30周年特集企画

「本多勝一のベトナム」を行く

本誌創刊者の一人、ジャーナリスト本多勝一(91歳)が、戦場ルポルタージュの手法を確立した「ベトナムの現場」をこの夏、1カ月かけて歩き回った。今年は1973年1月のパリ和平協定、同年3月の米軍撤退から50年の節目の年でもある。半世紀前に本多が取材した土地を訪れ、取材を受けた人たちを探し回り、「いま」を生きる人々の生活と意見を10回ほどの連載で報告する予定だ。全土を戦場にされながらも世界最強のアメリカ軍を追い出し、民族の独立と祖国統一を勝ち取ったベトナムだが、国家としては社会主義を掲げつつ、経済的には80年代から市場経済を導入。試行錯誤を重ねてきた。いまだ癒えない戦争の傷を抱えながら、個の自由=表現の自由や報道の自由にどう対処してきたかも含め、"戦後"社会の「光」と「影」についても考えたい。

  • ソンミ虐殺 死体の山から這い出た少年は生きていた
    「アメリカ人は殺したいと憎んだが、
    自分が惨めになるばかり……」

    本田雅和

    ベトナム戦争とは何だったのか? アメリカ合州国は1万数千キロも離れたアジアの小国を侵略し、指導者のホーチミンが共産主義者だというだけで独自の「ドミノ理論」にとらわれて住民を虐殺し、村々を焼き尽くし、枯葉剤で森林を丸裸にし、その後遺症に人々は世代を超えて今なお苦しむ。その米軍の蛮行の象徴として世界を震撼させたのが「ソンミ村虐殺事件」――その現場を『朝日新聞』記者だった本多勝一は事件から7年後の1975年7月、石川文洋カメラマンとともに訪れ、生存者3人に4時間に及ぶ詳細なインタビューをしている。半世紀を経て、本多が取材した人々の多くは亡くなっていたが、筆者は生存者の1人を探し出し、話を聞くことができた。本多の取材当時12歳だった少年は確かに生きていた。しかし……。

  • 写真で見る ベトナムなう
    本田雅和

    今号から連載の30周年企画「『本多勝一のベトナム』を行く」の主要テーマは「ベトナム戦争の検証」だが、コロナ禍を経た東南アジアの中で最も経済成長していると言われる国の社会と民衆の逞しさ、力強さを肌で実感する旅でもあった。ハノイからホーチミン(旧サイゴン)、メコンデルタまで縦断往復の厳しいスケジュールの中、取材現場に行く車窓から、揺れるバイクの後部座席から片手で、も含め、シャッターを押し続けた。

  • ウクライナ戦争後、国会議員で初めてロシアを訪問した
    鈴木宗男参議院議員インタビュー

    日本政府には自立した外交が必要

    ロシアとウクライナは即時停戦が必要だと訴えてきた鈴木宗男参議院議員が10月1日から5日間、ロシアを訪問した。ウクライナ戦争後、日本の国会議員がロシアを訪問したのは初めて。訪ロの目的と成果を聞いた。

  • 凱風快晴ときどき曇り【特別編】
    原爆と歴史修正 内田 樹
  • 「民主主義」が実現せぬまま要塞化された石垣島からの問い
    なぜ住民投票は
    行なわれないのか
    川端俊一
  • 表紙で見る創刊号と創刊記念号
  • 読者とともに「創刊30周年」
    これまでどのような記事を掲載してきたのか

    企業タブーに挑戦、人々のくらしに根ざした問題
    などに取り組む
    文聖姫
  • きんようアンテナ
    琉球弧、パレスチナへ連帯の声、「国際反戦デー」東京 西村仁美
    オスプレイ初飛来、米軍車両初上陸、石垣島の状況 吉田敬三
    「10・23通達」20年、日の丸・君が代強制反対集会 永尾俊彦
    琉球遺骨訴訟、原告「積極的に」上告せず判決確定 西村秀樹
    大阪府カジノ事業、実施協定締結で新たな疑惑浮上 平野次郎
  • メディアウオッチ
    「昭和生まれ日本人男性仕様」では
    今後のメディアの発展は望めない

    発展のカギは「オンナ・コドモ」 林 香里
  • 日本の民俗信仰 祀りをたずねて(41)
    田の神・龍神信仰 写真・文/山田しん
  • 文化とは何かーー
    国立科学博物館の
    クラウドファンディングが問う
    中村富美子
  • 歌舞伎界の革命児
    三代目市川猿之助は
    何を遺したのか
    中川右介
  • くらしの泉
    【お金】
    認知症になる前に備えておきたい、
    認知症後のこと
    内藤眞弓
  • 新・買ってはいけない(370)
    いらないものが入りがち
    コンビニやスーパーの 「おにぎり」
    沢木みずほ
  • きんようぶんか
    【本】
    『ピースガーデン 継承の庭』
    伊高浩昭
    『戦時下日本の娯楽政策 文化・芸術の動員を問う』 五所純子
    『空間の未来』 長瀬 海
    【映画】『海鳴りがきこえる』 小川直樹
    【音楽】『World Music Radio』 近藤康太郎
    【舞台】『つばさ』 中村富美子
    【TVドキュメンタリー】 ワタナベ=アキラ

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