きんようブログ 社員エッセイを掲載。あの記事の裏話も読めるかも!?

兼題「福寿草」__金曜俳句への投句一覧
(1月27日号掲載=12月31日締切)

福寿草は、江戸時代から観賞用に栽培されており、正月に咲くように鉢植えにします。新年の季語になります。

さて、どんな句が寄せられたでしょう。

選句結果と選評は『週刊金曜日』2023年1月27日号に掲載します。

どうぞ、選句をお楽しみ下さり、櫂未知子さんの選と比べてみてください。
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※差別を助長するなどの問題がある表現は、この「投句一覧」から省きます。
※上記以外で投句した句が掲載されていない場合は、編集部(伊田)までご連絡ください。

【福寿草】
懐妊は笑みに包まれ福寿草
福寿草いい化石出る予感かな
芳名を知らずひそかに福寿草
床の間の虚子の下なる福寿草
斜めなる道や畑や福寿草
またひとつ罪を覚えて福寿草
一隅に日溜まりつくる福寿草
陽を浴びて眩しき黄色福寿草
戦争のはなしを今日も福寿草
つつましき昭和の庭の福寿草
お日様の恵みといふや福寿草
寄せ植ゑに割つて輝く福寿草
福寿草蕾は小さき福袋
陰影の書院障子や福寿草
福寿草むかし空よくたなびけり
まつすぐな妻の視線や福寿草
ねむる嬰の希望の色の福寿草
知らぬ子にVサインして福寿草
二世帯の家に一鉢福寿草
英風の庭からうっかり福寿草
冥き世にせめて陽の色福寿草
小さき手の握るわが指福寿草
庭の端の園芸シャベル福寿草
福寿草什の掟を諳んずる
よく寝ても微熱が引かぬ福寿草
にぎにぎとしたるややの手福寿草
一花ずつ受くる日差しや福寿草
盆栽の添へ物でなき福寿草
買つて見る勇気福寿草倒れ
福寿草心静かに春を待つ
福寿草の鉢に足触れ朝に居る
福寿草スケッチするか句に詠むか
退院を待つや折鶴福寿草
福寿草雪の下にて春を待つ
終末処理場斜面の福寿草
踏まぬよう逆上がりの子福寿草
集まりて小さき華やぎ福寿草
こんこんと流れる小川福寿草
生臭き出来事霏々と福寿草
老猫は別の生きもの福寿草
夢ひとつ叶へるための福寿草
あめつちのどこかゆるびし福寿草
喪の年にことに根を張る福寿草
鉄棒に胸押し当てて福寿草
福寿草数を数えて恋占い
さっぱりとした女将かな福寿草
百歳の祝にふふむ福寿草
福寿草置くや古色の純喫茶
福寿草廊下をライト持つて行く
ありがとう今年も咲くや福寿草
人見知り未だなおらず福寿草
淡き日を濃き黄に集め福寿草
福寿草天地の息を恣
鉢植えの福寿草買う日曜日
福寿草遊子の足を止める土手
温み初む大地の釦福寿草
わが影にしぼんでゆくよ福寿草
せせらぎに揺られて笑ふ福寿草
じゃんけんぽんパーとひらけば福寿草
福寿草しやがめば風の優しけり
販売所二割を占める福寿草
福寿草モスコシ居ルと居候
福寿草ひらく速度の緩さなり
あどけなく盆栽に咲く福寿草
参道は掃き清められ福寿草
妥協点見えぬ雲行き福寿草
獣(けだもの)も金色(こんじき)に染む福寿草
無色なる二丁目を黄の福寿草
袖まくり立つて座つて福寿草
交番の受付の端に福寿草
いつのまにそこにいたのか福寿草
福寿草跨いで知らぬ土地へ行く
此畜生根性の花よ福寿草
