1573号
2026年06月19日
▼政府は防衛費の国内総生産(GDP)比を今年度で1・9%、来年度は2%にする方針だ。自民党は6月9日に示した提言の中で各国が掲げる3~3・5%という数字も例示したという。トランプ米政権の意向に近づけたいということか。安全保障を議論する際に歴代首相は「国民の命と平和な暮らしを守る」と繰り返し述べてきたが、防衛費の増額は果たして平和な暮らしをもたらすのだろうか。
米国で昨年制作されたドキュメンタリー映画『地球最大の敵』を見ると、軍は災いしか生まないことが分かる。同作は自国や同盟国を守るはずの米軍が、世界中の生命を脅かしていると告発する。軍は直接的に人を殺傷するに留まらない。基地由来の有害物質で水質、大気、海洋を汚染し、健康を蝕む。作中に登場する識者によると、それらの汚染は1農薬・除草剤2放射線3VOC(揮発性有機化合物)4PFAS(有機フッ素化合物)に大別される。規模も甚大で、世界に800以上あるとされる米軍基地を通して汚染は拡散する。
アビー・マーティン監督は沖縄も取材し、県が汚染源を特定するための立ち入りを米軍から許されないことに驚愕する。今号の特集は、そんな沖縄から見えてきた軍備増強の問題を考える。(平畑玄洋)
▼この2月の時点で予想されてはいたが、強権的で人権抑圧の可能性がある悪法案が次々と上程・可決されていく。
成立した改正入管難民法は、在日外国人へのいじめに近い。在留資格の更新手数料がなぜ一気に10倍以上引き上げられるのか。内閣に国家情報局を創設する国家情報会議設置法は「戦争準備」を進める。なぜ「市民団体の活動が全部、合法的に国家権力ファイルに吸い込まれ」ることが許されるのか。
衆院で可決し、参院で審議入りした個人情報保護法改正案の隠れた問題点が6月5日号の「きんようアンテナ」(瀬下美和氏執筆)で指摘されていた。公権力の深部に入り、隠された事実を暴き、社会に伝えるメディアの活動が、刑事罰の対象となる可能性があるというのだ。自分たちの足下が危ういことに気づかされた思いだ。
「国論を二分するような政策」に着手している高市早苗首相だが、今週号の「政治時評」で佐藤甲一さんは、首相が「孤立無援」であると喝破されている。自民党議員からも、そして官僚からも本気で支えられていない、「放置」されていると。盤石に見える政権だが、ベテラン政治記者の目には「張りぼて」に見えるらしい。おもしろい。とすれば、攻め所は方々にあるに違いない。(小林和子)
▼さようなら。永遠の別れよ。二度と会うことはないでしょう。もっと一緒にいたかったけど、あなたは私の前から消えてしまった、あの日を境に。
あなたとの別れ、うすうす感じてはいた。いつかはこういう日がくるだろうと予測はしていた。
けれど、別れがこんなに早くくるなんて。一生、一緒にいられるとまでは思ってはいなかったから覚悟はしていたけれど、その日が来てみるとちょっと寂しい。
私たち、うまくいっていたよね? いつでも、どこに行くのも一緒だった。あなたなしでは、私はどこにも行けなかった。
ときどきあなたが私の前から消えることがあったけど、あなたは必ず戻ってきてくれた。こんなに長く一緒にいたのって、あなたが初めてだったような気がするよ。
あなたは今、どこで何をしているの?
私は元気だよ。あなたがいなくなってしばらくはヘンな感じだった。無意識のうちに、駅の雑踏であなたを捜してしまった。
でもね、あなたがいなくなって3カ月。あなたがいない環境にも慣れた。こうやって、いろいろなことをどんどん忘れていくんだろうね。
さようなら、磁気定期券......。(渡辺妙子)
