1585号
2026年09月18日
▼ジェンダー情報欄でとりあげているが、「売買春に係る規制の在り方検討会」の議論には、性売買の本質は女性への暴力だという視点も、お金のために性を売らなくても生きていける社会をつくるというビジョンもない。
何より日本社会の暗黒ぶりをさらけだしてくれたのが、風俗業界に詳しいグラディアトル法律事務所代表の若林翔弁護士の発言だ。「(性風俗産業は)2兆円から5兆円くらいの市場規模がある」「性風俗産業の周辺には、広告代理店や広告会社、不動産関係の会社といったものもあり(略)含めてかなり大きな市場」で「金銭を伴う性交類似行為を禁止するという規定にする場合には、性風俗産業は、ほとんど全滅する」と案じている。こういう人をヒアリングに呼ぶ検討会だから「業界より人権を重視」という方向にはならない。結局、売春防止法は変えたくないのが本音ではないかと言いたくなる。
法律を見直すと同時に「人権より金」の価値観が蔓延る社会を変えなければならない。(宮本有紀)
▼お盆休みに松本市(長野県)に行ってきた。目的の一つは「松本サリン事件」の現場を訪ねること。発生から32年、訪ねる機会もないままだったが、かつてオウム取材の一端にかかわった者としては、一度は行かねばと思っていた。
閑静な住宅街の一角、ここだけ取り残されたように荒んだ印象の現場で、犠牲者を悼みつつ事件当時のこと、そして河野義行さんにお会いした時の記憶へと思いをめぐらした。自身も被害者でありながら当初犯人視され、はからずも「日本中の敵」とされた人。雪冤後は加害者である教団や信者への排斥の動きに対し時に異議を述べ、一般に思われているオウム問題の「加害者・被害者」の構図にとらわれない活動を見せた。その物腰は柔らかく、表情も柔和だったが、目は笑っていないように見えた。
「絶望、されたんだろうな......」
降り注ぐ夏の日差しと蝉の声に囲まれながら呟いた。たぶん誰も信じられなくなりながらも、自らの体験を語って歩き続けた、その心中に思いを馳せた。(岩本太郎)
▼8月22日、東京・代々木の通販会社「カタログハウス」で、本誌連載を持つ内田樹さん、半田滋さんと新外交イニシアティブ代表・猿田佐世さんによる講演と座談会「大国による侵略戦争が起こるいま...憲法九条を考える日」が催されました。
私は本誌の会場販売を担当。登壇した3人の著書を扱う出版社4社もブースに加わり、にぎやかな販売となりました。出版社同士の親睦も深まりました。
会場は満員となる140人が参加。そのほとんどの方がブースに立ち寄ってくださいました。本誌定期購読者からもお声がけいただき、私も気分が乗ってきます。「消費税抜きで販売している書籍もありますよ~」。他社の書籍も張り切って宣伝しました。
販売しながら参加者の何人かとお話ししました。海外からの若者と語り合ったのは、日本と諸外国の移民排斥における相違点と類似点でした。多くの方と出会える会場販売を、今後も増やしていきたいです。(鎌田浩昭)
