週刊金曜日 編集後記

740号

▼医者、政治家、弁護士……。「“先生”と呼ばれる職業にロクな人はいない」とよく言われる。「先生、先生」と敬称で呼ばれると、自分が他人より高い位置にいると、錯覚してしまうのだろうか。聖職者もそうだ。和尚様、神父様、牧師様……。こちらは信者から “様”をつけて呼ばれることが多い。

 小社に勤めて約一年。『週刊金曜日』という名前だけで、罵詈雑言を浴びせられることがある。本誌に対して、様々な意見があってよいのだが、やはり気持ちのよくない言葉もある。逆に「すごい仕事をしているね。“エライ” ね」と言われることもある。勤めているだけで “エライ” と言われると、何だか変な気分がしてしまう。もちろんうれしくはなるが、お褒めの言葉をそのまま受け止めてはいけない。だって、私自身は何も “エライ”ことなどしていないのだから。多くの執筆者や読者に支えられ、日々の仕事に従事しているに過ぎない。誇りと驕りは異なるもの。訳のわからぬ驕りが出ては、本誌は終わりだと思う。驕れるものは久しからず。(赤岩友香)

▼一〇年間続いた「新宿 <夜の> 読者会」が二月一八日、一二〇回で最終回を迎えました。お店の経営者、高本さんがご家族の介護などの理由で実家に帰るためです。あるSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)に高本さんはこう書いています。<少ないときでも4人、多いときは18人が参加しました。いろんな話題に花が咲き、ときには意見や主張の相異もありましたが、振り返れば楽しい思い出ばかりです> <これからも「週刊金曜日」の読者でありつづけ、ときには励まし、ときには厳しく、本誌を応援しつづけたいと思います。貧弱な福祉行政に対する問題提起など、読み応えのある記事をこれからも期待します>

 私も最終回に参加し、読者のみなさまと話をさせていただきました。読者の生の声を聞ける機会が一つ減ったことに寂しさを覚えるとともに、全国で読者会を運営してくださっている方々にあらためて感謝の念を深くしました。

 詩人でもある高本さんの新生活に幸多いことを願い、期待に応えられる誌面づくりに今後も努力を重ねたいと思います。(伊田浩之)

▼京都と温泉街は、殺人事件が多いと思う。これはもちろんドラマでの話。断崖や海辺での犯人の告白は、お約束のパターン。わかっていても、ついつい見続けてしまうのは私だけではないはず。

 最後は必ず人のよさそうな刑事なんか(船越英一郎とか)が出てきて、「(刑務所から出てくるまで)お母さんはきっと待っててくれるよ」などと犯人を諭す。

 が、二?三人も殺しておいて、それって本当? とこのごろはツッコミたくなる。今は一人でも殺せば死刑になるし、死刑の執行も増えている。それに、裁判員制度がはじまると量刑は重たくなると言われているし……。

 安易な赦しは犯罪を助長する、なんて言わないけれど、現実は実にきびしい。きびしいからこそ、ドラマにやさしさを求めているのか。制作者は現実をどう受け止めようとしているのか、聞いてみたくなった。(吉田亮子)

▼暮らしページの年金コラムは今号で終わり。社会保険庁が日本年金機構になっても、全然期待はできないようです。消えた年金記録問題、いつ解決するんでしょう?はたまた現役世代のひとりとしては、将来の年金支給がどうなるのかとても心配です、というより、もうあきらめですな。酒飲んで会見しているヒマがあったら、一日も早くどうにかしろよ。ってゆーか、誰の金でワイン飲んでるんだ! と言いたいです、私は。

 さてさて次号からは、新しいコラムが始まります。星の数ほどあることわざの中から、食や健康にまつわる八本を厳選、それぞれのいわれや、現代の生活に生かす方法などを解説していきます。題して「わざわざことわざ」。筆者は菜食フードライフ研究家の沢木みずほさん。どうぞお楽しみに。

 また暮らしページでは、現在、自給率についての連載をしています。四〇%という低い自給率のままでいいのか、自給率を上げるにはどうしたらいいのか、などなど、考えるきっかけになればと思います。ご意見・ご感想などお聞かせください。(渡辺妙子)