週刊金曜日 編集後記

1559号

▼仁藤夢乃さんと田中優子さんの対談は盛り上がって予定時間を超えた。掲載できたのは全体の7分の1程度だがそれでも内容は濃い。理不尽な攻撃を受けながらも決して潰されず、権力・権威におもねらない仁藤さんに敬服する。

 地方で講演すると、質問タイムに挙手して「女性差別のつもりはない」などと反論する男性がよくいるのだとか。その時は「質問したい人がいるのに、なぜ一番に手を挙げて私にそういうことを言いたくなってしまうのか、そのことに向き合っていただきたい」とぴしゃり。そうすると、その男性と一緒に活動している女性たちが後でトイレに集まり「言ってくれてありがとう」と盛り上がるそうだ。「わからないおじさんに理解させようとは思っていない。でも地方は特に男尊女卑が残っているから、大変な思いをしている女性たちのエンパワメントのために言う」と仁藤さん。格好よすぎる~。

 田中さんも「女子トイレに集まるの、よくあるよね。某番組の後も、えらそうな△△のことで......」と体験談。女性たちはこうして話すことで心の浄化をはかるのだ。

 世代を超えたお二人の連帯を見ていて、長谷川時雨の名言「女が女の味方をしないでどうしますか」を思い出した。(宮本有紀)

▼3月6日号から新連載「阪清和の芸能時評」が始まりました。毎月第1週に掲載する予定です。

 阪清和さんは、共同通信社で31年間記者活動をしていたベテランです。映画や演劇、音楽、ドラマ、漫画、現代アートなどの取材経験が豊富で、日本レコード大賞の審査員を務めていたこともあります。

 本誌では「談志が遺したもの」(2017年11月17日号)、「ラジオが面白い」(21年8月20日号)の山崎怜奈さん、森山良子さん取材、最近では「新宿ピットイン60周年」(25年12月19日号)などでご活躍いただきました。その柔らかで味わい深い筆致を覚えてくださっている方も多いでしょう。

 週刊誌『朝日ジャーナル』の編集長や本誌編集委員を務めた故・筑紫哲也氏は、雑誌には「踊り場」が必要だとよく話していました。

 連載では、豊富な経験を基にさまざまな芸能情報を取り上げていく予定です。ご期待ください。

 さて、四国電力伊方原発3号機(愛媛県伊方町)の運転差し止めを求めた集団訴訟で、山口地裁岩国支部(小川暁裁判長)は2月26日、住民側の請求を棄却しました。原子力規制委員会の裁量を広く認める内容の判決が相次いでいますが、中部電力の偽装問題で審査能力が疑われています。批判記事を準備しています。(伊田浩之)

▼今号の松元ヒロさんの「写日記」でも取り上げられていますが、橋本勝さんの訃報が届きました。創刊当初から何度もご寄稿いただき、「橋本勝の風刺画報」は2019年3月29日号から24年5月17日号までの全60回、連載いただきました。

「風刺漫画」をライフワークとされてきた橋本さんですが、連載中には「風刺漫画」の描き手が減ってきている現状を嘆かれていました。風刺には批判精神に加えて笑いのセンスも必要。翼賛体質からは到底生まれません。訃報に触れ、批判が許されない空気に変わりつつある世界を風刺漫画で描くとどうなるのか、今こそ見てみたいと思いました。

『週刊金曜日』オリジナルTシャツに描いていただいた、笑顔の人々が手をつないで9条の9を形作り地球を囲むモチーフも素敵ですが、本誌連載で描いている、おびただしい数の兵士によって作られた戦車のモチーフには戦争の本質を見せつけられ、強く印象に残っています。平和への思いと批判精神は本誌で受け継いでいかなくてはと改めて感じています。

 Tシャツはネットショップで発売中です。
販売ページhttps://kinyobi.official.ec/categories/1591646(志水邦江)