂しき桜鯛
桜鯛波立てて寄る岸近く
桜鯛をぶつ切りにして漁師めし
丁寧に生きて骨のみ桜鯛
アイコンタクトしぶつ切り桜鯛
桜鯛俯きざまに釣られけり
熱湯を回し掛けたる桜鯛
桜鯛夕餉にながれるAve Maria
瀬戸内の猫は幸せ桜鯛
桜鯛泳ぐ姿はひらりひら
蝶々さんへピンカートンが釣る桜鯛
俎上には載らぬ速達桜鯛
古希祝う財布ゆるめし桜鯛
桜鯛をとこも眉を整へて
退職す「竹鶴」と桜鯛視て
俎に水の途切れぬ桜鯛
桜鯛海に思ひを馳せるのみ
あんよ始めし吾子跳ねる桜鯛
尻尾まで化粧塩濃し桜鯛
桜鯛小振りなれども主役なり
船体を傾がせ桜鯛挙がる
桜鯛ひとりの時間大切に
熟成は二日握りの桜鯛
桜鯛祖母に付き添いショッピング
鱗散る大俎や桜鯛
にんまりと優しき目なり桜鯛
桜鯛手向けられし旅立つ日
桜鯛さくさくさくと身の崩る
ウエディングドレスも哀し桜鯛
晴天にまみれて跳ねる桜鯛
神饌の噛みつく歯並桜鯛
桜鯛矜持の鱗散りにけり
桜鯛王者は海に帰すべし
生ぬるき夜雨をはじく桜鯛
いろくづの輝きほしく桜鯛
晩婚を言祝いでゐる桜鯛
華やかなシャツがいいのよ桜鯛
捌かれてうつくしきかな桜鯛
竿撓る上腕の瘤桜鯛
明日からは無職の夫に桜鯛
尻尾までは美しき魚拓の桜鯛
十八の上京前夜桜鯛
伊豆漁港桜色にす桜鯛
献杯のあとの静けさ桜鯛
桜鯛郷愁の海游ぐかな
桜鯛目も黒々と光りけり
船上に笑いはじける桜鯛
ぐらぐらの糸切歯の子桜鯛
桜鯛硬き鱗をまづ剥がす
釣竿のしなり豊かに桜鯛
桜鯛さばく女将の手際よさ
荷造りを終えて晴れ晴れ桜鯛
退院の犬桜鯛の頭喰む
うどん屋の箱のひとつが桜鯛
桜鯛恋の大魚を逃し日の
母の手に刺さりし骨や桜鯛
桜鯛花の絵皿の薄造り
さかづきを桜鯛より賜はりぬ
桜鯛大漁旗に風はらみ
爛々と捌かれており桜鯛
スーパーをゆつくり歩く桜鯛
うるわしき名の桜鯛歯のぎざぎざ
桜鯛叩き切るとき母強し
桜鯛ピンクのシャツに袖通す
刃先には鱗ふたひら桜鯛
焙烙の真中に聳ゆ桜鯛
もも色の息を最期に桜鯛
挙家離村最期の宴の桜鯛
瀬戸内の小島の厨桜鯛
歯痛こらえせせり食べるや桜鯛
初釣果乱反射する桜鯛