櫻井よしこ様の頭の中

今日の右派論壇で、露出度と影響力の面において櫻井よしこ氏は際立つ存在だ。権力に批判的であるべき「ジャーナリスト」の肩書ながら権力側ときわめて親しく、安倍晋三首相を支えて改憲運動の先頭にも立つ。改憲推進のほか、原発推進、日本軍「慰安婦」問題、南京虐殺否定など、同氏は活発な発言を続けるが、その根拠には事実誤認や誤解が多い。事例ごとに確認していこう。なお、櫻井氏に取材を申し込み、電話取材に応じる返事がきたものの、今号の校了日までに予定が合わなかったため、次号以降での掲載を予定している。

  • その1・憲法
    改憲を求める“根拠”が間違いだらけ
    黒澤いつき

    「憲法改正」推進の先頭に立つ櫻井氏だが、なぜ変えたいのか、の根拠が漠然としすぎていて、よくわからない。憲法が嫌、という一心のみで改憲を主張しているのだろうか。

  • その2・原発 「原子力ムラ」言いなりの「再稼働旗振り役」
    原発擁護論は全部デタラメだ
    田中一郎
  • その3・植村裁判 根拠が怪しくなった櫻井氏のバッシング
    いつの間にか消えた「捏造」だという批判
    長谷川綾

    「事実を文字にして世の中に伝える」。櫻井氏は雑誌で、ジャーナリストの仕事をこう定義した。だが、「捏造」批判を繰り返し、植村隆元『朝日新聞』記者に訴えられた名誉毀損訴訟で、「捏造」の前提事実に次々間違いが見つかっている。

  • その4・「慰安婦」問題 日本軍「慰安婦」問題の無理解が過激な煽動を生む
    「河野談話を取り消せ」と主張する荒唐無稽
    吉方べき

    日本軍「慰安婦」問題について、国としての責任を認めた1993年の「河野談話」を、一貫して「取り消せ」と叫び続けてきた櫻井よしこ氏。だが、そうした主張をすること自体、この問題について何も理解していないことの証明でもある。

  • その5・南京大虐殺 他人の著書に頼って自滅する「門外漢」
    これで「南京大虐殺」を否定したつもりなのか
    能川元一

    右派の先頭に立って、「中韓との歴史戦」を唱える櫻井氏。本人は歴史の専門家ではないので、結局他の歴史修正主義者らの著書に頼ることになる。だが、そうした著書自体が低レベルである事実に気付いていない。

  • 哲学者 文藝評論家の山崎行太郎氏に聞く
    保守が憂う「保守論壇」の劣化

    なぜ、極端に感情的な用語を使うだけで中身のない櫻井氏がもてはやされるのか。それは、何よりも読者のレベルが落ちているからだ。蔓延する反知性主義は、同時に真の保守の不在と、左翼の知的権威の失墜と無縁ではない。

  • こんなこと言って大丈夫?「妄言録」一覧
    本誌取材班

    出るわ出るわ、「~せよ」調の上から目線でまくし立てる一見勇ましい櫻井氏の「オピニオン」だが、読めば読むほど事実誤認や同じ改憲派安倍晋三首相を持ち上げたいがための無理な理屈運びがボロボロと出てくる。これでは、「右派のオピニオンリーダー」の評判が泣くというものだ。

  • 連載 ぶれない・あきらめない・おそれない 中澤 誠
    築地市場の移転に反対する東京中央市場労働組合執行委員長
  • 連載 憲法を求める人びと 4
    萩谷麻衣子 佐高 信
  • 連載 STOP! 9条改憲 5
    外国からも自衛隊明記に疑問の声 高田 健
  • 生誕100年 朝鮮の民族詩人・尹東柱
  • 戦時下に詠まれた気高い詩に若者らが共感 土岐直彦
  • 詩語、メタファーにこめられた詩人の意志の声 李英哲
  • 富岡八幡宮宮司殺害事件の"時限装置" 片岡伸行
  • 民営化10年
    安心と信頼の郵便局はどこに 平舘英明
  • 発がん性指摘されるモンサントの除草剤成分「グリホサート」
    EUは「5年間認可延長」伊仏は「3年後に禁止」 羽生のり子
  • トルコ・カイセリのウイグル人亡命者たち(下)
    漢人文化にやすやすと同化できない 水谷尚子
  • 連作掌篇小説 重力の帝国 第10話
    世界終了スイッチのために 山口 泉
  • 連載 自由と創造のためのレッスン 66
    社会的生産と金融資本 ハート=ネグリ『アッセンブリ』 廣瀬 純
  • 映画『花筐/HANAGATAMI』
    大林宣彦監督が会見で熱弁 阪 清和
  • きんようぶんかインタビュー
    劇団俳優座『いつもいつも君を憶ふ』企画・製作・出演の有馬理恵さん、加藤頼さん 斉藤円華
  • 無害化逃れるカネカ・三菱製紙のPCB汚染土 明石昇二郎

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