敗戦81年
終わらない戦禍
抑止力で
平和はつくれない

敗戦から81年。ウクライナ、ガザ、イランなど世界はいまだ戦争が絶えない。二度の大戦の反省から、平和と人権の世紀を目指した21世紀の国際社会は、米国、ロシアの軍事超大国がそれぞれ戦火を交える当事者という難題を抱えたまま、なすすべもない。平和憲法を掲げ、唯一の戦争被爆国でもある日本もまた同じだ。高市早苗首相はトランプ米大統領に追随し、防衛費増額、殺傷能力のある武器輸出解禁、先制攻撃ができる国家へと突き進む。憲法の理想が遠のくなか、「敗戦81年」特集では、軍靴の音が近づく現場から報告する。

  • 世界の破滅を回避する三つの実践
    軍拡を止める非核の安全保障へ
    川崎哲

    日本を含む各国で軍備増強が進み、世界は終末時計が示す「破滅」へと近づいているように見える。「抑止力」に頼らず、戦争を回避する道はあるのか。核廃絶に向けた世界の潮流に詳しいピースボートの川崎哲さんが、平和をたぐり寄せるための展望を示す。

  • 横須賀・熊本 長射程ミサイルが配備された町を歩く(上)
    「健軍駐屯地に置いた途端攻撃対象」
    平和デモに参加した元海上自衛官

    半田滋

    今年3月、長射程ミサイルが熊本・健軍駐屯地と静岡・富士駐屯地に配備された。敵の射程外からの攻撃を可能とする「スタンド・オフ・ミサイル」で、国内初。今後、全国で合計7カ所に配備される計画だ。2027年度中に艦発型が護衛艦「てるづき」に搭載される横須賀では、意外な人物がデモに参加していた。

  • 沖縄・与那国島 「南西シフト」最前線、基地拡大が地域に与える影響
    隣の自衛官”をめぐる複雑な住民感情
    西村仁美

    2016年に陸上自衛隊の駐屯地ができるまで、国境に向き合いながらも島にある武器は「駐在所の警官が持つ拳銃2丁だけ」と言われた日本最西端の沖縄県・与那国島。そんなのどかな島でじわじわと進む基地拡張の動きは、島の暮らしにもさまざまな場面で影響を及ぼしつつある。今や“隣人”として共存するようになった自衛隊の存在を、島の人々はどのような思いで見つめているのか。

  • イスラエル、ウクライナ、ロシア、ドイツの若者が平和会議で討論
    私たちが兵役を拒否した理由
    駒林歩美

    世界各地に広がる戦禍。その前線へと送り出されるのは、いつの時代も決まって未来ある若者たちだ。だが、戦争当事国にあっても暴力に抗う若者たちがいる。今年2月、ドイツで各国の閣僚が集う「ミュンヘン安全保障会議」に対抗し、市民団体によって開かれた「ミュンヘン平和会議」には、そんな若者たちが結集。「I Refuse(私は拒否する)」と題したパネル討論で、決断の理由や母国の現状を語り合った。

  • 武器供与に傾斜する日本の責任を問う
    フィリピンへの軍事支援
    民間人弾圧に加担の恐れ

    波多江秀枝

    日本政府は2023年に創設したOSA(政府安全保障能力強化支援)の枠組みを使い、フィリピンへの武器供与を強力に推し進めている。だが、フィリピン政府は長年、「治安・テロ対策」の名目で政府に批判的な民間人を弾圧し、裁判を経ない「超法規的殺害」の対象にもしてきた。日本の軍事支援が意図せぬ形で同国内の人権侵害に加担する恐れはないのか。国際環境NGO「FoE Japan」の波多江秀枝さんが現地から報告する。

  • 「戦争の反省」揺らぐドイツからある芸術家による問いかけ
    記憶は民主主義を支えるのか
    劉載鉉

    戦争への深い反省から徹底した歴史教育を行なってきたドイツ。だが、極右政党の台頭とともに、社会が共有してきた記憶そのものの枠組みが書き換えられるのではないか──ドイツ在住の芸術家はそんな危機感を抱く。被害者や少数者の声を含む多層的な記憶をいかに次世代につなげていくのか。芸術と教育、市民社会が果たす使命について考える。

  • 不謹慎な旅
    車窓の軍事機密 宮澤レーン事件
    木村聡

    太平洋戦争開戦と同時にスパイに仕立て上げられた大学生と教師。戦時体制下で改正した法律では「軍が秘密と言えば秘密」だった。やがて世を覆う不気味な監視に疑心暗鬼、到来する沈黙。根室から札幌。若者の前途と命を奪った“軍機”の風景に向かう。


  • 平和を思うTVドキュメンタリーと映画
    ワタナベ=アキラ
  • 『バグダッド・メッシ 片足のサッカー少年』サヒム・オマール・カリファ監督に聞く
    主役少年も爆破被害者
    「世界中で共感できる物語だ」

    鈴木隆

    イラク・バグダッドで、米国の民間軍事会社と反政府武装勢力との銃撃戦に巻き込まれて左足を失ったサッカー少年が、両親やチームの仲間とともに必死に生き抜こうとする姿を描いた。8月7日公開の『バグダッド・メッシ 片足のサッカー少年』は、戦禍のなかで、アルゼンチン代表のエース・メッシ選手への憧れやサッカー選手になる夢が交差する物語だ。サヒム・オマール・カリファ監督にインタビューした。

  • 凱風快晴ときどき曇り 特別編
    日本の「次の戦争」 内田 樹
  • 芸能時評(6)
    現代人らしいテーマを問うミュージカル 阪 清和
  • くらしの泉
    【食】
    知らぬ間に賞味期限が延びていた
    消費者が気をつけるべきは?
    垣田達哉
  • 新・買ってはいけない(429)
    「トマトケチャップ」は加工でん粉に
    気をつけて選んでください
    沢木みずほ
  • 全面侵攻から5年目
    ウクライナ 心の占領に抗う人々 (最終回)
    侵略には沈黙せず 祖国の未来を信じて 表現続ける芸術家たち
    先川信一郎
  • パレスチナからの報告
    イラン攻撃とイスラエルの野望 ?
    抑圧の手法と構造
    シオニズムの稜線を削るために
    小田切拓

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