週刊金曜日 編集後記

1561号

▼月初めに風邪をひいて寝込んでしまった。伏せっている間に、「一強」となった高市早苗内閣を悩ませる事態が進行しているらしい。

 今号「佐藤甲一の政治時評」でも言及されている。

 問題は米国・イスラエルによるイラン攻撃にある。正当な根拠を持たない国際法違反の軍事行動だ。イランも当然反撃、ホルムズ海峡を実質的に封鎖して、米国・イスラエルおよびそのパートナー諸国へは一滴の石油も通過させないと応酬。世界がきな臭くなった。

 そこで3月19日に予定されている日米首脳会談だ。戦闘が長引けばトランプ大統領は"同盟国"である日本に相応の協力を求めてくるだろう。国際法違反の軍事行動に同調できるはずがないが、高市首相は米国に「NO」と言えない。「一強」時代に野党は反対を持ち出すわけにもいくまい。9日、衆議院の予算委員会で中道改革連合の後藤祐一衆議院議員が「(国連決議もない現状で)自衛隊は出せない」ことを確認すると、茂木敏充外相は、「国内法に合致した形でなければ活動はできない」と答えた。とはいえ、当日、どんな詭弁が飛び出さないとも限らない。ぼやぼやしてはいられない。(小林和子)

▼米国とイスラエルによるイランへの侵略が続く。映画『父と家族とわたしのこと』の島田陽磨監督に取材した際、2003年に取材したイラク戦争を引き合いに「既視感がある」と語った。さしたる理由や根拠がないまま為政者が後先も考えずに攻撃を仕掛けた点が類似しているという。イラク戦争で米側の口実になった「大量破壊兵器」は存在せず、泥沼化。地域の不安定化と過激派の台頭も招いた。

 暗いニュースが続くが、心和らぐ話題も届けたい。「ぶんか」欄で2月20日号から月1回の連載「私のプレイリスト」が始まった。今号で2回目。音にまつわるエピソードを紹介していく。初代筆者は作家で作詞家の高橋久美子さん。高橋さんは11年までロックバンド「チャットモンチー」のドラマーとして活躍し、現在は東京と愛媛の二拠点居住で農業にも携わる。

 映画『ガチ☆ボーイ』のエンドロールで疾走感のある「ヒラヒラヒラク秘密ノ扉」が流れた時の感動は今も忘れない。作詞とドラム演奏は高橋さんだ。誌面でも高橋さんが綴る言葉で新しい「音」に出会えるのは心が躍る。(平畑玄洋)

▼2019年4月5日号~同年6月28日号の「くらしの泉」ページで、コラム「ストーカーと向き合って」を連載してくださった小早川明子さんが亡くなりました。NPO法人「ヒューマニティ」を立ち上げ、ストーカー被害者・加害者支援に取り組んでいた方です。

 小早川さんの活動が他の支援団体と違うのは、ストーカー加害者の治療に取り組んでいたことです。ときには加害者を自宅に泊めてまで、ストーカー行為を止めさせようとしているという話を聞いて、命の危険もあるだろうに、なんて勇気がある方なんだろうと、本当にびっくりしました。また、小早川さんから聞いたストーカー行為の数々は、加害者の身勝手な理屈で被害者の人生をぶち壊す、陰惨で酷なものでした。

 連載はストーカーについて、心理学や精神医療の知見を交えて解説した内容でした。最終回では、これからストーカー問題は「凶悪化するだろう」と書かれており、その予言は悲しいかな、的中しています。本にまとめようと思っていましたが、私の怠慢でかないませんでした。まとめられなかったことが悔やまれます。(渡辺妙子)