週刊金曜日 編集後記

1564号

▼『改訂新版 最新 差別語・不快語』(小林健治著、にんげん出版、2000円〔税別〕)が発売されています。10年ぶりの改訂で、2016~25年の具体例を新たに加え、問題視された事例を450以上収録しています。

 改訂版の前書きにこうあります。

〈差別語はある、しかし使ってはいけない差別語などない、ということです。差別語を使ったから問題にされたのではなく、文脈上の「表現の差別性」=差別表現が抗議されたのです。「禁句・言い換え集」を作って差別語を抹消することは、差別語の背後にある現実の差別を隠すことであり、差別をなくすことには繋がりません。〉

〈差別表現→ヘイトスピーチ→ヘイトクライム(差別的憎悪犯罪)→ジェノサイド(集団虐殺)は地続きです。〉

 差別を許さない社会を築くには、現実の差別的実態や社会構造を理解する必要があるとする指摘です。

 同書は(1)基礎編、(2)実践編、(3)具体的な対応策、(4)メディアにおける差別表現問題の現況と課題、の項目があります。45年前からメディアにおける差別語、差別表現に取り組んできた著者の分析は鋭く、表現に関わる人必携の書と言えるでしょう。(伊田浩之)

▼近所に、ずっと担当してもらっている腕も人柄もいいマッサージ師がいる。近隣の話題に精通していて開店閉店情報など教えてくれるので助かってもいるのだが、2年くらい前から「外国人多すぎますよね」という発言が増えてきた。

 たとえば外国人がマンションの高層階を買い占めていて、某マンション最上階に住んでいる人が売却を持ちかけられたとか、近くの小学校は児童の半分が外国人になった、とか。留学生が利用するマンションが近くにできて外国人が増えたのは確かだが、当該小学校の児童の半分が外国人というのは間違いだと知っているのでやんわりと指摘する。その時は「そうですか」と言うのだが、思い込んでいるので同じ話を繰り返す。

 聞けばその人は新聞や雑誌をまったく読まず情報源はスマホの動画やSNSだという。利用者の好みを学習し似たような情報を表示するSNSの仕組みから、排外主義的な言説ばかり目にして、真偽を確認せず信じているのかもしれない。この手の話が始まると、こういう無意識の偏見にどう対応したらいいのか、などと考えてしまい肩が凝る。凝りをほぐしに行っているのに(泣)。(宮本有紀)

▼昨年夏、旭山動物園(北海道旭川市)元園長の小菅正夫さんに取材したとき、「動物が生きるとは何か」という問いかけに対して「自らの遺伝子を残すこと」と指摘されました。遺伝子を残せなかった私は戸惑い、考えてしまいました。

 子どもがいない人について、小菅さんは群れやきょうだいが子どもを育てるオオカミや鳥の例を挙げつつ、「かかわりのある方の子育てをお手伝いできれば、遺伝子を残すという目的に対して役割をしっかり果たしているんじゃないですか」とも話されました。

 かかわりのある子どもたちの顔を思い浮かべました。テレワーク仕事をしている傍らで、猫が前肢を目いっぱい伸ばして寝そべっています。犬はクッションの上で、ほぼ「ヘソ天」状態で爆睡中。それらを見てほっこり。仕事疲れも一気に吹き飛んでしまいます。わが家にとっては、犬猫がかけがえのない家族です。彼も彼女も大切な子どもです。

 高市早苗首相が右傾化をすすめ、改憲や軍備拡張等をした結果、もし戦争ともなれば、犠牲になるのは女性や子ども。そして、犬猫などの動物たちです。「言葉の広場」5月のテーマは、「子どもたちへのメッセージ」です。(秋山晴康)