きんようブログ 社員エッセイを掲載。あの記事の裏話も読めるかも!?

兼題「爽やか」__金曜俳句への投句一覧
(10月28日号掲載=9月30日締切)

「爽やか」とは、秋の清々しさをいいます。

さて、どんな句が寄せられたでしょう。

選句結果と選評は『週刊金曜日』2022年10月28日号に掲載します。

どうぞ、選句をお楽しみ下さり、櫂未知子さんの選と比べてみてください。
『週刊金曜日』の購入方法はこちらです

電子版も発行しています

amazonなどネット書店でも購入できるようになりました。
予約もできます。「週刊金曜日」で検索してください。

※差別を助長するなどの問題がある表現は、この「投句一覧」から省きます。
※上記以外で投句した句が掲載されていない場合は、編集部(伊田)までご連絡ください。

【爽やか】
爽やしや手首を捻る護身術
秋爽の窓全開の書道塾
爽やかにうしろむきなる回路かな
苦しさの爽やかな気(いき)走る朝
独り身のドブの匂ひも爽やかに
開け閉めて又開け閉めて爽やかに
爽やかな夜気かの人の棲みし天
爽やかや富士に向かひて一礼す
ブレザーの双子の下校さわやかに
爽やかやクラーク博士の指の先
爽やかに玻璃のピアスは旅土産
爽やかやゴムのホースのみどり色
爽やかや余白ばかりの時刻表
爽やかや降り立つ駅に待つは君
爽やかや弧を描く鯉の波模様
高原の風爽やかや無人駅
爽やかや池越え狙ふティーショット
爽やかに遠のく船に目を細め
爽やかに大好きな妻のあれこれ
爽やかにカアとひと鳴きして去ぬる
爽やかや川風の土手遥かまで
爽やかに使い始めの財布かな
爽やかや少年歌ふ樹が歌ふ
爽やかや難問クイズ解けし朝
爽やかや読まれてもいい日記帳
初めてのパセリライスの爽やかさ
爽やかやレジに告げたるエコバック
爽やかやコピー用紙に裏表
さはやかに両家の出逢ふこと難し
爽やかに利酒会の暖簾かな
爽やかに異国の空にホームラン
爽やかな山嶺拝み稲を刈る
爽やかに憲法九条答へをり
缶缶が捨てられぬ爽やかな昼
爽やかや見下ろす湖の凪いでおり
眼光の鋭き男爽やかに
爽やかに時速三百キロが過ぐ
青空へ蹴り上ぐボール爽やかに
爽やかに百名山を語りけり
さはやかや百ヵ国語のこんにちは
決算日増収増益爽やかに
爽やかやランチのホテル海を向く
ソーダ水ハートブレイク爽やかに
二人旅富士爽やかに真正面
護摩の火を浴びたるのちを爽やかに
爽やかや引退選手への拍手
飼はれたるものに名のある爽気かな
爽やかや母の腕の阿修羅めく
秋爽や刈り株の揃ひていたり
爽やかや単身赴任無事に終ふ
爽やかや早めに開ける古書店主
検温装置平熱ですと爽やかなり
爽やかに微笑み残し女王逝く
爽やかや異国訛りのアリガトウ
爽やかやまだ皺もなき朝刊紙
爽やかやひとの吐息の恋しくて
爽涼や汽車は二階に登るらし
幾尾根に曙光の亘りをりさやか
教科書を爽やかに読む隣家の子
爽やかや壁一面に積みし薪
妖精のやうな手首の爽やかさ
地にかへる夜を爽やかに柔やかに
我が地声も録音声も爽やかに
爽やかに異国の船を降りて立つ
爽やかに倭寇の裔の船出かな
爽やかに歳を重ねて身も軽く
爽やかやスカイツリーの反り起り(むくり)
爽やかや濁世のからだ少し澄む
ふと爽気チャイコフスキを聴かざる日
爽やかな一日の計朝目覚め
断捨離やさわやかに風ぬける窓
読経なく香典もなく爽やかに
爽やかに青春の書を読み直す
爽やかや海まで見ゆる尾根に出て
爽やかや空白多き予定表
秋涼の高き梢の葉ごとに陽
さわやかに乾ききつたる千仏洞
さわやかにキルギスの野を逃避行
爽やかやみたらし団子を二つずつ
爽やかや呂律気にせず「旅人よ」
爽やかや横隔膜で息をして
蹴る子らよ爽やかな芝決勝戦
秋爽や自転車でゆく土手の道
二分後に泣き止むナースさやけしや
爽やかやいつも通りの脈拍数
さやかとは風に名付けるところから
新米をしゃりしゃりと食む真白き歯
