週刊金曜日 編集後記

1537号

▼10・7(2023年ガザ蜂起)からまもなく3年目を迎える。血なまぐさいニュースが飛び込んできた。カタールでガザの停戦協議に臨んでいたハマースの交渉団をイスラエルが攻撃し、メンバーら6人が殺害されたというものだ。国連総会も間近のこの期に及んで。ネタニヤフ首相は登壇が予定されているではないか。

 今週号の小田切拓氏による連載「ガザに続く西岸の破壊と『収容所』化」の5回目を読むと、停戦成立の可否に拘わらず、イスラエルの政治的・軍事的戦略は不変であることを思い知らされる。国際社会はそこを忘れてはなるまい。

 ここで、本連載が5月23日号の4回目から4カ月間中断してしまったことについて読者にお詫びをしたい。編集担当をしている私が体調を崩したことが大きな理由だ。筆者の小田切さんにもご迷惑をおかけした。記事で示す地図は、70回以上パレスチナ入りし、現地を関係者とくまなく取材してきた小田切さんが、4月の現地調査とその後の情報を取り入れて作成した貴重なものだ。週刊誌のペースで地図を作り込むには、デザイナーやDTP担当者の協力も欠かせない。間は空いたが、大事な局面で再開できてよかった。小田切さん、ありがとう。(小林和子)

▼愛する広島東洋カープがぐわんぐわんぐわんに負け続け、今年もBクラスで確定か。そのような日々の中、さまざまな取材に出向く。気温が37度に達し、あっという間に日焼けしようが、新たな人との出会いとコミュニケーションは格別です。9月12日号50頁「『金曜日』で逢いましょう」では、ミャンマーにルーツを持つ初のJリーガー、カウン ゼン マラ選手と対面しました。強い自我を持つアスリートもメディアで多く見かける中、彼は驚くほど謙虚。自身のポテンシャルやスキルをそれほど評価していません。試合前の勝負メシを尋ねるも、寮でトレーナーの管理した献立を食べるだけですと即答。即座にファンになってしまいました。彼のデビュー戦には必ず駆けつけます。

 そして今週号50頁では、映画『宝島』監督の大友啓史さんに取材。映画誌の取材ではあまり語らないような、社会や政治についても深く掘り下げて語ってくれました。監督と私は年齢が近く、感銘を受けた映画も『1900年』『ドゥ・ザ・ライト・シング』などなど。『宝島』が抱えるテーマである「社会と個人」「暴動へのシンパシー」と重なります。なお、大好きだったドラマ「ちゅらさん」も大友さんの演出です。(鎌田浩昭)

▼こちらの進行上の都合ではあるが、石破茂首相の辞任表明のタイミングが悪すぎる!

 ここ数年、郵便配達や印刷所の事情変更により、校了日と締切が早くなった。発売時に内容が古くならないように気をつけてはいるが、漫画は進行に時間がかかるので「さらん日記」は案を練る日付が早い。さらに9月19日号は15日が敬老の日で休日のため校了日が発売日の1週間前なので、かなり早めに内容を練っていた。当初は「石破おろしは劣勢」前提で構成していたが、入稿してから「石破辞任表明」が報じられたのだ。しかも、ちょうど作者は戦時中の加害に関するスタディーツアーに参加していて海外滞在中。なんとか連絡をとりあって修正することができたが、終始ハラハラだった。

 思えば、2020年に「安倍首相辞任」が報じられた時も、同じようなことがあったと思い出す。当時は火曜日が校了日だったので今より余裕をもって対応できたが、07年の第1次安倍政権時の「首相辞任報道」には当時の編集長が青ざめた。すでに刷り上がっていた表紙で、首相辞任を求めていたためだ。タイミングが悪すぎると頭を抱えたが、意外と販売成績は悪くなくて救われた。懐かしくはあるが、こういうスリルはもう体験したくない。(宮本有紀)