週刊金曜日 編集後記

1461号

▼ウクライナ出身の女性がミス日本に選ばれ、彼女がミス"日本"にふさわしいかどうかで賛否両論、炎上しました。そしてそのさなか、彼女が妻子ある男性と不倫関係にあることが報道され、さらに炎上。結局、彼女はミス日本を辞退しました――。

 この件、さまざまなトピックが内包されており、人によって問題点はいろいろだと思います。私も感じることは多々ありますが、まずは、いいかげん、不倫ジャーナリズムなんてやめろよ! と声を大にして言いたい。興味ないですよ、ミス日本だろうが何だろうが、別に私の人生に関係ない、そんな人たちの恋愛問題なんか全然興味ないわけですよ。

 ミス日本辞退という結末も、なんで女のほうだけ不利益を被らされるのか。もちろん、ご本人の考えがあるので部外者が決めつけるのはいけないですが、はためにはそう見えます。(渡辺妙子)

▼「岩本さんはオウム信者の人権を守れという立場ですよね?」

 22年前、フリーライターとしてオウム真理教問題を追う中、教団移転をめぐって騒動が起きた東京都内某所で信者と住民の対話集会を催した際、『週刊新潮』の記者が私にそう電話取材してきた。

「いや~オウム信者とフリーライターに人権なんかありませんよ」と私は(無論冗談で)答えたが、後日出た同誌の記事にはコメントどころか私の名前すら掲載なし。

「住民側が反発していますが」という『朝日新聞』の記者の電話に「あえて悪役を買って出ました」と答えたのは、そのまま記事に。特に反響もなく集会も無事開催できたが、『朝日』を購読する実家の親に「いい加減にしなさい!」と電話で怒られたのが唯一の抗議(?)。先日の本誌取材をめぐる暇な某氏とのネットでのやり取りで、そんな往時の体験を懐かしく思い出した次第。(岩本太郎)

▼音楽ドキュメンタリー映画『モンタレー・ポップ』。日本で正式に劇場公開されたことのない本作が、今回レストアされた最良の状態で上映されることになった。監督のD・A・ペネベイカーによる秀逸な映像構成とリアルに復元された音の迫力が素晴らしい。

 1967年6月、音楽界では歴史の分岐点となるふたつの事件が起きた。ビートルズの『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』のリリースと、世界初の大規模なロックイベント、「モンタレー国際ポップフェスティバル」の開催だ。3日間で20万人以上の観客を動員。ジミ・ヘンドリックス、ジャニス・ジョプリン、オーティス・レディングの伝説のステージ、そしてラヴィ・シャンカールの圧倒的な演奏は、歴史的な出来事として長く語り継がれている。3月15日より渋谷・シネクイント、立川・シネマシティほかで公開の予定。(本田政昭)

▼最近いろいろな年代の方とお話しする機会が増えた。限られた人間関係の中で過ごしていた時期に比べると超刺激的だ。特に現役で「娘」を生きている方との話はなかなか心持ちが定まらない。

 私自身がどちらかというと「悪い娘」だったこともあり、母親の悪口で友人と盛り上がった夜は数え切れず、説教に付き合うのも自分にとっては十分すぎる親孝行のうちだった。そんな私に母は腹を立て「馬鹿にして!」とよくキレていた。私としてはまったく馬鹿になどしておらず、大波に耐える岩のような気持ちだったのに。

 母を送り、同世代の子を持つ身となった今、「娘」たちから親への不満を聞くたびに、共感しつつも、母の言葉は、どんなに心配しても自分の思う通りにならない「娘=私」への無力感からだったのだと思いいたすのだ。もうすぐ母の好きだったこぶしの花が咲く季節がやってくる。(志水邦江)