週刊金曜日 編集後記

1554号

▼2025年12月26日・26年1月9日合併号でお伝えしたとおり、金曜俳句の選者が堀田季何さんになりました。お読みいただければわかるとおり、新しい投句者が増えています。堀田さんのファンかもしれませんね。

 選者が変わると、選の傾向も変わります。投稿者から「新しい選者の堀田先生もどこから攻めれば良いのか?わからない高い山ですが......頑張ります」とのメールをいただきましたが、俳句は選ばれるためにではなく、自分のために作るものだと思います。秋元不死男はこう書いています。〈わたしはわたしのつくる俳句は、じぶん以外のひとのためにつくるのではなく、徹頭徹尾じぶん自身のためにつくるから尊いのだ〉(『俳句入門』角川選書)。みなさまのご投句をお待ちしております。

 東京五輪・パラリンピックをめぐり、大会組織委員会元理事への贈賄罪に問われている「KADOKAWA」元会長、角川歴彦さん(82歳)に対し、東京地裁(中尾佳久裁判長)は1月22日、懲役2年6カ月執行猶予4年の有罪判決を言い渡しました。人質司法の問題点があふれている問題判決です。無罪を主張している角川さんは控訴する方針です。弊誌でも問題点を指摘する記事を近く掲載する予定です。(伊田浩之)

▼2歳児との生活は、理屈の通じない相手とどう折り合いをつけるか試される訓練場だ。今は、なんでも自分でやりたい時期で、少しでも手を出すと「イヤイヤ」と大号泣する。お片づけをするのかと思えば、まずすべてのおもちゃを出してから片づけ始める。ルールは、その日の気分次第だ。

 自分の思いだけは全力で伝えてきて、転んで泣いても、遠回りになっても、納得するまで何度でも挑戦する。そして、楽しいときは満面の笑みを浮かべ、こちらまでつられて笑顔になる。

 そんなふうに毎日をまっすぐに生きる姿を見ていると、失敗を怖がりすぎなくてもいいのかもしれないと、自然に思えてくる。育児は大変なことも少なくないが、効率や正解よりも、自分で納得して進むことの大切さを、日々の暮らしの中で教えてくれる。

 そんな今の暮らしを思い返していたところ、本誌で最近連載が始まった「リトルてんちゃん」を読んで、新生児の頃の日常を思い出し、思わず頬がゆるんだ。年齢や立場は違っても、わが子を「本当にかわいい」と思う気持ちや、日々を彩ってくれる存在へのいとおしさは同じなのだと思うと、なんだかうれしくなる。毎週の連載が楽しみだ。(桑島未樹)

▼将棋の加藤一二三さんが亡くなりました。ヘボ将棋の素人ゆえ、正直、加藤さんの将棋界での業績のすごさというのは「へぇ~」と感心する程度なのですが、「加藤一二三」と聞いて思い浮かべるのは、「野良猫エサやり裁判」です。

 加藤さんが自宅の庭で野良猫にエサをあげていることに対して、周辺住民が加藤さんを訴えました。結果は加藤さん側の負けになりましたが、これをきっかけに「野良猫にエサをあげるかどうか論争」が起き、私の住んでいる町でも、それまで野良猫にエサをあげる人がいても誰も何も言わなかったのに、突然「野良猫にエサをあげないでください」と書かれた看板が立てられたりしました。「地域猫」とか「TNR」なんて言葉や概念が、まだそんなに一般的ではなかった時代です。

 この騒動に対して、加藤さんがテレビか何かで「小さな命を守りたい」という趣旨のことをおっしゃっていて、感動しました(今、検索してもこの発言は見つからないのですが、記憶には残っています)。なんて心の優しい人なんだろうと、とても印象深く、これで私の中に「加藤一二三」の名がインプットされ、その後の「ひふみん」人気に拍手喝采することになるのでした。(渡辺妙子)