1547号
2025年11月28日
▼「選択的夫婦別姓」や「同性婚」にも反対の立場をとる、女性初の総理大臣・高市早苗さん。米国原子力空母の艦上で、ぴょんぴょん跳ねた振る舞いにはドン引きしたものの、まだご愛嬌だと思っていた。しかし「トランプ大統領にノーベル平和賞」を推薦したとの報道にこの人物は正気なのかと訝しみ、「台湾有事の際の存立危機事態発言」に至っては、首相どころかリーダーにしてはいけない存在であるとの思いに至った。
お調子者なのか自己顕示欲の塊なのか、発する言葉に後先無し。中国と緊張が高まるなかで「非核三原則」見直しを検討だって? どこまで相手を挑発すれば気が済むのだろう。
異常なほどの支持率の高さ、政権に好意的なメディアの報道、礼賛だらけのネットの書き込み。どれも劣化の進んだ「安倍政治」の空気感だ。
ふと2014年に亡くなった菅原文太さんの言葉に想いを馳せる。
「政治の役割は二つあります。一つは国民を飢えさせないこと、安全な食べ物を食べさせること。もう一つは、これは最も大事です。絶対に戦争をしないこと」
そしてこうも思うのです。今こそ『週刊金曜日』の出番ではないかと!(町田明穂)
▼人口約4000人の村にシカが約6000頭まで増えてしまったという九州のX村を訪ねたのは今から24年前。雑木林を伐採のうえ植林を進めた結果、そこに棲んでいたタヌキ(シカの天敵)が全滅。増えたシカが人里まで下りてきて農作物を荒らす被害が続発したということで、その解決策を都市部のメディア関係者とも一緒に考えようという集いに出席したのだ。
「さっさと駆除しときゃよかったんじゃ!」と球磨焼酎をあおりつつ力説する地元林業組合長に、差し向かいで酔いが回った私は「もう人よりシカのほうが多いんだから彼らに大政奉還すべきです。サルやイノシシもまじえた霊長類円卓会議を早急に開いて彼らの意見も聞きましょう!」と提案(?)。
怒られるかと思ったが、参加者の方も真面目に聞いてくださった結果、最終的に「X村はシカとの共存による村づくりを目指す」との集会宣言に、それは活かされた。
「村だけじゃいかんとよ。もっといろんな人たちに知ってもらって意見も聞かんと」と村の人たちに逆にしみじみ言われたのだった。以後、再訪の機会はないが、今頃あの村はどうなっているだろう。全国各地からのクマ出没の報道、それをめぐる多事争論を見ながら脳裏に蘇る思い出だ。(岩本太郎)
▼十数年前、天皇(当時)を手術したA医師に取材したときのこと。自信をつけるため、不安を解消するためひたすら手術したと言い、「術中に偶発的なことが起きても、何事もなかったかのように終わらせられる引き出しをたくさん持っていることが大切です」との言葉が印象的でした。どんな仕事にも通じる心がけだと思います。
そのとき、制作していた5大病を取り上げた医療本で「心臓病のQ&A」の監修をお願いしたのが、当時、A医師の下で大学の准教授を務めていたM医師でした。ある日、M医師から「テレビドラマの医療の技術指導をした」とうかがいました。無名塾を創設した仲代達矢さんとともに、塾生の知人俳優らも出演していたNHKドラマ「破裂」(2015年度)がそれで、不思議なご縁を感じました。
東京・世田谷区の無名塾仲代劇堂での舞台観劇やパーティに参加するとき、手前の20%を超える傾斜の急坂を上らなければなりません。「無名坂」と呼ばれているそうで、知人の一人は自転車でこの坂をかけ上がって稽古に通ったと聞き、俳優は体力勝負なんだな、と思ったことがあります。仲代さんの訃報に接し、謹んで哀悼の意を表します。「言葉の広場」12月のテーマは「ドラマ」です。ご投稿をお待ちしています。(秋山晴康)
