1542号
2025年10月24日
▼新シリーズ「どうする日本政治?多党化時代を問う」を今号から開始します。今号の校了日は、臨時国会開会の前日(10月20日)のため、新首相については残念ながら載っていません。
ただ、この連載は、最新の政治状況についても当然意識しますが、もう少し長い視点で、日本の政治や社会のあるべき姿をさまざまな方に論じていただきます。日本が本格的な多党時代を迎えたと考えているからです。自民党が今後、衆参両院で過半数の議席を獲得することはないでしょう。有権者の広範な利害を代表し調整する?国民政党?ではなくなったからです。
今後の日本政治が、「穏健な多党制」になるのか、それともイタリアの政治学者、ジョヴァンニ・サルトーリが懸念した「分極的多党制」(『現代政党学』1976年、早稲田大学出版部)になるのかはまだ見通せません。
「正解」がないテーマですから、シリーズの総合リードでも書いたとおり、さまざまな「異論反論」をお寄せいただければ幸いです。登場していただきたい方の推薦も受け付けます。一緒に考えていきましょう。(伊田浩之)
▼すべての感情が消え失せたように茫然自失したアフガニスタンの少女の顔が忘れられない。タリバン政権下での強制的な児童婚の実態を浮き彫りにするドキュメンタリー映画『ハワの手習い』の一場面だ。2021年8月、彼女はイスラム原理主義組織のタリバンが再び政権を奪取するニュースを見ていた。日本の中学生にあたる年頃だが、望まぬ結婚をさせられる運命が決まった瞬間でもあった。
10月16日に閉幕した山形国際ドキュメンタリー映画祭で、市民賞を取った同作を見ることができた。続いて上映された同国の『撃たれた自由の声を撮れ』は、タリバンに奪われた人権を取り戻そうと、命懸けでデモに繰り出す女性たちの姿を記録していた。女性たちは黙っていては現政権を認めることになると考え、衣服の下に隠したスマートフォンでデモの様子を撮り、国内外へ伝えようとする。
『ハワの手習い』のナジーバ・ヌーリ監督は、自身の作品が描き出すのはアフガニスタンの現状を見て見ぬふりをする世界の様子でもあると語ったという。本誌でも改めて取り上げたい。(平畑玄洋)
▼スーパーの通路で、ふと立ち止まることが増えた。手に取った商品の裏側にある成分表示の小さな文字をじっと見つめ、「これ、大丈夫かな?」「この成分、本誌の『新・買ってはいけない』で見たかも......」。そんなふうに自問しながら、別の棚へ移る。
以前から、添加物や保存料はなんとなく気にはしていたけれど、子どもが生まれてからは「気になる」から「確認する」に変わった。
便利な加工食品もたくさんあるし、忙しい日には頼りたくなる。それでも、できるだけ自然に近い素材を選びたい。そんな気持ちが、心のどこかにいつもある。迷いながら選んだ食材は、かごの中でどこか誇らしげだ。
最近では、出汁もパックではなく、鰹節や昆布から取るようになった。やってみると案外簡単で、何より香りが違う。わが家の食卓はいつの間にか塩分控えめが主流になり、それは結果的に、自分の体を労ることにもつながっている。「子どものために」と始めたことが、自分にも返ってくる。そんな日々が、なんだかちょっと嬉しくなる。(桑島未樹)