さわやかやポプラのそよぐ邨に着き
茹で卵つるんと出でて野のさやか
爽やかや日の出喜ぶ鳥の声
爽やかに差込口の増えにけり
爽やかや巨船に雲の追ひつけず
爽やかやシャツにアイロン初デート
遥かなる富士の稜線爽やかに
爽やかに噺家啜る手繰り蕎麦
爽やかや朝餉の玉子片手割り
散るもののなき斑鳩の風さやか
爽やかや鉋の削る檜の香
爽やかに飲み干す富士の服流水
爽やかや渚に乾く木のオブジェ
爽やかや木の葉残らず光る朝
爽やかや皆まづ右手出す握手
さわやかや尾根一筋に頂へ
奥琵琶湖駆ける銀輪爽やかに
若き人語尾爽やかや旅にあり
鏡越しショートカットの爽やかさ
反戦の歌とは知らず爽やかに
爽やかや手を振るときは立ち止まる
爽やかに風は海へと開きをり
爽やかや新しき靴がテーブルに
爽やかに胸の釦を外しをり
爽やかやケルンにひとつ石を積み
爽やかにユニフォーム脱ぐ名選手
爽やかや雄鶏空を翔びたがり
爽やかや葬儀に所作の美しき女
冷め切らぬ牛乳に膜爽気かな
爽やかに発育中のビルの骨
爽やかな大霊園で眠くなる
爽やかや三年ぶりの気球跳ね
定年の別れ爽やか振り返らず
野良を行く白地爽やか遍路道
爽やかや高々と魚釣り上げて
爽やかや馬子唄出づる下山道
爽やかやローマを発ちてパリへ降る
爽やかや深き森より残る声
生き恥を踏みしめ歩く爽やかさ
さやけしやシーツの角の九十度
爽やかや拘るもののなき余生
爽やかに別れの天へ塔の鐘
爽やかや浜辺を走る俊足馬
外野席爽やかな声遠ざかる
ものの名を端から忘れさやかなる
爽やかな音を鳴らして入る店
百円がボードの上に爽やかに
爽やかや卒論装丁提出す
爽やかや古地図と辿る鉄軌跡
爽やかや温泉郷に聴く瀬音
食前のパタカラの声爽やかに
さやけしや恋のボートのひしめける
薄墨の文字さやかなる袱紗かな
爽やかにしまなみ海道みち半ば
爽かにポップスターの老ひにけり
爽やかに還暦越したと答へけり
爽やかや真向勝負して敗れ
ふと黙り「結婚します」と爽やかに
門前や爽やかに掃き清められ
爽やかな空の彼方は戦時中
爽やかの真っ先に来る鼻の先
墨さやか真白き紙に写経する
爽涼の薄日のまろき柱かな
爽やかやしまなみ結ぶ銀輪行
爽やかや水田を渡る風みえて
爽やかやしがらみほどく天照
榛名山さやかに揺れる湖面かな
爽涼の真白く高きコック帽
爽やかやザックを下ろす背中かな
爽やかやポプラの並木国境
爽涼や鯉かきたつる水面の日
爽やかやほわっと溶くる和三盆
爽やかに少年剣士すくと立つ
爽やかや玉川上水猫渡る
蛇口より水被りたるさやかかな
爽やかや白球を待つ外野席
爽やかにロンドンの空青く晴れ
爽やかに風の香りの移ろへる
さわやかや不良少年ホルン吹き
爽やかに珈琲豆の挽かれたる
爽やかや剥製のある操舵室
さやけしや托鉢僧のブルーアイ
流水の墨爽やかに香を残す
爽やかや風と戯る孫娘
爽やかやビルの間に富士が見え
さわやかや国境を徒歩にて越ゆる
爽やかや果実の香りする少女
爽やかや身振り手振りで通じ合ひ
爽涼の一字の駅に降りにけり
爽やかにくぐる暖簾に笑顔あり
さやけしや辞職願を受理さるる
蕎麦畑のさやけし白の拡ごれり
爽やかや竹の香りの乗れる風
爽やかや乗換駅の都会めく
爽やかや過去を見おろす町の丘
憤懣のスイッチ切れば爽やかに
賀茂川の爽やかに湧く雲ケ畑
爽やかにトラック走るアスリート
爽やかに交す敵との握手かな
アンカーの長きはちまき爽やかに
爽やかやお日様のもと嬰の笑み
青空とネモフィラ続く爽やかさ
爽やかに目覚めてもなお床の中
甲子園句会にもあり爽やげり
参道の玉砂利踏むも爽やげる
爽かに消化試合やホームラン
爽やかや生成木綿の身に馴染む
爽やかやブルーは吾を覚ます色
爽やかに告げられてをり不採用
爽やかや古き団地の給水塔
爽やかにクレヨンの紺尖りゆく
爽やかや兼題もまた爽やかに
爽やかや人の恋しき今朝の雨
山懐へさやかに届く鼓笛かな
刈り上げし項爽やか若き漁夫