週刊金曜日 編集後記

1569号

▼映画『オールド・オーク』を見た。英国北東部の寂れた炭鉱の町がシリア難民を受け入れたことで生じる軋轢などを描いた物語だ。主人公は「こども食堂」を開こうとするが、難題が噴出する。「共生」や「連帯」をテーマにした映画で、「希望」も描かれるが、「甘くない現実」も突きつけられる。

 映画が取り上げた2016年の英国は、シリアから最初の難民が到着。EU(欧州連合)離脱を決めた国民投票もあった。離脱の目的の一つは移民削減だったが、EU圏外からの移民は急増。5月7日の地方選で移民規制の厳格化を掲げるリフォームUK(英国改革党)が躍進する背景となった。巨匠ケン・ローチ監督は主人公の言葉を借りて「(こども食堂は)慈善ではなく連帯だ」と訴えかける。

 今号は憲法特集として、差別の現場で闘う2人の弁護士が登場した。宮下萌さんは、弾圧を逃れて日本にやって来たクルド人へのヘイトを懸念する。遠藤比呂通さんは大阪で日雇い労働者らの権利擁護のために闘ってきた。2人の活動を見ると、憲法は単なる「お飾り」ではなく、その理念を骨格として血肉をつけるのは人の営為なのだと改めて感じる。(平畑玄洋)

▼ゴミの分別は自治体によっていろいろだと思いますが、私が住んでいる市は、可燃物とプラスチック製の容器類は分別し、収集日も違います。可燃物はいわゆる普通のゴミで、生ゴミも可燃物の日に出します。プラスチック製容器は四角の中に「プラ」と書いてあるもの、お菓子や食品の袋類や発泡スチロール製のトレー(肉や魚などが入っているアレです)などです。わが家の場合、可燃物よりもプラスチック製容器のほうがゴミの量が多いのですが、みなさまはどうですか? 私たちの生活って本当にプラスチックに依存しているんだなと痛感します。

 ホルムズ海峡封鎖で、ナフサの供給が危ういと言います。さまざまな資材が値上がりし、価格に反映せざるをえない→さらなる物価高――。ならばこの際、視点を変えて、プラスチックに依存する生活を改めることも考えては? ものによってはトレーじゃなくてもいいんじゃないかな、と思うこともたびたび。

 そして政府は「ナフサの供給は確保している。目詰まりしているだけだ」と言いますが(何年か前も同じことを聞いた)、本当ですか?(渡辺妙子)

▼山梨の高齢者施設に入っている母から時々電話がある。

 認知症が以前よりも進んだ母は事実でないことを言うことも増えた。自分がいる場所がわからないときもある。「いま長野に来ているさ」。それが福島であったり、九州であったり......。つい先日はドイツだった。困っているならかわいそうだが、旅行気分のときは、そんなふうに自由に移動できるならいいなあと、聞いているこちらもうらやましくなるときがある。

 そんな母だが、先日の電話は様子が違った。"虐殺の計画が進んでいるらしい。電話では言えないけれど......"。母は新聞も購読しつづけているし、テレビニュースも見ている。ガザやウクライナ、イラン、レバノンなどでたくさんの人が亡くなったニュースを聞いて、それが潜在意識に残ったのだろう。戦時中に少女時代を過ごした母。空襲で甲府が真っ赤に燃えているのを見たという。戦後、結婚してからも「お父さんが戦争にとられたらどうしよう」と心配していたと話してくれたことがある。

 母には「大丈夫だよ、戦争はないし、いまは平和な時代。心配しなくていいよ!」と言いたいのだが、そうは言えない現実に思い当たる。(小林和子)