きんようブログ 社員エッセイを掲載。あの記事の裏話も読めるかも!?

金曜俳句への投句一覧(4月27日号掲載=3月末締切、兼題「花種もしくは種袋」)

「櫂未知子の金曜俳句」投句一覧です

選句結果と選評は『週刊金曜日』4月27日号に掲載します。
どうぞ、選句をお楽しみ下さり、櫂さんの選と比べてみてください。

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【花種か種袋】
新品のスーツに貰ふ種袋
おしなべて四角四面の種袋
紫の大きな鞘に花の種
どの花もみごとに咲けり種袋
種袋どれも百円にて並ぶ
種袋根も葉もなきを封じ込め
種袋マラカスのやに振りて買ふ
母の掌に宝石のごと種袋
今年はと心弾ませ種袋
種物や遠くへ行きたい夢がある
花種の蒔く手の白き昼下り
決まりたる未来を希む種袋
花種の余りし程の暮しかな
花種の土にまぎれてしまいけり
今日はチリ明日はドイツの花種買ふ
種袋串にさしおり表札とす
種袋振って咲く数思ひをり
ポチ公のここ掘れワンと種袋
麗しき御寺の隅の種袋
ガーデニング種袋持ち友集う
蒔き終へて土に差したり種袋
三姉妹それぞれの顔花のたね
種物や三千世界詰まりたる
種袋割り箸に刺す祖母をまね
花種や秘密もまじり蒔かれけり
花種の入口飾る金物屋
夢ひらく打出の小槌花種は
種袋未来は三月先のこと
神棚で一夜過ごせるものの種
野に風の蒔く花の種位置確か
花種のいのちの粒や冬去りぬ
種袋ふればかならず海光る
種袋からびるなかの生命かな
花種の爪に残つてゐる欠片
種袋ジャックが登る豆の木の
花種に雨の記憶のありにけり
茄子の種色着けられて転がり出
背景に連山背負ふ花の種
夢の夢ほどよきほどに種物屋
抽斗に父の忘れし種袋
種売りの媼小さく唄いをり
種物屋あはき日差して誰もゐず
種袋串にさしおき種を蒔く
花種やベクレル恐れ曇る友
どの指もけものの匂ひ種袋
松島の島々とあり種袋
暮れなずむ種蒔く人に種袋
物種の袋ならべて五十年
花種に託せし春のうれいあり
軽やかに春の音して種袋
南国のたちまち香る花の種
花種のひとつひとつの中に海
シチリアの原産とあり種袋
街道をはさみ二軒の種物屋
裏面に花ことばあり種袋
すつぴんのいのちつまりし種袋
花種を蒔いて安らぐ夕べかな
種袋探りて届く暖かさ
花種や耳たぶの穴閉塞す
とりどりの夢を集めて種袋
花の種買ふてすこしくときめけり
物種のいのちつかみて蒔きにけり
花種やふわりと土に混じりたる
うぶすなの犇めく祖母の種袋
花種のすこし凹んでゐるところ
花の種蒔く豌豆も花として