
映画で考える 戦争と平和
敗戦81年
終わらない戦禍
アジア太平洋戦争の終結から81年。世界各地で大国による武力行使が絶えないなか、今夏も戦争の暴力が生む悲劇に向き合う映画が次々と生まれている。スクリーンが映し出すのは「遠い過去の出来事」ではなく、今を生きる私たちへの切実な問いかけだ。「戦争孤児」や「戦争トラウマ」などテーマは多彩で、私たちが目を背けてきた問題も突きつける。本誌8月7日・14日合併号へ続くシリーズ「敗戦81年終わらない戦禍」の「映画編」として、注目作品の監督インタビューを交えながら戦争と平和を考える。
- 【対談】西川美和 ×武田砂鉄
『わたしの知らない子どもたち』
戦争孤児の実像と記憶の継承戦争孤児の実像と、その記憶をどう継承するか──。西川美和監督が新作『わたしの知らない子どもたち』で向き合ったのは、戦後の闇に置き去りにされた子どもたちの声なき歴史だった。その歴史は今も世界の戦禍と地続きだ。為政者が記憶の継承を拒む中、次世代へどう手渡すのか。西川監督と社会問題や文化論など幅広い領域で執筆活動を行なうライターの武田砂鉄氏が語り合う。
- 『ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?』塚本晋也監督に聞く
「加害」に向き合うベトナム帰還兵描く肉体を破壊する行為に蝕まれる精神、狂気と生命のせめぎ合い。塚本晋也監督の新作『ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?』は、ベトナムの戦場に送り込まれた米国人兵が主人公だ。アジア太平洋戦争末期のフィリピンで、飢餓に陥った日本兵同士がまさに“食うか食われるか”の極限の中、人間性を崩壊させていく『野火』(2014年)、幕末の武士たちを通して武器と暴力のリアリティと葛藤を描いた『斬、』(18年)、敗戦後の日本の闇市の片隅で傷だらけで生きる人々を描いた『ほかげ』(23年)などの近作で、人間を内側から破壊するような戦争の暴力に肉薄し続けてきた塚本監督が、今回も独自の世界観と解像度の高い映像の力で、戦争の不可逆的な破壊性にアプローチする。その情熱の源泉はどこにあるのか。
- 『八月の声を運ぶ男』柴田岳志監督に聞く
忘却進む時代に抗い被爆者の人生と向き合う昨夏、戦後80年ドラマとしてNHKで放送され、数々の賞に輝いたドラマに未公開シーンを追加した映画『八月の声を運ぶ男』が8月21日から上映される。1000人以上の証言を集めたジャーナリストと被爆者との出会いと葛藤、「伝える」ことの意味を問いかける。企画当初から関わった柴田岳志監督に映画化への思いを聞いた。
- 『ヒトラーの毒見役』シルヴィオ・ソルディーニ監督に聞く
ヒトラーに「貢献」した過去を
95歳で証言した女性2012年、95歳になったばかりのマルゴット・ヴェルク(1917〜2014年)は70年近い沈黙を破り、封印してきた過去をドイツのメディアに公表した。「私はヒトラーの毒見役だった」。その証言をもとにした小説が今回、シルヴィオ・ソルディーニ監督の手で映画化された。息詰まるような閉鎖空間で、映画は戦争の暴力を静かに緊張感を持って描き出す。
- 『ハワの手習い』ナジーバ・ヌーリ監督に聞く
52歳で読み書きを学び始めた
母の闘い/
『撃たれた自由の声を撮れ』
ザイナブ・エンテザール監督
現地で闘うことを
選んだ女性たちの5カ月を記録タリバン政権によって社会から抹殺されつつある女性たちの抵抗を、女性の目で見つめたドキュメンタリー2本が8月に公開される。それぞれ視点も手法も異なるが、あきらめない女性たちの闘いが沈黙する世界に突き付けられる。
- 『原爆資料館 語り継ぐものたち』
記憶継ぐ被爆地の
使命世界へ届ける広島ホームテレビが開局55周年で制作したドキュメンタリー映画『原爆資料館 語り継ぐものたち』が公開中だ。被爆の実相、核廃絶と世界恒久平和の実現に寄与する目的で設立された原爆資料館を本格的に描いた初の映画。斉藤俊幸監督、プロデューサーと監督も務めた立川直樹らスタッフの想いを聞いた。
- どうする日本政治 高市一強を問う
- 選挙・政治アドバイザー、久米晃氏(元自民党事務局長)インタビュー
高市首相の国会対応は「赤点」
結果が問われる局面がくる - 「五月」の光の飛沫を浴びる韓国の旅から
生者と死者の入会地の豊饒 - 【提携連載企画】 〈人質司法〉 悪党たち 17
裏切った労組が立ち上げた「メディア」の正体
経営側から労働組合への2億8866万円 - 連 載
ヴィパッサナー瞑想体験記2(13・最終回) - 【連載】これからどうする?
崖っぷちから振り返る - くらしの泉
【PFAS】
スウェーデンの大規模研究で判明
PFASは心臓や脳の病気も増やす - きんようぶんか
【本】
『平和を求める自由』
『越境者ラデク ロシア革命までの東欧世界1885-1917』
『22世紀の戦争論』
【映画】『叛逆のサウンドトラック』
【音楽】『極致? 8 トラックス』
【美術】「杉本博司 絶滅写真」
【TVドキュメンタリー】