去年の地につぼみ付けたる福寿草
来復の萌しの日色や福寿草
福寿草うとうとしたる文机
土に身を委ねて静か福寿草
福寿草中継ヘリの音迫る
晴れてなお陽を待ち侘びる福寿草
地を這ひて春ぽつぽつと福寿草
ひとつひとつひかりあふるる福寿草
気負ひなき暮らしのよきや福寿草
福寿草咲く蕾その倍ありて
駆けまわる小さき靴音福寿草
ふるさとや母の手ほどの福寿草
日溜りにつひうとうとと福寿草
懐かしき土の香りや福寿草
凍える日何とつぶやく福寿草
老将の塚のかんばせ福寿草
先づ一輪陽を溜めて咲く福寿草
福寿草硝子と障子温室に
にこと音する様に咲く福寿草
一鉢のサボテン園の福寿草
福寿草凍つる大気をほどく色
職業は飼主なるや福寿草
土色を纏ひ黄を帯ぶ福寿草
天球と地球の狭間福寿草
真青なる空に向かひて福寿草
咲くを待つ老の声する福寿草
日当たれば即ち開き福寿草
求婚の成果話して福寿草
福寿草吾子の生まれし日をおもひ
福寿草かつて家族は十二人
福寿草妣の手編を褒められて
叔母さんはひとつ年下福寿草
禅寺の犬は寿太郎福寿草
ゆつくりと日の射してくる福寿草
日の脚を伸ばせよここに福寿草
幸せになるのは怖い福寿草
四次元の世界を見たと福寿草
ごみ処理場反対派です福寿草
お日様を集め狭庭に福寿草
日差し酌む金の杯福寿草
福寿草運気高める花黄色
福寿草うみの昏さのそのままに
福寿草テレビをつけぬ一日に
福寿草見知らぬ国に生まれけり
片窓の日差し狭まり福寿草
子供らは走れば転び福寿草
福寿草散歩の夫の買ひきたる
密やかに毒を矯めたり福寿草
病得て三度出会うや福寿草
福寿草片手に岸の枝拾ふ
飼主も犬もはらから福寿草
どれもみな妻に見ゆるや福寿草
福寿草含意ばかりの京言葉
紅色をしてゐたるとも福寿草
夫婦とは他人で家族福寿草
ウクライナ囲め世界の福寿草
カレンダーばかりが増えて福寿草
休日の通用門の福寿草
まどろみにひらいてとじる福寿草
張り詰めた光の中に元日草
神の手も届かざる地の福寿草
洋館の小窓に鉢の福寿草
福寿草ボヘミアンだねその黄色
福寿草去年はここらに咲きゐたり
人住まぬ庭に今年も福寿草
あの日の福寿草の黄を覚えている
どっしりと明るく座する福寿草
ピッケルの石突きの先福寿草
喪の家に色こぼしたる福寿草
戦雲は晴れ福寿草満開に
日本のまん中にある福寿草
福寿草洪積世の地層より
低き礼保つ金色福寿草
花の名をまた聞く父や福寿草
太陽の恵み膨らむ福寿草俳句
朝は居間昼は客間に福寿草
福寿草そこから春の気配かな俳句
いうれいの逃げ出してゐる福寿草
幸せは黄いろ福寿草の黄いろ
跳びはねて仔犬離れぬ福寿草
福寿草咲かす日差しに佳き報せ
福寿草祇園路地裏日の乏し
黄金なるひかりの如く福寿草
病室に届く日差しの福寿草
福寿草夫が目利きと云ふ噂
福寿草ひとり寝坊の姉妹かな
朝顔の鉢の位置いま福寿草
福寿草和服制服入り乱れ
故郷の福寿草ただ凛と待つ
病窓にひかり溢れて福寿草
福寿草踏んではならぬタブーかな
百貨店に小さき寄植え福寿草
犬猫も足せば百歳福寿草
乱雑な部屋の片隅福寿草
タクシードライバーのほめる福寿草
東京の土に根付きぬ福寿草
等分にできぬ幸せ福寿草
凶みくじ帰りの道の福寿草
待ち侘びて待ち侘びてさて福寿草