週刊金曜日 編集後記

1558号

▼「井戸端会議に秘密警察が目を光らせる...高市首相『改憲』で人権蹂躙社会に」――。『朝日新聞』2月17日付に掲載された『女性自身』の広告を見て思わず手をたたいた。これほど今回の選挙後の「悪夢」を見事に表現した見出しがあるだろうか。『週刊金曜日』もこのセンスを見習わなければ。高市早苗首相は、8日の衆院選自民党大勝翌日の記者会見で、憲法改正への意欲を隠さなかった。高市政権は今後、「国論を二分する」政策を推し進めていくだろう。「スパイ防止法」について、政府は今夏にも有識者会議を設置する方向で調整に入ったとされる。日本版CIA(中央情報局)といわれる国家情報局の創設も視野に入る。武器輸出も拡大する方向だという。そして最終的には憲法改正? 

 メディア史研究者の有山輝雄さんは『朝日新聞』2月14日付で、「中立という概念を利用することでジャーナリズムが『独立』を失っていないか」と問うた。本誌は今こそ「独立言論」として「改憲反対」を唱えていくべきだと考える。「戦争できる国」にしないためにも。(文聖姫)

▼かつて広告業界誌編集者だった身として、先に発表された電通の過去最大の赤字(約3276億円)という年間決算には愕然とせざるをえない。国内を中心とした本業の売上利益は微増だったが、海外事業の不振により巨額の減損損失計上を余儀なくされたのだ。

 最盛期に連結売上高2兆円超を誇った"世界最大の広告会社"も実は日本国内の実績がほとんど。ならばと2000年代以降進めたM&A主体での海外展開の無残な帰結が前記の数字だ。目下は海外部門の縮小や撤退、はては現本社ビルや全盛期の名残を伝える銀座の旧本社ビルの売却に迫られた。創業者の光永星郎は今頃あの世で現状を満州国の末期あたりにダブらせているのではなかろうか。

 ......と、そのあたりの古い話は往年の弊社刊『電通の正体』でも触れています。同書の「武富士」問題関連の章にはなぜか私も登場人物(?)として出てきますのでご笑覧くださればと。それにしても、サラ金CMで悪名を轟かせたその武富士もすでにない。今回の電通決算とも合わせて広告業界の栄枯盛衰に思いを馳せた2月末。(岩本太郎)

▼本誌編集部へ去年3月に入り、そろそろ丸1年となります。担当ページも増え、筆者や他誌編集者との交流も生まれ、これまでは会えるはずもなかった人と取材で会えるように。先日から出版社の協賛広告も担当し、若い頃に町工場で8年務めていた営業職の経験が、今頃役に立っとります。

 2008年のリーマン・ショックで工場はつぶれました。あれこれ考えた挙句、40代でライター・編集の世界へ。ウェブサイトや業界新聞などの編集部を転々とし、本誌にたどり着きました。

 本誌編集部のある東京・日本橋浜町と、隣の日本橋人形町。頭に日本橋がつくこの界隈は下町です。見知らぬ女性から「ピアニカ吹いてた人ね」と声をかけられたことが。編集部近くの隅田川の土手っぷちで練習しているのを見かけたのでしょう。「鎌田さんこんちは~」。スーパーへ買い物に来たベトナム料理屋さん、銀行へ向かうラーメン屋さんが、僕を見かけては声をかけてくれるのですよ。名前を覚えてくれていることも含め、他の町ではなかったこと。ではでは、2年目ですぞ。(鎌田浩昭)